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専門職大学院、TACと栄光が申請を取り下げ

2005-10-17 05:57:32 | 気になる 大学研究

 読売新聞によれば、構造改革特区制度を使って大学院経営に乗り出そうとした株式会社2社が、相次いで文部科学省への設置認可申請を取り下げたようだ。最近は規制緩和で企業が学校を開校するケースが増えているが、申請途中での頓挫は異例。同省は「競争激化もあり、設置目的や構想が不明確なまま申請する例も少なくない」としている。
 …設置目的や構想が不明確で申請するなんてことあるのかな。ふざけてるな。怪しげなペーパーカンパニーが、会社の約款に業務内容を羅列するのはわけが違うはずだ。

 申請を取り下げたのは、以下の2校
 東京・千代田区と大阪市に会計専門職大学院「TAC大学院大学」を開設予定だった「TAC」(東京都)
 東京・千代田区に翻訳の専門職大学院「日本翻訳大学院大学」をつくる予定だった「栄光」(さいたま市)
  ↓
 TACは資格取得のためのスクール運営、栄光は学習塾経営の会社。

 同紙によれば、文科省などによると、TACは作成した大学院のパンフレットに、専門職大学院設置基準に定めた単位数の上限を上回る単位取得を奨励するような記載をした。同省は4日、「公認会計士試験の準備だけを目的にした大学院をつくろうとしている」と同社を厳重注意。来春の開校は難しいと判断したTACは5日付で申請を取り下げ、来年度に再申請することにした。
 …法律に基づき認可申請をするのに、設置基準を守れないのではお話にならない。

 一方、栄光は9月22日付で、「諸般の事情」を理由に自ら申請を取り下げた。「条件が整わなかった」として開校自体を断念した。(参考、Yomiuri Online、読売新聞:10月6日)

*****

 TACについては関心はなかったのだが、栄光の大学院大学の設置構想には興味を持っていたので、どうしたのかなあと思っている。
 記事で栄光が設置認可申請していた大学院については、「日本翻訳大学院大学」のことしか取り上げていない。実際は栄光は2大学院の設置認可申請しており、もう一つの大学院大学、「日本教育大学院大学」のことは何も書いていない。この大学院は、申請時の新聞報道によれば…

 『教員免許を持ちながら教職についていない四大卒の社会人が主な対象で、同社の学習塾での約1年間の教育実習(4単位)のほか、生徒指導やカウンセリングに重点を置いたカリキュラムが特徴で、専修免許状(修士課程修了程度)を持った私立中学・高校向けの教員養成を目指す』

 ものだったはずだ。僕は教職の専門職大学院構想の先取りかと思い、成り行きを注目していた。この申請が生きているのか、栄光の2大学院設置申請が両方とも断念されたのかよくわからない。
 何もふれていないのならば、そのままなのかな?
 もう少しニュースのチェックが必要なのかな。

*****

 しかし、今ひとつよくわからないのは株式会社立の学校設置である。
 ある程度のノウハウ(教育分野ならば教育関係の知識、人脈、もの、情報)があれば、ちゃんと学校法人を作ってしまった方がいいと思う。文部科学省の大学認可・学校法人審議会の答申を読むとよくわかるが、同審議会は株式会社立の学校設置には極めて懐疑的である。認可に際する付帯条件の細かいこと細かいこと。。。
 学校設置は許認可が必要な仕事である。何でも無制限(自由化)では困る。やはり許されない。こんなことまで「小さな政府」では困ると思う。
 TACも栄光も、「なめている、ちょうしにのっている」とまでは言わない。でも、一度出した申請を、法令や設置基準遵守ができなくて取り下げたり、諸般の事情で取り下げるというようなぶざまなことはしない方がいい。

 今回の件についてTACはウェブサイトにプレスレリースがでていたが、栄光については10月15日時点で、何も見あたらない。民間企業の方が情報開示もちゃんとしているとかよく言われるけど、たいしたことないじゃないか。
 …まあ、できてから事故が起こるよりはましだけど。

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