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4月のある日、結婚を間近に控えた精神科医・藤代俊(佐藤健)のもとに、かつて交際していた伊予田春(森七菜)から手紙が届く。ボリビア・ウユニ塩湖からの手紙には、10年前の初恋の記憶がつづられていた。そんなとき、俊の婚約者・坂本弥生(長澤まさみ)が謎めいた言葉を残して姿を消す。春はなぜ手紙を書いてきたのか、そして弥生はなぜ失踪したのか。戸惑う俊が愛する人を探し求める中で、二つの謎がつながっていく。 |
3月27日(水)、3月4本目は「四月になれば彼女は」である。
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藤代俊(フジ)、坂本弥生、伊与田春。この3人の関係を描くものがたり。
フジと弥生は同棲中。2人はもうすぐ結婚する。弥生は獣医師。2人の出会いは主治医と患者としてのもの。弥生は過去に婚約者がいた。しかし「幸せになるのが怖い」と破談にしている。フジはそれを受け止めた上で、結婚を考えていた。
フジも忘れられない過去がある。大学時代、彼は写真部の後輩の春と恋人同士になる。一緒に世界中の朝日を見ようと約束し、旅を計画、堂々と春の父の元に出向いて許可を求めた。しかし彼は妻に逃げられ、心を病んでいた。春はそんな父を一人にしておけない。旅行出発当日、春は父のそばにいることを選び、2人は別れる。
フジは卒業後精神科医となり、大学病院に勤務している。そんなフジと弥生の元に、旅先の春から手紙が届く。なせ、春はフジの元に手紙を出したのか。
三者三様だが、三者とも心の闇をかかえてもがいている。そんなものがたり。
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佐藤健 as フジ
開業医の息子である。春との別離が心に傷として残る。『精神科医なのに自分の問題は解決ない。』ともがく。フジは悩める人だ。つらさ、よわさが隠せない。
イヤなことだが、生きている上で、多かれ少なかれ誰もが似た経験はしている。そんな点が共感(?)できる。(「剣心」、(亜人の)「永井圭」、(サムライマラソンの)「唐沢甚内」とは違う。あたりまえか。)
長澤まさみ as 坂本弥生
こんなに弱いキャラクターの長澤さんを見たことがない。笑顔が少ない弥生。フジとの結婚直前の行方不明~出奔、その前の婚約破棄。どちらも弥生自身に主因がある。彼女のかかえる「闇・病」が、じわ~っと伝わるような表情。やはりいい女優さんだ。
森七菜 as 伊与田春
本作を見たいと考えたのは、森さんが出ているから。
フジとの出会いの頃の森さんは、正にピッタリの雰囲気だと感じた。明るく元気な(イメージの)春は、大きな悩みをかかえている。自らの命の限りを理解した春は、残された時間でフジと行くはずだった場所に行き、写真を撮る。春は何かを捨て、何かを得るために旅をしている。
ウユニ塩湖からの手紙が(フジとの)別離から10年後ということで、森さんは少し若いかと感じたが、さすがの存在感である。
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最後に弥生と春の人生が交差する。ネタバレになるが、フジと弥生は最後でわかり合える。春はこの世にはもういない。悲しいことだけど、人生(世の中)はこういうものかも知れない。
河合優実さんが、弥生の妹役でちょっとだけ出演している。
文中一部敬称略