やや旧聞に属するが、平成26年9月2日付けで選定結果が公表になった。以下引用する。
「東北地方における医学部設置に係る構想の応募要領」に基づき、各団体より応募された東北地方における医学部設置に係る構想については、東北地方における医学設置に係る構想審査会における審査の結果を踏まえ、別紙のとおり決定いたしました。
(担当、高等教育局医学教育課企画係)
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東北地方における医学部設置に係る構想選定結果
平成26年9月2日
文部科学省
「東北地方における医学部設置認可に関する基本方針」(平成25年12月17日復興庁・文部科学省・厚生労働省決定)(以下「基本方針」という。)において、震災からの復興、今後の超高齢化と東北地方における医師不足、原子力事故からの再生といった要請を踏まえ、特例として、東北地方に1校に限定して、医学部新設について認可を行うことを可能とした。これに基づき、新設構想の募集を行い、「東北地方における医学部設置に係る構想審査会」(以下「構想審査会」という。)において構想審査を行った結果を踏まえ、設置認可申請を可能とする1校を以下の通り選定する。
一、選定結果
「東北医科薬科大学」(応募主体:学校法人東北薬科大学)の構想を選定する。
ただし、同構想は、現時点において確認できる限りにおいてはおおむね基本方針に掲げる留意点に即していると考えられるものの、より適切に対応することを明確にするため、二に掲げる条件を着実に実施することを選定に当たっての条件とする。これらの条件について適切に対応ができていると認められるまでは、設置認可を行わないこととする。
東北薬科大学の構想が選定された。これで正式に設置認可申請を出せる。
10月1日付で同大学ウェブサイトには職員公募のアナウンスが出ている。
東北薬科大学の地図はこちら。
なお、昨年12月に、「本当なのか、医学部新設」でも書いたことだが、この大学はすでに病院をもっている。大学から海寄りに8kmちょっとのところだ。
二、選定に当たっての条件
以下の事項について対応することを選定の条件とする。
(1)選定後速やかに、宮城県をはじめとする東北各県・各大学、関連教育病院、地元医療関係者等の協力の下で、運営協議会(仮)を立ち上げ、自治医科大学等の先行事例も参考に、教員等の確保や地域定着策をはじめとした、構想の実現・充実のために必要な協議を開始すること。また開学後は、将来にわたり、復興のための医学部設置という趣旨に基づいた医学部運営がなされているかを担保し、各地域のニーズを踏まえた人材育成を行っていくための仕組みとして活用していくこと。
(2)上記協議会の活用等により、東北大学をはじめとする既存の大学との教育面、卒後の医師確保における役割分担と連携を整理し、東北6県全体の医師偏在解消につなげる枠組みを確立し、仙台への医師の集中とならないようにすること。
(3)東北地方の各地域の医療機関と連携した教育について、医療現場の負担が過重とならないことや、異なる実習場所でも同じ目的のもとで教育効果が上げられるよう配慮しつつ、早期体験実習から卒前・卒後を通じ、「地域全体で医師を育てる」という観点から、総合診療医養成に積極的に取り組むこと。その際、こうした教育及び教育設計に卓越した指導力を有する教員・指導医を確保し、仙台以外の宮城県各地(例えば医師不足に悩む宮城県北部等)、東北各地域において滞在型の教育もできるよう体制や環境を整備していくこと。
(4)教員や医師、看護師等の確保について、公募を行うに当たり、地域医療に支障を来さないことを担保する具体的な基準や指針を定めて対応すること。看護師の確保についても具体的な方策(年次計画、採用方法、採用後の育成方法等)を示すこと。附属病院の拡張整備に当たっても、県当局と相談の上、地域医療に支障を来すことなく進めること。
(5)医師の東北地方への定着を促す修学資金の仕組みについて、宮城県等と制度の詳細について精査し、単に東北地方に残るようにするのではなく、地域偏在の解消に対してより実効性が高く、かつ持続可能な仕組みとした上で、東北各県と十分な調整を行うこと。かつ、修学資金だけでなく、入学者選抜から学部教育、卒後研修を見通した定着策の充実に取り組み続けること。
(6)入学定員について、開学当初の教育環境の確保、地域定着策の有効性といった観点から適切な規模となるよう見直しを行うこと(例えば、臨時定員20名を設定せず、100名の定員で開学すること、学費全額相当の奨学金対象人数を増やすこと等)。また、将来的に、全国の大学において定員調整を行うこととなった場合には、他の大学と協調して対応すること。
(7)上記のほか、構想審査会において、別紙に掲げる意見・要望があったことを可能な限り採り入れ、東北地方における医学部新設の趣旨によりふさわしい大学とするよう努めること。
まあ、注文の多く、複雑なこと。うまいたとえではないが、ガラス細工のようである。
今回の医学部新設は、東北地域における医師確保ということ以上に、医学部新設自体がやや(orかなり?)政治命題化・目的化している。僕にはそう見えて仕方がない。
三、その他
〇審査結果を踏まえ、国に対しては、以下の対応を要請する。
(1)設置認可申請から開学までの準備はもとより、条件(1)の運営協議会の運営に当たり、適切な指導助言を行うとともに、関係大学・自治体等に対して協力を要請すること。
(2)医学部新設による卒業生が活躍し始めるまでには10年以上かかる。既存の大学や地方公共団体が行う地域医療支援の取組について引き続き支援を行うこと。
(3)今回の東北地方における医学部新設は復興のための特例措置であるが、今後の医学部新設や医師養成数に関しては、医師需給の見通しや定員増の効果の検証、医療制度改革の動向等を踏まえて、文部科学省と厚生労働省が連携し、適切に検討すること。
〇今後の超高齢社会、人口減少社会の中で医療を支えていくためには、医学部の新設だけでは問題は解決しない。医師の偏在解消や働きやすい環境整備等のほか、効率的・効果的な医療提供体制の確保等様々な取組が必要である。設置される大学には、その理想の実現のため、設置が認められた後にも、不断の努力を求めるとともに、東北地方の各地方公共団体、各大学、関係団体等においては、設置される医学部と可能な限り相互に協力し、東北地方の震災からの復興、将来に向けた地域医療の振興のために、心を一つにして向かっていくことを期待する。
審査会の意見が、『構想審査会における主な意見』として以下にまとめられています。読むとなかなかおもしろいです。
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/iryou/1352246.htm
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医学部開設に伴い、東北薬科大学から東北医科薬科大学に変更のようだ。
なお、これまでにアップした「医学部新設」関連エントリは、「医学部新設」「このブログの内で」で検索してください。