山小屋だより

山歩きや街歩き、そこで出会った花や風景を紹介しています。
ぜひ、一緒に歩きましょう

津軽三霊峰(その1)

2008-09-30 | 東北の山
シーハイル

岩木のおろしが吹くなら吹けよ♪
岩から岩へとわれらは走る♪
きのうは梵珠峯(ぼんじゅね) 今日また阿闍羅(あじゃら)♪
けむり立てつつ おおシーハイル♪

スキーや山をやる人なら一度は歌ったことがあると思います。
津軽三霊峰とはこの歌に出てくる「岩木山」「梵珠山」「阿闍羅山」の3つを指します。
山仲間20名で登ってきました。


9月初めのある期間だけJR東日本が新幹線を含めて¥12,000で3日間乗り放題という特別切符を発売します。
これを利用するとかなり安く遊べます。
但し、「大人の休日クラブ」の資格者でなければこの切符は手に入りません。
まだ資格がないので、1人寂しく「夜行バス」で青森まで行きました。
新宿を午後11時に出発したバスは約10時間かけて翌朝9時前に青森駅に
到着しました。
ネットで調べたバスなので「片道¥5,300」でした。

駅前で朝食を済ませ、時間があったので港のほうに行ってみました。
ここは「アスパム」といって観光物産店があります。
建物は青森の「A]を現しているようです。
ホタテの加工品やリンゴの加工品がたくさんありました。




アスパムの裏側が海になっています。
左奥に青函連絡船の「八甲田丸」が係留されています。
内部は見学できます。
青函航路は青函トンネルができるまでは北海道へ渡る主要航路でした。



青森港です。
右が下北半島、左が津軽半島です。
津軽半島の先端に竜飛岬(たっぴみさき)があります。
そこから眺めれば北海道が目の前にみえます。
冬は風が強く、昔行ったことがありますが、立っていられないほどでした。
「津軽海峡」という歌にぴったりなところです。



アスパムの裏側です。
青森には何回か仕事できました。
冬の寒い時は道路が凍りついていて歩くのに大変でした。
鍋料理とお酒が美味しかったです。
この建物の中にも美味しいお店があります。
10数年振りに訪ねましたが、懐かしかったです。



八甲田丸までは海に沿って遊歩道があります。
近くまで歩いてみることにしました。
青函連絡船は青函トンネルができる昭和63年まで運行されたそうです。
昭和29年には台風による大きな事故がありました。
いわるる「洞爺丸事故」で1400名以上の犠牲者がでたそうです。
これを契機にして青函トンネル計画が具体化されることになったようです。




八甲田丸は内部の見学ができますが、自力航行ができないので
船舶ではないそうです。
青函航路にはたくさんの船が使われていました。
それぞれ役目を終えると外国に売られたり、日本の各地で係留保存されているようです。
戦争で海に沈んだり、解体された船も多いようです。
  


船の中にもレールが敷かれていて客車はそのまま積み込まれました。
学生の頃、上野駅を列車に乗り北海道に渡ったことがあります。
列車は上野を午前10時頃出発しましたが、ここを通過するのは夜中の
12時過ぎでした。
ホームを走って連絡線に乗ったことが懐かしく思い出されました。
北海道は1ヶ月かけて隅々まで旅しました。
時間はありましたが、お金をかけない質素な旅でした。




1時間ほど港を散策して駅に戻りました。
駅ビルなど随分立派になっていました。
朝新幹線や特急を乗り継いでくる仲間とは11時過ぎに
でる列車の中で落ち合う予定です。
最初に訪れるのは「梵珠山」で下車駅は奥羽本線の大釈迦という駅です。



無事に仲間と合流し、予約してあったタクシーで登山口まで行きました。
梵珠山にはいろんな登山コースがあるようです。
今回はこの「サワグルミコース」を登ることにしました。
天気はまずまずでした。

ツリフネソウ

最初に出迎えてくれたのは「ツリフネソウ」でした。
船を見てきたばかりなのにまたフネです。
今度は「乗って行け!」というのかも知れません。
この花は日本中かなり広く分布しているようです。
お尻の距がクルリと丸くなっていておもしろいです。



キバナアキギリ

キバナアキギリです。
今年初めて会いました。
この花も関東でみることができます。
アキギリは赤い花ですが、これは黄色なので
キバナとついたようです。


ユキザサ

ユキザサの実が赤くなっていました。
やはり青森は北です。
少し気候も早く進むようです。
登山道はそれほど荒れていなく、里山を歩いている感じでした。
どんな頂上が待っているのでしょう。

里山の花

2008-09-29 | 山の花
マムシグサ

8月の終わりごろ、近くの里山を歩いてみました。
フイリマムシグサの実がありました。
少し画像を加工して遊んでみました。
かなり大きな葉でした。


キンミズヒキ

どこででも見られるキンミズヒキです。
5弁花の小さな花がたくさん咲きます。
まだまだ楽しめるようでした。



オオミズアオ

きれいに羽根を広げた蛾が止まっていました。
逆光だったので羽根の裏から姿が透けて見えました。
図鑑で調べたら、「オオミズアオ」という名前でした。
棒でつついてもビクともしません。
なかなか「ガ」が強く根性のある蛾でした。



ガンクビソウ

ガンクビとはキセルのタバコを詰める部分のことで、花が横を向いて
咲いている姿からついたようです。
道端の雑草として見向きもされないようです。
大きいのがオオガンクビソウ、小さいのはヒメガンクビソウと
呼ばれるようです。
晩秋までよく見かけます。



ヤマホトトギス

花びらが下に反り返っています。
ホトトギスの種類にもたくさんあります。
この花は足元の少し薄暗いところに咲いていました。
よくみるとおもしろい姿をしています。

普段はあまり画像の加工などしたことがありません。
いろんな加工ができるようです。
おもしろい遊びだと思いました。

北穂高岳(最終回)

2008-09-28 | 北アルプス
ゴゼンタチバナ

ゴゼンタチバナも実がなっていました。
この実を見ると小さな花が集まっているのがわかります。
もうしばらくすると赤くなります。
その姿もきれいですね。


オヤマボクチ

アザミに似ていますが、葉っぱにトゲがありません。
葉や花に白い毛がたくさんあります。
この毛を集めて火種にしたそうです。
それで火口(ぼくち)という名前がつきました。



シナノナデシコ

梓川の河原に下りたところに咲いていました。
花びらの切れ込みが浅いのが特長です。
涸沢ヒュッテを出発してから4時間で徳沢園に着きました。
天気さえよければパノラマコースも好きになりそうです。



明神からかっぱ橋に向かう途中に池があります。
そこの倒木がおもしろい姿だったので思わずシャッターを切りました。
水が透明できれいでした。


ジャコウソウ

徳沢園からかっぱ橋までは行く時に通った道です。
でもこの花には気がつきませんでした。
シャコウソウは名前のとおり、よい香りがします。
久し振りの出会いでした。



11時過ぎにかっぱ橋につきました。
涸沢ヒュッテを出てから5時間30分の歩きでした。
あれほど晴れていた穂高にも雲がかかっています。
朝晴れていても午後には曇ることが多いようです。
この山はたくさんの思い出を残してくれました。



かっぱ橋からバスターミナルまでは10分ぐらいです。
その途中でかっぱ橋を振り返ってみました。
バスターミナルの裏にあるアルプス山荘というホテルで風呂に入り、
スッキリしてから、お昼にしました。
午後2時のバスを予約してあったので、そのバスに乗り7時過ぎには
東京に帰ってきました。
素晴らしい山行でした。

北穂高岳(その17)

2008-09-27 | 北アルプス
たくさんの花に会いました。


ヤマハハコ

白い花びらが造花のようにきれいでした。
今年はいろんな山で会いました。
長く咲いている花です。





グンナイフウロ

グンナイとは山梨県の郡内地方のことだそうです。
オシベが元気に飛び出しています。
花びらがきれいでした。



ニッコウキスゲ

夏の終わりまで咲いています。
1にち花ですが、次々と花を咲かせます。
黄色が鮮やかでした。



沢に降りました。
雪渓が変わった姿で残っていました。
溶けた水が涼しそうに流れていました。


ユキザサ

ユキザサの花が終わり実がなっていました。
もうすぐすると赤くなります。
たくさんありました。


サンカヨウ

サンカヨウはきれいな白い花を咲かせます。
これももう花が終わり実がなっていました。
この実は食べられるそうです。
一度食べてみましたが、甘酸っぱい味でした。



センジュガンピ

ナデシコの仲間です。
茎が細いですがかなり強い花です。
上高地にもたくさん咲いていました。
高い山で会うと一段ときれいでした。



ツバメオモト

春先に小さな白い花が咲きます。
葉っぱがオモトに似ていてこの実の色がツバメに似ているので
このように呼ばれます。
細い茎が風にゆれていました。



タマガワホトトギス

タマガワとは京都の玉川のことだそうです。
黄色い色が鮮やかなホトトギスです。
これも次々に花を咲かせます。



奥叉白沢という沢にでました。
徳沢までもう少しです。
奥に見える山は前穂から岳沢に降りる岩稜です。
ここもいつか歩いてみたいと思います。



ミヤマシシウド

高山に咲くシシウドです。
背丈もかなり大きくなります。
お花畑でもよく目立ちます。
強い花です。






沢をぐんぐん下りました。
かなり水が流れています。
雨が降れば川になるようです。
途中何箇所か迷うようなところがありました。
もうすぐ梓川に下りるハズです。
小屋をでてから3時間くらい経っていました。
天気がよく気持ちよく歩けました。


北穂高岳(その16)

2008-09-26 | 北アルプス

北穂高岳を少しズーミングしてみました。
右のピークに茶色く見えるのが北穂高小屋です。
北アルプスで一番高いところにある小屋です。
標高3000m以上あります。
よくあんな高いところに小屋を造ったものです。
自家発電ですが、最近はソーラーも設置してあるようです。
いつかここに泊まって星を眺めたいと思いました。

一番左の尾根に北穂に登る登山道がジグザグにみえます。
昨日はガスの中を歩きました。
こんな天気に歩きたかったです。


サラシナショウマ

サラシナショウマが咲いていました。
白くて小さな花がびっしり茎についています。
よく似た花にイヌショウマというのがありますが、イヌショウマの花には
花柄がありません。
サラシナショウマには長い花柄があるのがよくわかります。
葉っぱの姿も違います。
アサギマダラというチョウが大好きな花です。


富士山

アップダウンを繰り返し、1時間くらい歩くと尾根にでました。
西のほうをみると富士山がみえました。
どこから眺めてもよい山です。
右に連なっているのは南アルプスのようです。
とんがっているのは塩見岳かも知れません。
数年前に千丈岳から千塩尾根を4泊5日で縦走し、塩見に登りました。
塩見小屋は小さな小屋で屋根裏に小さくなって寝ました。




反対側を眺めてみました。
下を梓川が流れています。
これから向かう上高地は右の方向です。
遠くの尾根は大滝山に登る尾根のようです。
左に行けば蝶ヶ岳があります。
ここの頂上からは素晴らしい穂高の山々が眺められます。
一番奥は浅間山でしょうか?
雲海がきれいでした。





一番右が北穂高岳、そこから左に歩いて正面の山が涸沢岳です。
更に左に下ると鞍部に穂高岳山荘があります。
ザイテングラートから涸沢ヒュッテまでの登山道がはっきりわかります。
カールに二つの小屋が見えますが、左が泊まった涸沢ヒュッテ、その右が
涸沢小屋です。
一番左の高い山が奥穂高岳です。
あのガスの中を歩いたことが嘘のようです。
素晴らしい展望でした。



今度は右のほうを眺めてみました。
一番左が北穂高岳で右端のピラミッドのような山が槍ヶ岳です。
真ん中の少し平らな山が南岳のようです。
そこから左に大きく切れ込んでいるのが有名な大キレットです。
ここを歩けば「泣く子」も黙るそうです。
まさにパノラマにふさわしい景観でした。


オニシモツケ

シモツケソウに似ていて大きいのでオニシモツケと呼んでいます。
白い小さな5弁花をたくさんつけます。
本州の中部以北から北海道の山地~高山に分布しているようです。
オシベが飛び出していて元気一杯でした。



素晴らしい展望を楽しんだ尾根を過ぎると下りになりました。
そこから先にはお花畑が広がっています。
サラシナショウマやトリカブトがたくさん群生していました。


トリカブト

この種類にもたくさんあるようです。
葉っぱの切れ込みや立ち姿、花のつき方などでも違うようです。
また地方によっては呼び方が違う場合もあります。
毒草といわれていますが、毒でないのもあるそうです。
見分けるには命がけで食べてみるしかないようです。


シモツケソウ

花が赤く、葉っぱが5~7つに裂けています。
シモツケソウは草の仲間ですが、シモツケは木の仲間です。
葉っぱで見分けます。
このお花畑には結構たくさん咲いていました。



ハナチダケサシ

この仲間にもたくさんあり、見分け方が難しいです。
いずれも葉っぱで見分けます。
これはチダケサシより花のつき方が立派だったので、
ハナチダケサシとしました。
小さい花が無数についていました。


ハンゴンソウ

お花畑をだいぶ降りてきたところに群生していました。
背丈もかなり高かったです。
葉っぱが大きく切れ込んでいます。
本州中部以北から北海道の湿った草地に分布しているそうです。
まだまだお花畑が続きます。














北穂高岳(その15)

2008-09-25 | 北アルプス
北穂高岳

昨夜は素晴らしい満天の星がみえました。
夜中に小屋の外に出て1人で眺めました。
北極星を中心に北斗七星やカシオペア、南に大きく流れる天の川の
中にハクチョウ座、それを挟んで織姫、彦星が輝いていました。

一夜明けて朝食前に外に出てみました。
日の出前の北穂高岳の姿です。



朝食後、再び外に出てみました。
北穂高岳が朝日で輝いています。
昨夜は北穂高小屋の灯りも見えました。
よく晴れ渡っています。



右のピラミッド型の山が涸沢槍です。
その左が涸沢岳、更に左の鞍部に穂高岳山荘がみえます。
小屋からザイテングラートを下り、左に向かって筋のようにみえるのが
登山道です。
昨日の天気が嘘のような快晴です。
降りて帰るのが惜しいような気がしました。




更に左の方向を眺めてみました。
一番左に奥穂高岳がそびえています。
富士山、北岳に続いて日本で3番目に高い山です。
2年前にここを拠点にしてピストンしていますが、
その時もこれほどまでに晴れてはいませんでした。
ここに宿泊している登山者はほとんどがあの山を目指して
いるようでした。



パノラマコースの入口

帰りは登って来た道を帰る人がほとんどです。
上高地に降りるにはもう一つ、「パノラマコース」というのが
あります。
雪渓が多かったり、途中に崩落個所があったりでなかなか通れないようです。
前回もこのコースは「通行止め」になっていました。
1度歩いてみたいと思っていたので、受付にいた昨日の女性に
登山道のようすを聞いてみました。
「昨日、北穂から涸沢のルートを歩いたあなたなら問題ありません。」
この一言で歩いてみることにしました。
小屋のすぐ下に入口があります。
ここから入って行きました。


モミジカラマツ

最初は緩やかな登りが続きます。
途中にモミジカラマツが咲いていました。
花がカラマツに似ていて葉っぱがモミジの葉のようなので、
このように呼ばれます。
朝露に濡れてしっとりしていました。




涸沢ヒュッテがだんだんと小さくなって行きます。
奥にみえる小屋は涸沢小屋です。
その間にテント場があります。
ここ全体が大きなカールになっていて「涸沢カール」と呼ばれています。
秋にはナナカマドが真っ赤に紅葉してきれいなところです。


クロクモソウ

岩の陰から顔を出していました。
花は紫色をした5弁花です。
葉っぱの形を雲に例えました。
小さく地味な花ですが、会えば嬉しくなります。



このコースは最初からかなり登っています。
だいぶ登ったところで遠くを見ると、槍ヶ岳の穂先が見えました。
手前に雲がたなびいています。
これからもっと槍はきれいな姿を見せてくれるでしょう。




しばらくすると崩落した場所がありました。
左下はかなり大きく切れ込んでいます。
入口に「初心者は絶対入らないでください」と書いた看板が
ありました。
このような場所が何ヶ所かあるようです。




今度の場所はもっと登山道がハッキリしません。
残雪があると歩くのが難しいようです。
最初のところにはロープやクサリがありましたが、
ここには何もありませんでした。
こんなところを通過するにはバランス感覚が大事です。
無事に通過してから、シャッターを押しました。


槍ヶ岳

先ほど穂先だけだった槍ヶ岳が大きく見えてきました。
少しズーミングしてみました。
標高3180m、日本で5番目に高い山です。
左に槍ヶ岳山荘がみえます。
この小屋に荷物を置いて軽くして登れば1時間で往復できます。
数年前に登りましたが、ガスがかかっていて頂上からは何も
見えませんでした。
頂上直下には長い垂直のハシゴがあり、上りと下りが別々になっています。
下りの最初の1歩が足元が見えないので、勇気がいります。
足がかかれば後はゆっくり降りるだけですから問題ありません。




このルートは確かに展望はよいのですが、このような場所が連続して
数ヶ所ありました。
雨の日は止めたほうがよさそうなルートです。
雪渓もこのようにところどころ残っていました。
日陰だと溶けにくいようです。
ここには山側にロープがあり、問題なく通過できました。
初めて歩くルートには何があるかわかりません。
楽しみながら歩きました。

北穂高岳(その14)

2008-09-24 | 北アルプス
ハクサンフウロ

小屋が近くなるとハクサンフウロが現れました。
そろそろ終わりなのか、オシベが落ちていました。
直径2cmくらいの比較的大きな花です。
この仲間もたくさんあります。




無事に涸沢ヒュッテに到着しました。
時間は午後2時でした。
朝5時30分に出発しましたから、丁度7時間30分歩いたことになります。
受付の女性に「無事行ってきました。」と報告しました。
「随分早かったですね。あのルートは厳しいので普通はもっとかかります。
天気がずっと悪かったので、心配していました。」
そういってニッコリ笑いかわいい手で握手してくれました。

テラスにでて早速生ビールで喉を潤しました。
朝は雲で隠れていた北穂高岳がきれいな姿を見せています。
あのガレたルートを3時間かけて登ったと思うと感慨深いものが
ありました。



こちらは降りてきたザイテングラートの方向です。
右のピラミッドのような山が涸沢槍です。
その左が涸沢岳です。かなりの急登でした。
さらにその左の鞍部に穂高岳山荘があります。




歩いたルートがよく見えます。
一番右の奥が北穂高岳で、そこから右に歩きました。
あのガスの中を岩にしがみついて登ったことが思い出されます。
ピラミッド型の涸沢岳は向こう側を巻いていました。
一番左の高い山が涸沢岳です。
素晴らしい岩稜でした。




このテラスからは手前の山が邪魔して常念は見えません。
正面の山が東大天井岳(ひがしおてんしょうだけ)で、その左が
大天井岳(おてんしょうだけ)です。
こちらも雲がとれてクッキリとよくみえました。




北穂高岳

北穂高岳をズーミングしてみました。
手前の山ではなくその右奥にあるのが北穂高岳です。
頂上に小屋があるのが見えます。
その昔、下から大きな梁を担いで登ったそうです。
よくぞあんな高いところに小屋を造ったものだと感心しました。
今回は泊まりませんでしたが、いつか泊まってみたいと思います。


食 堂

食堂では夕食の準備をしていました。
こうやってみると本当にりっぱな食堂です。
壁にはこのあたりの風景写真が飾ってあります。
どの写真もきれいでした。



反対側の壁には紅葉した涸沢カールの写真がありました。
例年10月中旬から11月初旬が紅葉の時期のようです。
その頃になるとこの紅葉を見にくる人で小屋は一杯になるそうです。
ここまでなら家族連れでもよさそうです。
やっと小学1年生になりましたが、いつか孫を連れてきたいと思いました。



夕食のメニューです。
昨夜はアジフライでしたが、この日はハンバーグでした。
連泊してこのようにメニューが変わると嬉しいものです。
ご飯と味噌汁はお代わりできます。
体が塩分を要求していたのか、味噌汁が美味しかったです。


夕 陽

夕食後再びテラスに出てみました。
丁度穂高岳山荘のあたりに太陽が沈むところでした。
それほど赤くはなりませんでしたが、きれいな夕陽でした。
明日はよい天気になりそうです。





太陽が沈む頃の北穂高岳をもう一度眺めました。
まだ山が輝いています。
大きな雲が左から右に激しく流れていました。
夏の終わりを告げる雲でした。




歩いたルート

太陽が沈んでからしばらくすると山がシルエットのように
みえました。
今日歩いた全体のルートがよくみえます。
一番右が北穂高岳でそこから右に歩きました。
とんがった涸沢槍のあたりに長いハシゴとクサリがありました。
シコタンソウをみたのもそのあたりです。
涸沢岳の急登を頑張って頂上につきました。
そこからザレた登山道を一気に降りると穂高岳山荘でした。
左の鞍部にその小屋らしき物がみえます。
そこからザイテングラートを約1時間で下ってきました。
ガスの中の歩きでしたが、たくさんの花にも出会え、
満足感で一杯でした。

北穂高岳(その13)

2008-09-23 | 北アルプス
シナノキンバイ

シナノキンバイが咲いていました。
亜高山帯~高山の草地に生えています。
花びらに見えるのはガク片で花びらは退化して線形に
なっています。
全体は直径3cmくらいあります。
ガク片は5~7枚あり、一定ではありません。
きれいなオレンジ色をしていました。



ミヤマキンポウゲ

シナノキンバイに混じって咲いていました。
花は直径2cmくらいです。
花びらが金色に光っています。
内部のデンプン組織が光に反射して輝くそうです。
葉っぱはシナノキンバイとよく似ていました。




ここはちょっとしたお花畑になっていました。
シナノキンバイを少し低い位置で撮ってみました。
小さいのがミヤマキンポウゲです。
後ろに雪渓がみえます。
なかなかきれいでした。



全体としてはこんな感じです。
上のほうには相変わらず雲がかかっています。
右側が降りてきたザイテングラートです。
小さく人がみえます。
約3分の2くらい降りたようです。



ザイテングラート

降りてきたザイテングラートを振り返ってみました。
大きなコブのようにみえます。
ここからは石ころだらけの登山道が続きます。
浮石が多い場所でした。



真っ直ぐ行けばキャンプ場の脇に出て涸沢ヒュッテに行けます。
途中から右に入りました。
ここから雪渓を抜けても涸沢ヒュッテに行けます。
こちらのほうが少し時間がかかりますが、変化があって
おもしろいコースです。





雪渓の真ん中から上を眺めています。
正面がザイテングラートです。
稜線にある穂高岳山荘のあたりが明るくなっています。
太陽があのあたりに沈むようです。
日没は降りてからみることができるでしょう。




こちらは反対側です。
常念岳と手前の屏風岩がほぼ同じ高さになりました。
ガスが取れて常念がきれいな姿を見せています。
天気は快方に向かっているようでした。






またお花畑がでてきました。
ここにはハクサンイチゲが群生していました。
このアングルも好きな一つです。
遠くにピラミット型の山がみえますが、あれが涸沢槍です。
あの向こう側を歩いてきたことになります。
幻想的な雰囲気でした。




クルマユリ

1輪だけ咲いていました。
葉っぱが輪生しているので「クルマ」です。
花はそれほど大きくはありません。
花弁が大きく反り返り、濃い斑点があります。
亜高山帯の草地に生えています。




途中に見晴岩と書かれた大きな岩があります。
奥に見える赤い屋根が涸沢ヒュッテです。
左がテント場です。
山に登らなくても涸沢ヒュッテに泊って、このあたりを散策するだけでも
よさそうです。
2~3時間もあればゆっくり1周できそうです。




見晴岩に登って正面の景色を眺めてみました。
常念とその左に横通岳がよくみえます。
左奥は燕岳(つばくろだけ)の方向です。
数年前、ここを歩いている時、この岩に腰掛けて本を読んでいる
女性にに会いました。
小屋のアルバイトの女性で時間があるとここにきていると
いっていました。ここがお気に入りの場所だそうです。
この景色を眺めていたら都会の雑踏など忘れてしまうでしょう。
涸沢ヒュッテまでもうすぐです。


北穂高岳(その12)

2008-09-22 | 北アルプス
タカネヤハズハハコ

ザイテングラートを少し下ったところにありました。
ヤマハハコの高山型です。別名:タカネウスユキソウともいいます。
花が完全に開きません。
茎や葉っぱに毛がたくさんあり、全体がシロっぽくみえます。
今年もいろんなところで会いました。



イワヒバリ

すぐ近くの岩に鳥が飛んできて止まりました。
動きが速く、あっという間に飛び去りました。
5mくらい離れていましたが、すかさず望遠で狙いました。
1枚だけかろうじて写っていました。
岩場でよく見かける「イワヒバリ」です。
出迎えにきてくれたのでしょうか?




ザイテングラートの登山道です。
かなりザレています。
うっかりすると小さな石に乗って滑りそうです。
かなり降りてきたので、下にうっすらと涸沢カールの雪渓が見えます。
ここにもペンキマークがしっかりついていました。
歩いたことのあるコースは気分的にも楽でした。



ミヤマトリカブト

トリカブトの仲間にもたくさんあります。
咲いている場所や葉っぱの形でも違うようです。
地方名がついているのもあります。
ここでは高いところに咲いているので「ミヤマトリカブト」
と呼ぶことにしました。
全草が毒草だということは随分知れ渡っているようです。
少し背景を入れて美しく撮ってあげました。




少し離れたところに白っぽく見えるのがありました。
変種でしょうか。
初めての出会いでした。
時々植物は突然姿を変えることがあります。
1代限りか子孫が残るか、その時になってみないとわかりません。
印象に残る花でした。



やっと雲の下に出たようです。
これから行く涸沢ヒュッテが小さく見えます。
涸沢カールは上からみても大きなカールです。
大昔に氷河が削ってできたといわれていますが、
最近地層の研究から別の説もあるようです。



常念岳

遠くに目をやりました。
正面に常念岳が姿を見せてくれました。
涸沢ヒュッテのテラスからは手前の山が邪魔してみえません。
燕岳からコマクサをみながら常念小屋に泊まる積りで歩いたことが
ありますが、5時間くらいで着きました。
まだ昼頃だったので、そのまま常念岳を超えて蝶ヶ岳ヒュッテまで
歩きました。さすが11時間は長かったです。
この時も1人だったので歩けたのでしょう。
蝶ヶ岳ヒュッテではウナギが夕食にでました。
美味しかったです。



ここにも幾つかのクサリ場やハシゴがあります。
穂高岳山荘に泊まる目的で登ってくる人もいます。
せまい場所では譲り合いが大切です。
山では登り優先ですが、場所によっては必ずしもそうでは
ありません。
先に下りてきて貰ったほうがよい場合もあります。
お互い声を掛け合い、気持ちよく歩きたいものです。


ハクサンイチゲ

だいぶ標高が低くなりました。
すっかりお馴染みになったハクサンイチゲが姿をみせてくれました。
白い花びらに見えるのはガクです。
ここではかなり遅くまで咲いているようです。




再び、遠くを眺めました。
常念岳の左にみえるのは横通岳のようです。
この山はピークを踏まず、下を巻いて歩きます。
この稜線歩きも晴天に恵まれると素晴らしいところです。





右手に前穂高岳が現れました。
大きな山です。
奥穂高岳はこの奥にあってここからはみえません。
前穂高岳から左手は北尾根と呼ばれ、やはり厳しい岩稜帯です。
来年は前穂高岳に登りたいと思っています。



エゾリンドウ

夏の終わりから秋にかけて咲くリンドウです。
似た花にオヤマリンドウというのがありますが、オヤマリンドウは
茎の頂きに花が集まって咲きます。
エゾリンドウは上部の葉の脇にも花が咲くので区別できます。
園芸種のリンドウの原種だそうです。
もう少し下ります。

北穂高岳(その11)

2008-09-21 | 北アルプス
クサリ場

長いクサリ場が出てきました。
かなりの勾配です。
先行する二人の息子さんがみえます。
すぐに追い付いてしまうので、ある程度の距離をおきました。
初めてにしては足がしっかりしているようにみえました。
これから山が好きになるでしょう。




クサリは「これでもか!」といわんばかりに続いています。
普通ならギブアップしそうですが、これくらいでは負けません。
ここが一番の難所のようです。
気分的には心で歌を歌っていました。
余裕がないと岩場は登れません。




ほぼ垂直に登っています。
このあたりから忙しくなりました。
岩場の途中で立ち止まり、3点支持しながら片手で撮影です。
カメラはポシェットからいつでも出し入れできるようにしています。
かなりの時間だったので、濡れていました。
これを登れば涸沢岳のようです。




まだまだ登りが続きます。
カメラのレンズに水滴が付いてしまいました。
手で拭きますが、きれいになりません。
乾いたタオルはザックの中です。
こんな場所ではザックを降ろすこともできないので、
濡れた指でレンズを擦りましたが、少し曇ってしまいました。
わざとボカシタのではありません。


シコタンハコベ

クサリに掴まって登っているとその右側に白い花が咲いていました。
「シコタンハコベ」です。
カムチャッカでもたくさんみました。
ここではこれだけの標高にこないと会えないようです。
水滴でグッショリ濡れていましたが、嬉しかったです。



シコタンソウ

しばらく登ると今度は星型の小さな花に出会いました。
登りに気をとられていると気がつかないと思います。
「シコタンソウ」といいます。花びらは5mmくらいです。
花びらに黄色とオレンジの斑点があるのが特長です。
昨年、白馬三山の白馬槍で会いましたが、少し花が遅かったようです。
ここではきれいな姿で微笑んでくれました。
なかなか会えない花です。
今回一番の収穫でした。



クサリ場はかなり長く続きました。
岩場に咲く花もでています。
右上にイワベンケイもみえます。
傾斜がだいぶ緩やかになりました。
頂上はもうすぐのようです。


涸沢岳の頂上

涸沢岳の頂上です。
最低のコルから50分、北穂高山荘からは丁度2時間でした。
ガスっていて周りは何も見えません。
天気がよければかなりの人がいるハズです。
ここであの二人に追い付くと思ったのですがいませんでした。
ザックを降ろして水分補給しました。
ここから穂高山荘がみえるのですが、みえません。
ザレた急斜面を降りれば20分くらいでつくと思います。

穂高岳山荘

無事に穂高岳山荘の到着しました。
ここまで来れば安心です。
ここで先行した二人に会いました。
話をしたら、涸沢岳の頂上は見落として素通りしたそうです。
いない訳でした。
北穂高岳山荘から丁度2時間20分でした。
持っていた地図のコースタイムは2時間15分と書いてありました。
ゆっくりした割にはそれほど違っていませんでした。
後半飛ばしたようです。
時計を見たら11時20分、持っていたパンを食べてもよかったのですが、
小屋の中に入ってラーメンを食べました。
ここから奥穂高岳に1時間30分くらいで往復できますが、
この天気では登っても何も見えません。
数名の人がいましたが、みんな諦めていました。





小屋で30分ほど休んで涸沢に降りました。
ここが分岐です。
何もなければ1時間くらいで降りられます。
かなりの急な下りなので油断はできません。
靴紐を締めなおしてから出発です。




いきなりのザレた登山道です。
足を取られないよう、慎重におりました。
下は相変わらず何も見えません。






ここはザイテングラートと呼ばれているところです。
ドイツ語で「支稜」という意味だそうです。
下から見ると大きな背中のようにみえます。
今年足を踏み外して滑落事故もありました。
ここは2回ほど歩いています。
気分的には随分楽でした。


今日はこれから岩山に登りに行きます
夕方から雨のようなので降らないうちに降りたいと思います。












北穂高岳(その10)

2008-09-20 | 北アルプス

イワオウギ

岩の陰でマメ科の花が咲いていました。
イワオウギです。
この仲間にタイツリオウギ、シロウマオウギというのがありますが、
タイツリオウギはガクが長く、シロウマオウギは名前のとおり
白馬岳に多い花です。
タイツリオウギも白馬の大雪渓の上あたりにたくさんありました。
どちらも岩場が好きな花です。



相変わらず岩稜を歩かせてくれます。
ペンキ印が励ましてくれました。
遠くに矢印がみえます。
「こっちだよ!」と誘っていました。
稜線は雨混じりの風が吹き付けてきます。
ザックカバーが大きく膨らんでびゅうびゅう音を立てます。
浮石に乗らないよう、慎重に進みました。




ここにはペンキマークがありません。
両側は切れ落ちています。
こんな場所は真っ直ぐ行くしかありません。
行けば何かがあるハズです。



鋭い岩稜

鋭くとがった岩稜が現れました。
何か白くペンキのような物がみえますが、ここを歩けというのでしょうか?
てっぺんの岩は見るからに脆そうです。
涸沢ヒュッテでこの場所の話をしたら、「地震でかなりクラックが
できたようだが、どのあたりだった?」と逆に質問されました。
ルートは左下にありました。
うっかりそのまま進んだら危険な場所です。




最低のコル

ルートはどんどん下っていました。
ここで初めて人に会いました。
北穂高岳を少し早く出た二人連れでした。
話を聞いたらやはり親子のようでした。
通称「涸沢のコル」といってこの先も馬の背状になっていて、
飛騨側(右側)が大きく切れ落ちている場所です。
北穂高小屋から丁度1時間10分、ここが中間点のようです。




二人には先に行って貰いました。
ここから涸沢岳までかなりのアップダウンが続きます。
いきなり大きな登りです。
よじ登るようにして登りました。
両手両足をフルに使います。
このルートを歩くには筋力も必要でした。
先にでた二人のザックがてっぺんにかすかに見えます。




大きな岩山を登り切ると、またまっすぐ行きたくなるような
ルートがでました。
ここは少し先から右に降りるようです。
右向こうに薄く○印が見えます。
ペンキマークは遠くから先まで分かる場合と近くに行かないと
分からない場合があります。
「考えながら歩け!」ということのようでした。



危険な場所にはこのようなクサリがあります。
右下は大きく切れ落ちています。
クサリも古くなると切れる場合があります。
黒部の下の廊下は細い針金1本でした。
剣岳の下りに「カニの横ばい」という絶壁があります。
ほとんど垂直に近い岩壁ですが、クサリがステンレスに架け替えられて
いました。
ネパールのシェルパを呼んで数年前に付け替えたそうです。
お陰で安心して歩けました。


ウサギギク

やっとかわいい花に会いました。
「うさぎちゃん」です。
もっと低いところの草地に咲いています。
どうしてこんな3000m近いところに登ってきたのでしょう。
葉っぱがウサギに似ているので、この名があります。
風が強くて背丈も10cmくらいでした。
こんな花に出会うとホッします。



ヨツバシオガマ

ヨツバシオガマも群生していました。
このあたりは少し風が当らないようです。
花を見るとしゃがみこんでしまいます。
あと1時間くらい歩けば穂高岳山荘につくハズです。
少し水を飲んで小休止しました。



時々先行する二人の声が聞こえました。
先頭を父親が歩き、後ろからくる息子を励ましているようでした。
父親は黄色、息子は赤いザックカバーをつけていました。
息子さんは初めてのようでしたが、父親は以前歩いているようでした。
遠くにハシゴらしき物が見えます。



長いハシゴが現れました。
涸沢槍の取り付けのようです。
ある本には「ハシゴ・クサリが連続する本コースの核心部。振り返ると
滝谷などの岩稜群がみごと」とありました。
振り返ってみてもホワイトアウトの世界でした。
涸沢岳まではまだまだ岩稜のアップダウンが続きます。

北穂高岳(その9)

2008-09-19 | 北アルプス
切り立った岩場が続きます。


ガスはこれ以上良くも悪くもなりませんでした。
物音一つしません。
このペンキマークがなかったら、間違いなくルートを
見失っていたと思います。





時々こんな歩きやすい場所もあります。
しかしこの先が見えません。
先がみえるとルートが読めます。
浮石や落石が怖い場所は一気に通過します。




大きな岩がでてきました。
右側のほうが歩きやすそうですが、×印があります。
下に大きく切れ落ちていて危険だということのようです。
○印を忠実に歩きました。




ここは右側が大きな壁で左は切れ落ちています。
踏み外して落ちたらまず助からないでしょう。
通過する時下を覗いてみましたが、白いガスに吸い込まれるような
気がしました。
人間は羽根もないのに飛んでみたくなることがあるようです。
それを止めるのは理性のようです。





ルートは右に行ったり左に行ったりしています。
ここは下に降りろというようです。
正面に大きな山のようなものが立ちはだかっています。
どうやらあの山には登らないようです。
大きく巻いていました。
突然、こんな山が現れるとビックリします。
気が小さい?のであり驚かさないで欲しいです。




ひたすら歩きました。
このような場所の岩はしっかりしていました。
花はまったく咲いていません。
かなり環境が厳しいようです。
岩に白く貼り付いているのは苔類のようでした。




先ほどまで右を歩いていたと思ったらいつの間にか左です。
ここは少し下ってからまた上るようです。
遠くにかすかに尾根がみえます。
あの上に出るようです。
反対からも後ろからも人がくる気配がありません。




今度右が鋭く切れ落ちています。
ルートも狭い場所です。
こんな場所は慌ててはダメです。
できるだけ左側に沿って通過しましたが、触る岩にも
浮いているのがたくさんありました。
もし反対側から人がきたらすれ違うのに嫌な場所です。

黒部の廊下を歩いたことがありますが、やはり1人が通れるだけの
狭い登山道でした。
でもここよりはずっと楽でした。



こんな場所にでると少しホッとします。
ガスの中が丁度よいおしめりのようでした。
持っていた水もほとんど口にしません。
暑いので雨具の上だけをつけ、ズボンはそのままでした。
帽子も被っていなかったので時々滴が垂れます。
「雨に濡れた美少女」ならぬ「美少年」に見えたことでしょう。
自分の写真が1枚も撮れなかったのが残念です。


イワベンケイ

やっと花に会いました。
イワベンケイです。
まだ蕾のようでした。
岩場に住んでいて弁慶のように強いというのでイワベンケイです。
下に隠れているのは牛若丸ならぬチシマギキョウです。
どちらもガスに濡れてしっとりしていました。



ミネウスユキソウ

こちらはミネウスユキソウです。
少し歩いた岩場の陰に咲いていました。
この仲間もいろいろあります。
咲いている山によっても名前が違います。
ヨーロッパではエーデルワイスといって人気が高い花のようです。
もうかなり歩いたように思えるのですが、
岩場はまだまだ続きました。





北穂高岳(その8)

2008-09-18 | 北アルプス
北穂高岳山頂

分岐から一度下って更に上り返します。
途中にはまだ雪が残っていました。
登り切ったところが北穂高岳の山頂でした。
かなり広いようです。
誰もいないので標識だけ撮りました。
時間は午前8時30分でした。
涸沢ヒュッテを午前5時30分に出ましたから、丁度3時間
の歩きでした。



北穂高小屋

北穂高岳山頂から5分もしないところに小屋がありました。
北アルプスで一番高いところに建っている小屋です。
小屋の人がいたので、ホットコーヒーを頼みました。
晴れていれば槍ヶ岳や正面に蝶ヶ岳なども眺められるようです。
まったくのホワイトアウトでした。
しばらくしたら、途中で追い抜いた若者がきました。
やっとたどり着いた感じです。
「一緒に行きましょう」といったら「もう限界なのでここから引き返します。
こんなに体力がないとは思いませんでした。鍛え直して出直しです。」

更にしばらくして二人の男性がきました。50台と30台の親子のようでした。
会話の内容からこの二人は涸沢岳のルートに行くようです。
幾らか心強くなったので行くことに決心しました。




二人の親子は先に出て行きました。
30分くらいしてからこちらも出ました。
小屋を上がったところに標識がありました。
ここから槍ヶ岳に行けますが、大きなキレットがあります。
昨夜この小屋に泊まった人はこの天気で危険だから止めるように
忠告されたそうです。
こちら側から行くよりも槍からこちらに向かったほうが幾らか
よいそうです。



先ほどの分岐に戻り、奥穂と書かれた方向に足を入れました。
1歩入れたら後は前を向いて歩くだけです。
この先はどんなルートが待っているのでしょう。
期待と不安が心の中で交差しました。

オンタデの赤と白が群生して見送ってくれました。




登山道はしっかりしています。
ガスの中からケルンが現れました。
ケルンは事故があったところなどにも積まれます。
誰もいないところなどでは目印にもなります。
分岐から先は岩場の連続です。
ストックはたたんでザックに仕舞いました。
両手両足をフリーにしてザックもしっかり体にフィットさせました。




視界は10mくらいでしょうか?
その先はガスで見えません。
ペンキ印が頼りです。
ここからはいきなり下っています。




右側は滝谷といってかなり切れ落ちている場所です。
足を踏み外して落ちたら先ずダメでしょう。
滑落事故も多い場所のようです。
慎重に足を運びました。





昨夜の雨で岩が濡れていましたが、意外とグリップが利きました。
晴れていれば先行した二人が見えるハズです。
声さえ聞こえません。
水滴混じりの風が容赦なく下から吹き上げてきました。






ペンキマークはアップダウンを繰り返しています。
これを見落としてルートを間違え、遭難する事故もあるようです。
このあたりは両側が鋭く切れ落ちているようですが、
まったくわかりません。
標高はまだ3000mくらいあるようです。
意外と恐怖感はありませんでした。




ところどころが大きく廻りこんでいます。
晴れていれば涸沢岳から奥穂あたりの稜線がみえるところです。
地図で確認してもどのあたりか分かりませんでした。




ペンキ印が延々と続いています。
手袋をはめていたのですが、岩に触るたびに濡れてカメラまで
濡れます。
予備を持ってはいるのですが、それほど冷たくなかったので
途中で取りました。
でも素手で岩に触るとヒンヤリしました。



こういう場所を「ナイフリッジ」というようです。
両側から風が吹き上げてきます。
油断していると吹き飛ばされそうです。
しっかり足元を確認し、浮石に乗らないよう気をつけて
歩きました。
精神は緊張していましたが、頭の中はスッキリしていました。
ここまできたらもう戻れません。
ひたすら前に進みました。



北穂高岳(その7)

2008-09-17 | 北アルプス

登山道はひたすら高度を稼いでいました。
先方を歩いている人がいます。
若者でした。
追い付いて話をしたら、「北穂から奥穂まで行く」といっていました。
途中までは同じルートです。
幾らか心強くなりました。



ミヤマアキノキリンソウ

黄色い花はガスの中でもよく目立ちます。
アキノキリンソウの高山型です。
花がきれいにまとまって咲いています。
なかなかスタイルのよい花でした。


クサリ場

少し大きなクサリ場がでてきました。
このくらいなら途中まではクサリに頼らなくても大丈夫です。
晴れていれば渋滞するかも知れません。
濡れた岩で滑らないよう、ゆっくり登りました。
こんな場所は上りより下りが嫌ですね。


ミヤマダイモンジソウ

岩場の陰にひっそりと咲いていました。
花が「大」という字に似ています。
夕べの叩きつけるような雨にやられたようです。
花びらが落ちてかわいそうな姿でした。



クサリ場を過ぎるとまた同じような岩場の連続です。
どのあたりを歩いているのかまったく分かりません。
晴れていれば遠くの山が見えるはずですが・・・
3000m近くまでは来てると思います。



オンタデ

タデ科の植物でイタドリの仲間です。
かなり高いところまで咲いています。
木曽の御嶽山に多いので「オンタデ」とついたようです。
富士山の五合目あたりにも多く、「フジオンタデ」と呼ばれています。
小さい花が集まっています。


メイゲツソウ

オンタデでも特に赤い花をメイゲツソウと呼ぶようです。
別名:ベニイタドリともいいます。
中秋の名月の頃咲くのでこの名があるようです。
折しも今年はきれいな名月が見られました。
両方とも本州中部以北~北海道まで分布しているそうです。




かなり登ってきました。
ガスの時はこのペンキマークが頼りです。
○は歩いても大丈夫、×は行ってはダメという印です。
矢印は歩く方向を指しています。
小さな石に書いてあると動いてとんでもないところにある
場合があります。
「おかしい?」と思ったら自分で判断しなければなりません。



トウヤクリンドウ

この花も岩場を好みます。
なかなかきれいに開きません。
このような天気の時は特に閉じたままです。
名前の通り昔は薬草として重宝されたようです。




ヨツバシオガマ

すぐ近くにヨツバシオガマが3本仲良く咲いていました。
葉っぱが4枚輪生しているのがわかると思います。
ガスといっても小さな水滴の中です。
長く居るとしっとりと濡れてきます。
でも大粒の雨でなかったので、雨具の上だけで大丈夫でした。


北穂分岐

やっと北穂の分岐に到着しました。
涸沢から約2時間40分の登りでした。
右に行けば北穂高岳の頂上です。
左が涸沢岳を経由して奥穂高岳に通じる道です。
とりあえず北穂高岳の頂上に行くことにしました。

北穂高岳(その6)

2008-09-16 | 北アルプス

沢に沿ってひたすら登ります。
左が登山道ですが、かなり荒れていました。
浮石もかなりありました。
上空には相変わらず雲がかかっています。


二つの太陽

後ろで呼ぶ声が聞こえたような気がしました。
近くには人はいません。
大天井岳の上空をみると太陽が2つみえました。
冬に「幻日現象」といって太陽が2つにみえる現象があるそうです。
これがそれにあたるかどうか知りません。
左が本当の太陽で、右はニセ者です。
大きな目で睨まれているようでした。




しばらくすると雲が切れてニセの太陽は消えてしまいました。
流れる雲に隠れて太陽が白くみえます。
山の一部分に光がスポットのように差し込んできれいでした。
自然は偉大な光の芸術家です。


アカバナシモツケソウ

岩陰にひっそりと咲いていました。
シモツケソウはもともと赤いのですが、高山に咲いていて
特に色が濃い物を「アカバナシモツケソウ」と呼ぶようです。
確かに低山に咲いている物とは違う感じでした。
1本だけあると特に目立ちました。



登山道が岩稜帯になりました。
ルートはこの上から左に入ります。
上を1人歩いています。夕べ隣に寝ていた人です。
「北穂高岳から槍に抜ける」といっていました。
20分ほど先に小屋を出て行ったので、追い付けると思いました。
ところが、この人は途中で右に行きました。
右は東稜といってザイルが必要で、1人では登れないと聞いています。
ずっと気になりましたが、最後までこの人には会えませんでした。
途中で引き返したのかも知れません。



大きな梯子がでてきました。
小屋をでてから丁度1時間30分でした。
この手前に少し長いクサリがあります。
ここで降りてくる数名のパーティに会いました。
上の様子を聞いたら「朝は槍などが良く見えたがすぐにみえなくなった」
といっていました。
北穂高山荘に泊まって槍に行く予定だったようですが、「天気が悪く
大キレットが危険なので止めたが良い」と小屋で忠告され、諦めて降りる
ところでした。
10人くらいで半分は女性がいましたから、無理は禁物です。



梯子を登り切ったところにも男性2名、女性2名のパーティが弁当を
食べていました。
小屋で反対側の部屋にいた人達でかなりの年配者でした。
朝食を弁当にして貰って4時頃でてきたそうです。
ここまで来たが天気がよくないので引き返すようでした。
疲れて上に登る気力もなさそうでした。
ここから先はずっとこのような登りが続きました。



チシマギキョウ

足元にチシマギキョウが咲いていました。
晴れていても横や下を向いて咲く花です。
花弁に細かいヒゲがあるのですが、雨ででしっとり濡れていてよく
見えません。
イワギキョウと違ってガクが反り返らないのも特長です。



クロトウヒレン

この花も蕾の姿を見ることが多くなかなか咲いている
姿に会えません。
アザミに似ていますが、葉っぱにトゲがありません。
トウヒレンとは元々アザミのことをいうそうです。
雨でも咲いていて歓迎してくれたようです。


ヒメウメバチソウ

こんな高いところでウメバチソウに出会うとは思いませんでした。
ウメバチソウやコウメバチソウは里山でもよく出会います。
花も小さいようでした。
帰ってきてから図鑑で調べました。
「ヒメウメバチソウ」とでていました。
花びらと花びらの間からガクが見えるのが特長だそうです。
「コ」より小さいので「ヒメ」がついたようです。


コメススキ

コメススキに水滴が付いていてきれいでした。
少し登山道から離れていましたが、近づいてみました。
それぞれの水滴に景色が倒立して映っています。
こんな姿に出会うのも珍しいです。
晴れていたら絶対見ることができません。
コメススキも普段は風に揺れてジッとしていませんが、
これだけの水滴で動けなかったようです。



ヨツバシオガマ

更に登ると今度はヨツバシオガマがでてきました。
葉っぱが4枚輪生しています。
この花にはカムチャッカでもたくさんありました。
花のクチバシがもっと短かったです。
クチバシが7mmくらいならヨツバシオガマ、9mmなら
クチバシシオガマと呼ぶそうです。
計っている時間がありませんので、ここではすべてヨツバシオガマ
としました。
岩場で時々群生していました。
ガスの中をまだまだ登ります。