山小屋だより

山歩きや街歩き、そこで出会った花や風景を紹介しています。
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北穂高岳(その10)

2008-09-20 | 北アルプス

イワオウギ

岩の陰でマメ科の花が咲いていました。
イワオウギです。
この仲間にタイツリオウギ、シロウマオウギというのがありますが、
タイツリオウギはガクが長く、シロウマオウギは名前のとおり
白馬岳に多い花です。
タイツリオウギも白馬の大雪渓の上あたりにたくさんありました。
どちらも岩場が好きな花です。



相変わらず岩稜を歩かせてくれます。
ペンキ印が励ましてくれました。
遠くに矢印がみえます。
「こっちだよ!」と誘っていました。
稜線は雨混じりの風が吹き付けてきます。
ザックカバーが大きく膨らんでびゅうびゅう音を立てます。
浮石に乗らないよう、慎重に進みました。




ここにはペンキマークがありません。
両側は切れ落ちています。
こんな場所は真っ直ぐ行くしかありません。
行けば何かがあるハズです。



鋭い岩稜

鋭くとがった岩稜が現れました。
何か白くペンキのような物がみえますが、ここを歩けというのでしょうか?
てっぺんの岩は見るからに脆そうです。
涸沢ヒュッテでこの場所の話をしたら、「地震でかなりクラックが
できたようだが、どのあたりだった?」と逆に質問されました。
ルートは左下にありました。
うっかりそのまま進んだら危険な場所です。




最低のコル

ルートはどんどん下っていました。
ここで初めて人に会いました。
北穂高岳を少し早く出た二人連れでした。
話を聞いたらやはり親子のようでした。
通称「涸沢のコル」といってこの先も馬の背状になっていて、
飛騨側(右側)が大きく切れ落ちている場所です。
北穂高小屋から丁度1時間10分、ここが中間点のようです。




二人には先に行って貰いました。
ここから涸沢岳までかなりのアップダウンが続きます。
いきなり大きな登りです。
よじ登るようにして登りました。
両手両足をフルに使います。
このルートを歩くには筋力も必要でした。
先にでた二人のザックがてっぺんにかすかに見えます。




大きな岩山を登り切ると、またまっすぐ行きたくなるような
ルートがでました。
ここは少し先から右に降りるようです。
右向こうに薄く○印が見えます。
ペンキマークは遠くから先まで分かる場合と近くに行かないと
分からない場合があります。
「考えながら歩け!」ということのようでした。



危険な場所にはこのようなクサリがあります。
右下は大きく切れ落ちています。
クサリも古くなると切れる場合があります。
黒部の下の廊下は細い針金1本でした。
剣岳の下りに「カニの横ばい」という絶壁があります。
ほとんど垂直に近い岩壁ですが、クサリがステンレスに架け替えられて
いました。
ネパールのシェルパを呼んで数年前に付け替えたそうです。
お陰で安心して歩けました。


ウサギギク

やっとかわいい花に会いました。
「うさぎちゃん」です。
もっと低いところの草地に咲いています。
どうしてこんな3000m近いところに登ってきたのでしょう。
葉っぱがウサギに似ているので、この名があります。
風が強くて背丈も10cmくらいでした。
こんな花に出会うとホッします。



ヨツバシオガマ

ヨツバシオガマも群生していました。
このあたりは少し風が当らないようです。
花を見るとしゃがみこんでしまいます。
あと1時間くらい歩けば穂高岳山荘につくハズです。
少し水を飲んで小休止しました。



時々先行する二人の声が聞こえました。
先頭を父親が歩き、後ろからくる息子を励ましているようでした。
父親は黄色、息子は赤いザックカバーをつけていました。
息子さんは初めてのようでしたが、父親は以前歩いているようでした。
遠くにハシゴらしき物が見えます。



長いハシゴが現れました。
涸沢槍の取り付けのようです。
ある本には「ハシゴ・クサリが連続する本コースの核心部。振り返ると
滝谷などの岩稜群がみごと」とありました。
振り返ってみてもホワイトアウトの世界でした。
涸沢岳まではまだまだ岩稜のアップダウンが続きます。