長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

久保忠廣さんの陶展をやる不思議スポット 炎色野

2010-10-30 07:18:48 | Weblog
渋谷の宮益坂を登りきったあたりに、昔は
仁丹ビルがあった。その裏側界隈には、渋谷
でも青山でもない不思議なスポットがある。最近は
「隠れ家」がどうどうとマスコミをにぎわし、「秘湯」
が「秘湯を守る会」などいって看板をだす時代になったけど、
そのころのこの界隈は、「誰にも教えたくないお店」がたくさん
あった場所だ。
そこの路地裏に古民家を改装した「炎色野」(ひいろの)という
器屋があった。天真庵で、久保さんの器を扱い始めた時、
たまたま広尾かどこかに電話をしたら、か細い女性の声で「ひいろの です」と。
。普通は「すいません、間違えました」と必ずいうところだが、
ひいろの、という不思議な名前にひかれ「そちらは、なんのお店ですか?」
と聞いたら、「陶器のギャラリーをやっています」というので、すぐにタクを
ひろって、でかけたら、美人の店主が歓迎してくれ、それ以来10何年も久保さん
の器をあつかってもらっている。5年ほど前に、その古い民家は取り壊されたが、
青山学院に向かって、100mくらいのところに、縁あって移転することができた。
久保忠廣、渡辺愛子、升たか、大前智・・・天真庵で使っている器の作り手が、
個展をやる場所だ。見た目は美人薄幸みたいな感じの主人だが、人は見かけとは
反対なことが多々ある、ことをこの人にいろいろ教わった気がする。
炎と土を使ってものをつくっていく陶芸家たちに、勇気や元気を与える力を
もった両性具有な稀有な人だ。

昨日は、久保さんが天真庵にやってきた。最近は、久保さんの白い
カップでホボブラジルを供している。100個くらい手元にあったけど、
売れたり、あげたりして、20個くらいしか残っていなかったし、最初は
「長屋茶房」という名にふさわしく、グリップのない古伊万里で珈琲を
出していたけど、なんだか最近この「白い木綿豆腐みたいな風合いの器」
が好評なので、これでいこうかと思っている今日このごろ。

そんな話をしていたら、文庫くんがやってきた。文庫くんも彼が
音大の学生のころ、炎色野で知り合った。ピアノを勉強している
学生の分際を超えて、お酒や骨董の話に詳しい奇妙な青年だった。
改装中の天真庵に、「帰山」という酒をさしいれてくれ、
「IT業界から足を洗って、こんな素敵なことをする先輩に
ピッタリな名前の酒だと思って、四つ木の杉浦酒店から仕入れてきました」
とのことだった。次の日に、杉浦酒店にいき、家族みたいな付き合いが
始まった。文庫くんも近くに越してきて、今年中に「音楽・芸術サロン」
が押上にできそうだ。その名は、「押上文庫」になる予定。器と音楽とお酒
が同時に楽しめる「大人の茶論」になりそうだ。押上にまた名店がひとつ
できる。

明日は「JAZZ十間橋」
うらぶれたシャッター通りの商店街で、ジャズを楽しむ日。
器もそうだけど、大量生産の時代に、工場を中国などに移し、
値段を安くして、その味気ない工業生産品があふれたので、
一品一品の味、みたいなものが薄れた。
ジャズも、音楽がタダで、どこでも聴ける時代になり、
わざわざ、ライブにいかなくなった。でも、工業生産品と
作家ものは、べつもののように、CDや携帯で聴くジャズと
ライブは、天と地ほど違うものだ。
バーチャルとリアル、アナログとデジタルがごちゃまぜの
時代になってきたけど、うまく使いわけていかないと、
座標軸がどこにあるやらわからないような輩ばかりが右往左往
する時代になりそうだ。人間も鳥や虫や動物や魚・・生きとし
生けるものが、共に暮らしているこの星も、みなアナログなのだ。





最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (萬葉)
2010-10-30 10:19:09
炎色野さん 理念に基づき、ぶれずに発信される姿勢には私も共感を抱いております。
生物多様性:急速に専有を目指した種は、それ故にこそ急速に滅びに向かう。
地に足を着けて愚直に生きることの大切さをいつの日も想います。
「JAZZ十間橋」台風一過の蒼天の下成功裏に収束されんこと念じます。
返信する
Unknown (天真)
2010-10-31 08:18:47
炎みたいに、静かに燃えるような、
そんな情熱を感じますね。
「情熱」というのも一種の才能ですね。

居「JAZZ十間橋」、本番です。感謝。
返信する

コメントを投稿