季語らしきものの少ない東京では、ひとびとの衣替えが、一番季節を
感じる。陽が短くなって、朝夕が涼しくなってきた。
今日は「卒啄焙煎塾」だ。夏場は、水出し珈琲がよくでる。
少し深めに焙煎した豆を、細かく挽く。それを上手につめて、世界一
の濾過器(富士山)の近くから汲んでくる水をポタポタさせて抽出する。
言葉でいうは簡単だし、原理は簡単。でも「ホンモノ」はみな「簡素」だ、と思う。
その簡素なものを、どうやって深みにたどりつくか、そんな気の遠くなるよう旅がおもしろい、
と思う奇人にしかわからない「道」とか「味わい」とかいうものがある。
昨日、熊本の「たまな創生館」の館長から「電話で悪いばってん、そばがきの作り方を教えて」
との依頼があり「蕎麦粉50g、水150ccを鍋に入れ、火を中火にして、木べらで一気呵成にかく」
と答えた。10分後に「あんたとこみたいに、フワフワにならんばい」と電話。
「毎日やって、一年くらいやると、なんとかなりますよ」と答えた。料理とは、理(ことわり)を知るお勉強。
簡素ではあるけど、みな奥が深い。館長も名にしおう奇人なので、これからが楽しみだ。
午後からは「お茶のお稽古」をやる。お抹茶ではなく煎茶。
先月は玉露を「すすり茶」にして飲んだ。少し足を痛めた後輩がきたので、テーブルで立礼という
形で玉露を楽しんだ。5煎ほど飲みながら、20年ぶりの話に花が咲き、3時間以上談論風発した。
お酒も食事も茶も、「気のおけない友達と、共に楽しむ」からこそ楽しい。そんな簡素な原則さへ、
どうも日本人が忘れてしまっているような今日このごろ。
そのへんをちゃんとしないと、日本人総沈没。一億総活躍とか、言葉は簡素だけど、中身
のないスローガンが風化しそうだ。はやくアホな政治家たちも、総衣替えの季節を迎えてほしいものだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます