長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

居 HERE NOW

2016-07-19 08:47:53 | Weblog

トイレに飾っている南條さんの寒山拾得の絵に「居」というのがある。

禅の真髄みたいな言葉で、消滅消滅を繰り返す瞬間瞬間をとらまえる境地、

「いま、ここ」の言葉。不立文字(ふりゅうもんじ)とはよくいったもので言葉に

すると、伝わりにくいものだ。その額に、誰か忘れたけど、哲学書の本の帯に

書いてあった「HERE NOW」という言葉を入れてみた。

それを、大石さんが気にかけていて、新しいCDのタイトルがそのままついた。

毎日毎日、ささいもないことや、驚きや、ときには憤りややりきれないことなど、

私たちの人生は、小さな「できごと」で紡がれている。その繰り返しの中で、「はた」

不思議な縁に気付いたり、あの出会いがなければ、今の自分はない、ようなことが

よくある。自分では価値がないようなことも、起きること、出会うこと、みな無駄のない縁。

大石学さんとの縁は、隣の隣のトトロ、ほどかわいくないけど、素敵なジャズきたドラマー

だったセシルモンローが、2011の震災の何日か前に店にもってきた大石さんのCDから始まった。

「大石さんが天真庵でライブをしたい」とのこと。我が耳を疑ったけど、ほんとうの話ですぐに実現した。

でもその夏にセシルは天国にいった。いく一週間前に墨田ジャズフェスがあり、その合間にセシルと大石さん

が天真庵のカウンターに坐り、「クロキリロック」を飲んだ。お店をでる時、「大石学をよろしくオネガイシマス」

といって頭を下げた。それが最後だった。

それから毎年「海の日」が、セシルを追悼する日になり、大石学ソロライブが続いている。

これも「居」である。昨日ライブが終わって、大石さんとクロキリロックを3杯づつ飲んだ。

なんとなくペースがはやい。きっとセシルが遊びにきていて、お互いの一杯分を笑いながら

せしめているに違いない。セシメルモンロー。今年もいい海の日やった。

今日は「タイムドメイン」

明日は「おんなかっぽれ」