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長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

東京ラグ

2010-11-02 08:16:20 | Weblog
先日の「JAZZ十間橋」をやろうと、最初に提案してくれたのが、
ピアニストの深澤芳美さん。「よっしゃ」ということで、spice cafeの
伊藤シェフが実行委員長になり、不思議な輪(和)が広がっていった。
開催前は、天真庵もspice cafeも、お客さんを洗脳するように、ジャズが
鳴っていた。「深澤芳美とキャロライナシャフト」というグループの
「東京ラグ」。古きよき時代の、「モボ」(モダンボーイの略)や
「モガ」(モダンガールの略)たちが、銀座や浅草で、生のジャズを聴きながら、
青春を謳歌していたころに流行った曲が、いっぱい入っている。

昨日は、まだ先日の「ジャズの精霊」が、お店の中に漂っていたのか、「モバ」
(モダンなばーちゃん)が、あまたこられた。今よりも物資も食べ物も
ない時代、敗戦から復興をする時代に、音楽は、とても大切なエネル源だったに
違いない。ぼくは、小倉生まれだけど、もうすぐ隣の「モジ」になる。
少し財布の中が軽くなったり、給与が少ない、ボーナスが少ないといっては、
愚痴と溜息しかはかない現代人とは違い、財布の中が空になっても、腹の中
が空であっても、「明日の希望」に満ちていた清貧な「モボモガ」たちは、
もっと清く美しく生きていたに違いない。「貧乏」というのも、人生を
豊かにする大事な隠し味だと思う。

そのアルバムの中に、トランペットの下間哲さんが歌う曲がひとつある。
♪せまいながらも楽しい我が家・・・
という、エノケンも歌った、あの曲だ。
日本人、その時代の日本人を代表するような、語りかけるような歌だ。
「これぞ、日本のジャズだ」と打ち上げの時、横に座った下間さん
にいったら、ふたりともメートルがあがって、ワインをがぶがぶ飲んだ。
spice cafeの建物や、天真庵の長屋が立った時代にぴったりな歌だ。

貧しくたって、狭い家だって、ちゃんと「居場所」があれば、人間は
みな幸せに生きることができる。
「出番」とか「居場所」がない人ばかりが目立ち、みんなで右往左往
している。少し、こころを落ち着かせて、気を整えたら、それぞれ
の人に、「出番」も「居場所」もあるのではないかと思う。
金魚の糞みたいに、「あれがいい」とマスコミやブログなどが紹介すると、
口あけて、そちらにいったり、あちらにいったりするようだと、「自分」
の立ち位置がなくなる。

あの新しいタワーを見てみろ。
「細い男根ではあるが、空をつくようにそびえ、人をこんなに
ひきよせる」(昨日、陶芸家の升さんが久しぶりに来て、かく
かたりき)さすが、天井桟敷にいた人だ。 感謝。