長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

くじけないで

2010-11-19 07:50:49 | Weblog
昨日は休みだった。朝一時間くらい軽く走って、朝ごはんを食べ、
お店にいく。夏樹くんから借りている珈琲の本があと少しで読み終わりそうなので、
ほぼぶらじるを飲みながら、読んでいた。
暖房をつけるには、めんどうだし、本はもう少しかかりそうなので、夏樹くんのお店
で、珈琲を飲もう、ときめて、キラキラ橘商店街を目指して、立ち読みならぬ歩き
読みをしていたら、気になるフレーズにビットがたった。

「モカマタリは、石臼で脱穀している」という。「!」ときて、踵をかえして
お店にもどり、作務衣の上を脱いで、モカマタリを焙煎する。パチパチと
豆がはぜるころには、独特の芳香な煙につつまれ、二回目がハゼて、
五感をとぎすませて、火をとめる。この瞬間は、男でいうと、越すに越せない
田原坂みたいに、おしりの穴をキュッとしめて、いく瞬間をがまんしたり、
あきらめたりする刹那な時だ。焼きあがったマタリを竹の笊に入れ、表に
でて、ギンピを捨てる。そして、うちわで、ばたばたと冷やす。

そのマタリを、38g石臼で挽いて(夏樹くんがはかったので後で知る。ぼくは計ったことがない)、夏樹くんのお店「珈琲の樹」にもっていった。
持ち込み料1000円を払って(夏樹くんは、いらないと頑固なのだが)、10分後に
久保さんの白い珈琲カップに、琥珀色したモカマタリがでてきた。
石臼で脱穀したマタリを、丁寧に焙煎して、石臼で挽いて抽出する。
筆舌が及ばないくらい美味い。あえてたとえるとしたら、無ろ過の山廃の生酒を
ぬる燗にして、志野の平盃でそうろうと飲むときのあの感覚か(ますますわからないか)。そんな感じだ。

それから、いつものように表参道へ茶のお稽古。駅前の本屋で、『くじけないで』を買う。98歳の柴田トヨさんの詩集。読んでいたら、昨日のりんちゃんのひいじいちゃん、西條八十のことが詩になっていた。

お医者さんが、おばあちゃん3たす3はなんですか?とか質問してくるけど、
私は「西條八十の詩はすきですか?」とか「小泉内閣をどう思いますか?」
とかを聞いてほしいわ。
みたいな詩だった。

あまりにいい詩がたくさん書いてあるので、知らない間に表参道を通りすぎて
「渋谷」についた。「これも縁」とばかりに、宮益坂を上って、青山学院の
方に向かい、炎色野にいった。今日(金)まで、渡辺愛子さんの陶展をやっている。
はやいもので、彼女が初めて窯を焚いて10年になる。今回は「炎芸術」で、
絶賛されたこともあって、大壺だとか蹲(うずくまる)などが、ほぼみんな
赤いポチ(売約済み)だ。今日までだけど、この陶展は、見た人は人生観が
変るかも。

持参の赤ワインをふたりで、ほぼ飲みほし、走って茶のお稽古場へいく。
一応、ぼくもお茶の先生なので、「これが師走か」などと、ひとりごとを
いいながら。そして、りんちゃんと、煎茶のお稽古。ひいじいちゃんの
のっている詩集を、プレゼントした。相変わらず、バタバタとした休日。

今日は「スケッチの会」
さて、晩秋の本日、何をテーマに描くのだろう?