イギリスで4日にあった下院(定数650)の総選挙で、
野党の労働党が221議席を増やして412議席の単独過半数を獲得し、
14年ぶりに政権を奪還しました。
キア・スターマー党首はこの結果を受けて
5日午後、バッキンガム宮殿を訪問し、
国王から組閣を要請され、新首相になりました。
宮殿から首相官邸のあるダウニング街に入ったスターマー新首相は、
初めて首相官邸前で国民に向けて演説し、
「皆さんが労働党に投票したかどうかにかかわらず、
むしろ特にそうしなかった皆さんに、直接申し上げます。
私の政権は、あなたのために働きます」と約束したと報じられています。
とても良い演説だと思いましたし、
日本の政治家には言えない言葉だと思いました。
今回のイギリスでの政権交代が何故起こったのか僕には分かりませんが、
保守党の政治が行き詰っていたのでしょうね。
5月に、スナク前首相は、
総選挙を控えて兵役を含む「国家奉仕」プログラムの復活を
公約したと聞いて、
徴兵制の復活を唱えて、大丈夫かと思ったのですが、
これが原因かどうかは分かりませんが、大敗しました。
イギリスでの政権交代は、それほど稀な事ではありません。
1945年に労働党のクレメント・アトリーが首相に就任すると、
有名な「ゆりかごから墓場まで」の社会福祉政策の充実を図ります。
その後、チャーチル率いる保守党が政権を取りますが、
社会福祉政策を引き継いだ事などから、
英国病と呼ばれる深刻な経済停滞を招き、
1979年からのマーガレット・サッチャーが
新自由主義に基づく構造改革を進め、
英国病の克服を図りますが、格差の拡大を生み、
トニー・ブレアの労働党政権が生まれます。
その後2014年の総選挙で
ゴードン・ブラウンの労働が大敗して保守党政権になっていました。
以前、イギリスに住んでいた人から、政権交代が起きると
例えば住宅政策で、保守党は持ち家政策を進めるが、
労働党政権になると、
公営住宅の建設一辺倒になると聞いた事がありました。
政治は住宅政策ばかりではありませんが、
政策が行き詰った時には、
思い切って政権を交代させて打開を図る事も必要な気がします。
社会の安定性に欠けるとの問題は出て来ますが、
政権交代が起きるか分からないと思えば、
政治家も真剣に国民の声を聞くようになるのではないかと思います。
スターマー新首相は選挙中から、
「国が第一で党は二の次」と繰り返していたとの事です。
これまた、日本の政治家には言えない事のような気がします。
労働党政権になったイギリス、今後どのような政治を行うでしょうか?