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毎日の暮らしの中にある大好きなもの、こと、出合(会)いなどについての気まま日記

悼む人

2009-06-22 13:41:26 | 読書
「どうしたら、忘れないでいられるの」

主人公静人は親友の一年祭を忘れていたことがきっかけで、他人の死を求め祈る旅に出る。
見ず知らずの人の死を悼む行為は、人々にとって奇異なことだし理解出来うることではない。

存在が消えてしまう。
小さき命であれ、なんであれこの喪失感、無常感というのもは誰もが経験することです。
しかし、大抵の場合は時間と共にうすれていく。
そうしないと悲しみに飲み込まれてしまうから。
それなのに、時々後ろめたさを感じるのはなぜだろう。
いつの間にか思い出になって、存在が小さくなってしまったように思うから。

一人ひとりがこの世に存在していること、存在していたこと。
それは深く重いことなのに、今の世の中あまりにもいろんなことがありすぎて、軽く鈍感になっている。
心はどこに向かっていくのだろう。

「悼む人」 天童荒太