■Taylor-Bouladon, Valerie (2007). Conference Interpreting: Principles and Practice. BookSurge Publishing. これは第2版で、初版は2000年に出ている。どこが違っているのかは一切書かれていないのでわからないが、Amazonのレビューでは散々だった(他の本を推薦されてしまった)のでそのあたりを直したのかも知れない。著者は僕の生まれる前から通訳者をしていた人。別にA Foreign Affairという自叙伝も出している。なつかしや、Peter Davidson先生が序文を書いている。一応自叙伝も買いましたが、たぶん読まないと思う。
■斉藤兆史(2007)『翻訳の作法』(東京大学出版会)。文芸翻訳の入門書。東大駒場の「翻訳論」講義をもとにしたらしい。学部の学生相手なので専門的な話はない。
■加藤晴久(2007)『憂い顔の『星の王子さま』:続出誤訳のケーススタディと翻訳者のメチエ』(書肆心水)。内藤濯の訳と2005年に独占出版権が切れてから続出した新訳に英訳3点を加え、計18の翻訳を比較検討した書。主に内藤訳を問題視しているが、舌鋒鋭く他の訳も俎上に上せる。三田誠広訳など「ウソ」「でたらめ」「訳したのではなく自分で書いた下手な作文」「欠陥商品」とケチョンケチョンである。この本は三修社から出版予定だったが、再校を終えた段階でご破算となり、結局書肆心水から出ることになったそうだ。こういうケースは同じ出版社から本を出している著者からのクレームを恐れてという事情が多い。たぶんそんなところだろう。幸いすでに第2刷になっているので何よりである。前半に翻訳批評と翻訳意識について書かれている部分があり、そこは面白いが、特に突っ込んだ翻訳理論に触れているわけではない。アマゾンレビューでいえば☆3つか。でもまあ買って損はない本だ。(Amazonやジュンク堂は在庫なしになっているので、Kinokuniya Webにリンクしました。神保町の三省堂1階にもあります。)
■別宮貞徳(2007)『実況翻訳教室』(ちくま学芸文庫)。『英語青年』の「英文解釈演習」をもとにして架空の教室での26講の授業実況中継に仕立てたもの。おなじちくま学芸文庫で『さらば学校英語 実践翻訳の技術』もある。じっくり勉強したい人向け。