■ In Other Words... というとMona Bakerの有名なテキストを思い出すが、これはタイトルに[ ... ]がついた雑誌だ。1月の立命館の会議のとき、サンプルコピーが展示されていた。サブタイトルがThe Journal for Literary Translators で、University of East AngliaのThe British Centre for Literary Translationが出している。立命館でも発表していたValerie Henitiukさんが編集しているようだ。名刺をもらったので、メールしたらNo.32(2008 Winter)とNo.33 (2009 Summer)を送ってくれた。
No.32の方が紹介しやすいのでこちらにするが、まずアラビア語の方言やスラングを創造的に翻訳する可能性について、ある種のポルトガル語の話し言葉を英訳すると、リスボンの住民がロンドンのイーストエンド住民やバルチモア市民が話しているようになってしまう問題、エスペラントへの翻訳の問題、オリジナルの言語を読めない読者に向けて翻訳するのはやめようという「挑発的」な提言、文学作品の意味と含意を充分に伝えるために翻訳者は言語の他にどのていど直接的な文化の知識を必要とするのかという問題、ベンガル語の児童文学を翻訳するさいに、教訓主義を避けて読者がそこから理解と喜びを得るために、翻訳者は何をすべきか、というようなテーマが取り上げられている。つまり、内容はかなり実務的なのだ。いわゆるTranslation Studiesの分野の参考文献は一切挙げられていない。というか文献指示のない文章がほとんどである。ただし書評の一部には翻訳研究の本が取り上げられている。ゲーテのファウストの新訳(英訳)についての書評もある。なぜ新訳なのかについては日本とは事情が違うようだ。
■写真は2日前のニコライ堂と明治大学のリバティタワー。以前ここにあったビルが解体されてこの角度から見えるようになったのだが、新しいビルの工事が始まっていて、この2ショットがこの見られるのは短い間だけだ。
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