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鳥取で初の条例 広めたい「手話は言語」

2013-12-02 12:19:05 | ダイバーシティ
(以下、東京新聞から転載)
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鳥取で初の条例 広めたい「手話は言語」

2013年12月2日


 手話を独自の言語と認め、その普及を促す初の条例を鳥取県がつくった。周りの無理解で、肩身の狭い思いに悩む人は今も多い。これをきっかけに、手話の“市民権”が、どんどん広まるといい。
 きっと勇気づけられたことだろう。国内で約三十万人といわれる聴覚言語障害の人たちだ。
 「この条例が先駆けとなって全国に広がってくれれば…」
 鳥取県議会が十月に「手話言語条例」を可決したとき、全日本ろうあ連盟の幹部らはそう期待した。
 北海道の石狩市が早速、先週開会した十二月議会で同様の条例案を上程したのは、広がりを加速させる動きとして歓迎したい。
 「法廷で聴覚障害者が傍聴するとき、手話通訳者の位置を制限する裁判長がいる」。これは、さいたま市で最近報告された一種の差別ともいえる事例の一つだ。
 彼らが、はなから企業に採用を拒まれたり、日ごろ好奇の目にさらされる例は少なくない。災害時に避難指示が的確に伝わらず命にかかわることも。障害や手話への偏見、無理解からくるものだ。
 鳥取県条例は、これを正そうとしている。手話を「独自の言語体系をもつ文化的所産」と定めた。県と市町村に手話が使いやすい環境づくりを義務づけ、県民向け講座や小中学校での手話教育に取り組む。事業者には聴覚障害者が働きやすい環境整備を求めた。
 障害者に手を差し伸べる県民運動を四年前から始めた鳥取県。もともと条例制定の先端を行く土壌があった。「県民の理解に、より大きな役割を果たす」と、手話に詳しい筑波技術大学の大杉豊准教授(言語学)は条例を評価する。
 日本の手話には方言がある。世界に目を移すと、音声言語と同じく各国手話があり、その数は百三十を超え共通の国際手話もある。明らかに言語そのものである。
 オーストリアやウガンダなどは憲法に、チェコやハンガリーなどは個別法に、手話を言語と定める国も多い。日本では、二〇一一年に改正障害者基本法に「言語(手話を含む)」との表現が盛り込まれたが、まだ不十分だ。
 条例化の動きは東海や関東にもあり各地に波及しそうだが、本来は国による法の制定が望ましい。
 手話を「文化的所産」である言語に定めるとは、同じ社会に生きる「私たちの文化」として共有するということだ。点字の問題なども含め、彼らが尊厳を持って暮らせる社会にしたい。

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