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職場の理解や工夫で能力発揮 発達障害者の

2012-07-17 15:16:51 | ダイバーシティ
(以下、佐賀新聞から転載)
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職場の理解や工夫で能力発揮 発達障害者の就労

 発達障害者の就労を支援する試みが続いている。障害の特性などから、現場で戸惑うケースがあるとして採用が敬遠されがちだが、支援団体や専門家は「職場の理解やちょっとした工夫があれば十分に能力を発揮できる」と話す。佐賀市の女性が保育士として働く現場を訪ねた。

 「これがあるから次にやることが分かり、不安にならないんです」。6月、みなみ保育園(佐賀市川副町)に勤務する水町咲子さん(23)はスケジュール表を見せながら笑顔を浮かべた。保育室の掃除や花の水やり、ピアノ演奏…。予定は午前9時半から午後4時半まで埋まっていた。

 水町さんは佐賀短大(現・西九州大短期大学部)保育科で学んだ。発達障害で、作業の流れを把握したり、相手の意図や場の雰囲気をつかんだりするのが苦手。臨機応変な対応も求められる保育士には「向いていない」と言われたこともあった。それでも、施設での訓練や、みなみ保育園での実習を経て保育士免許を取得。トライアル雇用後、今年1月に正式採用された。

 スケジュール表や作業の手順書は実習中に作り上げた。上司の具体的な指示がない場面で「どうしていいか分からなくなり、尋ねるタイミングもつかめない」(水町さん)こともあるが、職場は熱意を買っている。池田政徳副園長は「家でも紙芝居の読み聞かせやピアノを練習するなど、とても熱心。的確に指示をすれば対応できるし、今後も応援していきたい」と話す。

 水町さんに対する接し方を職場に助言しているのは、障害者就業・生活支援センター「ワーカーズ・佐賀」(佐賀市)。主任就業支援員の石井有紀さんは「困っている原因を言葉にするのが難しいのが特性。決まりに当てはまらない場面で戸惑うケースもあるが、丁寧に説明をすれば対応できる」と障害に対する理解を促している。

 日本学生支援機構の調査では2011年度、発達障害と診断され、全国の大学や短大、高等専門学校に在籍した学生は1453人。診断書はないものの、教育上の配慮を受けた学生は3373人いた。10年度に卒業した障害のある学生の就労状況調査(回答率76%、卒業者総数1370人)では、発達障害と診断された学生124人中、就職できたのは33人だった。就職率は26・6%で、視覚障害、聴覚・言語障害、肢体不自由の40~60%に比べて厳しい状況となっている。

 発達障害のある人や保護者を支援している「元気塾」の石井奈帆子さん=佐賀市=は「子どもたちには働く意欲があり、得意なものを生かす視点を大切にしてほしい。苦手なことも、雇う側から少し手助けしてもらえれば社会貢献できる」と話す。

 宮城県のNPOここねっと発達支援センターの佐藤秀明理事長は「病院事務や行政書士、特別支援学校の先生になって活躍している人もいる」と事例を紹介。「理解者と支援者に恵まれたことが大きい。就職先を決めることだけに力を注ぐのではなく、本人のやる気を引き出す自尊心の回復にも力を入れてほしい」と提言する。
2012年07月17日更新

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