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外国人登録の新制度 行き過ぎた管理は疑問

2012-07-16 22:46:38 | 多文化共生
(以下、中国新聞から転載)
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'12/7/11
外国人登録の新制度 行き過ぎた管理は疑問

 日本に滞在する外国人を管理する新たな制度がおととい始まった。60年続いた外国人登録法を廃止しての大改革である。

 国内に中長期滞在する場合、従来の外国人登録証に代わり、日本人と同じ住民基本台帳に登録され、住民票が作成される。

 これまで、例えば国際結婚したカップルが各種の届け出をする場合、入国管理局と自治体との二度手間になることが多かった。市町村の窓口で健康保険などの手続きがスムーズに進められる意義は大きい。

 ところが、いわゆる不法滞在者は住民台帳に登録されない。このため乳幼児への予防接種の案内など自治体によるサービスが行き届かなくなる懸念がある。不法滞在は奨励できないにしても、人道的な見地からは過剰な排除とならないか。

 今回の新制度は2009年に成立した改正入国管理法などに基づく。テロ対策など国際的な管理強化の流れをくんだ改正である。内容はこうだ。

 外国人のうち在日韓国・朝鮮人たちには住民票のほかに「特別永住者証明書」が交付される。常に持ち歩く必要はない。

 改正法の原案段階では常時携帯が義務付けられていたが、国会審議で削除された。外国人登録とともに指紋押なつも義務付けられていた1990年代までに比べれば、隔世の感がある。

 一方、国内に3カ月以上滞在する外国人には、入国の段階で「在留カード」が発行される。

 こちらは常時携帯しなければならない。「就労不可」「在留資格に基づく就労活動のみ可」などと就労制限も明記される。

 この中長期滞在者は、在留期間の上限が3年から5年へ延長された。1年以内に再入国する場合の許可が不要となったことも含め、評価できる点だろう。

 半面、これまで転居の届け出を2週間怠れば20万円以下の罰金だったが、90日を超えると強制送還されるペナルティーが追加された。病気入院などの事情は考慮されるようだが、行き過ぎの感がなくもない。

 それ以上に気掛かりなのは「非正規」滞在者への対応だ。

 滞在期間を超えて在留資格を失った場合などでも、自治体はこれまで外国人登録証を交付していた。ところが今後は在留カードも住民票も作成されない。結果として、市町村が居場所を把握しにくくなる。

 このため母子手帳の交付、乳幼児健診や子どもの就学通知など、市町村からの知らせが届かなくなる可能性が高い。

 法務省は「新制度でも行政サービスの提供は続ける」という。ならば自治体の裁量任せにせず、仮の住民票発行などを制度化する方法もあろう。

 日本は、単純労働者は受け入れない基本姿勢を取りながら、研修や技能実習の名目で外国人を受け入れてきた。少子化に伴う国内の労働力不足を補うための現実的な方策とはいえるだろうが、一種のごまかしだとの批判も浴びている。

 それは国際化の進展に正面から向き合ってこなかった日本の象徴ではないか。少なくとも、国内でともに暮らす外国人の管理や排除を徹底するだけでは、「多文化共生社会」が実現できないことは明らかだろう。

 子どもたち弱者の立場に最大限配慮する方向で、制度の柔軟な運用に知恵を絞るべきだ。

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