(以下、日本経済新聞から転載)
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アジアで求人が増えている30の職種 CEOや銀行専門職などの求人相次ぐ
2010/4/27 7:00
(2010年4月10日 Forbes.com)
世界の多くの地域が大恐慌以来最悪の景気後退にあえぎ、欧米市場ではいまだレイオフや過去最悪の失業率といった話がニュースの見出しを飾る。だがアジアではすでに、企業は雇用を増やしている。
英スタンダードチャータード銀行は今後4年間にアジアで数千人を増員する計画だ。UBS、シティーグループ、バークレイズ、ドイツ銀行といった企業もアジアでの雇用を増やすと報道されている。
日本やオーストラリアは中国やインドなどの経済成長ブーム地帯からは外れているが、それでも雇用の点では好影響を受けている。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチはコーポレート・バンキング部門の日本人スタッフの50%増員を発表、大手銀行グループのオーストラリア・ニュージーランド・バンキング・グループ(ANZ)も最近、アジア市場進出に向けマニラに300人規模のオフィスを近く開設すると発表した。
アジアでの相次ぐ雇用増加の理由はもちろん、経済成長が最も速いのがアジアだからだ。銀行は新たに流入する投資資金を管理するための資金運用担当者、株式デリバティブ・トレーダー、コモディティ・バイヤー、数学にたけたポートフォリオマネジャーを増員する必要に迫られている。
雇用需要があるのは金融関係の職種ばかりではない。銀行が規模を拡大すれば、雇用の波及効果が発生する。これはアジア地域のすべての求職者にプラスとなる。弁護士、会計士、IT専門家など、おなじみの職種でも求人が増える。
一方でフィリピンなどではさらに、住宅ローン審査業務や保険アンダーライターの求人が増えている。同国などの新興国が、これらの業務のアウトソーシング先になっているからだ。さらに、新しく入ってきた多数の従業員を監督できる有能な人事担当者も必要になろう。
ヘッドハンティング会社、人材派遣会社、人材コンサルタント会社の専門家に「(アジアで)企業が今後数カ月間で新規採用を予定している職種」を問うたところ、監査人(会計士)から最高経営責任者(CEO)まで、30のポストが挙がった。
上層レベルの人材不足
組織の上層レベルで有能な人材が明らかに不足しているという点で専門家の見方は一致する。すなわち、リーダーの資質を持つ人材候補がなかなかいないということだ。
「中国に拠点を持つ外国企業は、拠点の運営を中国での事業経営に真に適した人材に任せるよう気をつける必要があります。単に中国語と英語の両方が話せるだけでは十分ではありません。地元の顧客と事業機会に通じている人物でなければなりません」と語るのは、アトランティック・リサーチ・テノロジーズのマネージング・ディレクター、ボブ・オーティス氏だ。「企業からの要望で最も多いのは、地元のマネジャーやスタッフをメンターとして指導できるゼネラル・マネジャー、その人のために働きたいと皆が考えるような、生まれついての素晴らしいリーダーを探してくれというものです」。
インドや台湾、東南アジア諸国でも同様に、経営幹部レベル(CEOなど肩書の略称が「C」で始まるレベル)の人材が不足している。また一方で、より下位の職種での求人もある。
インドやフィリピンのコールセンターでは、大手多国籍企業のカスタマーサービスやバックオフィス業務のために数千人のオペレーターを雇っている。このような大規模な組織には、スタッフを指導できる有能な幹部が必要だ。「外国人マネジャー1人につき、ITオペレーションなら平均200人、コールセンターなら平均600人の従業員を管理することになります」と、マニラに本拠地を置くChalre Associatesのリチャード・ミルズ会長は述べる。
専門家によると、国外で教育を受けたアジア生まれの人材か、大手多国籍企業のなかで成功してきた人材を上級ポストに据えたいと考える企業は多い。アジアでキャリアの大部分を積んだ外国人も同様に需要が多い。特別なスキルを持っていれば、大学卒業後のキャリアがまだ浅い人材にも需要はある。
CSRの専門家にも需要
金融に話を戻そう。英語求人情報サイト「ニュー・チャイナ・キャリアズ」のマネージング・コンサルタント、ドロン・バーマット氏によると、特定の種類のトレーダーの求人が特に多いという。大量の取引をさばくアルゴリズム・トレーダーやクオンツ・トレーダーは、数学かコンピューター・サイエンスか、エンジニアリングかのいずれかの技能がなければならない。こうしたポストでは言語能力や国籍よりもまず専門的知識が重視されると同氏は語る。
また企業の社会的責任(CSR)など、成長が著しい分野でも雇用機会が急拡大している。企業には自ら掲げたビジネス目標の達成だけでなく、コミュニティや世界をより良くするという社会的使命があると見なされると、専門家は説明する。二酸化炭素排出量の削減から、企業の透明性と多様性を宣伝するためのチャリティー・イベント後援まで、多くの欧米企業ではCSRは一つの経営戦略の柱になっている。「CSRをビジネスに組み込むことに関して言えば、欧米の企業はアジアの企業をリードしています。多くのアジアの国にとって、これまでCSRは比較的新しい概念でした」とバーマット氏は言う。
リーダーシップ・コンサルティングを行うハイドリック&ストラグルズのアジア地域CEO兼経営業務マネージング・ディレクター、アリス・アウ氏によると、中国の銀行業界でも雇用拡大の波が来ている。もう一つの波は、中国消費者の購買力拡大に後押しされているマーケティングや小売り、高級品の分野にきている。特に最高財務責任者(CFO)など経営最高幹部職の求人が多いという。
人材派遣会社ロバート・ハーフのマネージング・ディレクター、アンドリュー・モリス氏によると、アジアで特に求人が多いのは、金融ハブであり中国への玄関口でもある香港だ。また求職者にとってありがたいことに、これによる波及効果がまた大きい。
「昨年から人材市場は大きく持ち直していると思います」とアウ氏は言う。「特にアジアで企業の事業見通しが上向いてきたためでしょう。概して、すべての産業で実質的に新規採用が再開されています」。
アジアで求人が増えている30の職種(略)
by Hana R. Alberts
(c)2010 Forbes.com Inc. All rights reserved.
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アジアで求人が増えている30の職種 CEOや銀行専門職などの求人相次ぐ
2010/4/27 7:00
(2010年4月10日 Forbes.com)
世界の多くの地域が大恐慌以来最悪の景気後退にあえぎ、欧米市場ではいまだレイオフや過去最悪の失業率といった話がニュースの見出しを飾る。だがアジアではすでに、企業は雇用を増やしている。
英スタンダードチャータード銀行は今後4年間にアジアで数千人を増員する計画だ。UBS、シティーグループ、バークレイズ、ドイツ銀行といった企業もアジアでの雇用を増やすと報道されている。
日本やオーストラリアは中国やインドなどの経済成長ブーム地帯からは外れているが、それでも雇用の点では好影響を受けている。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチはコーポレート・バンキング部門の日本人スタッフの50%増員を発表、大手銀行グループのオーストラリア・ニュージーランド・バンキング・グループ(ANZ)も最近、アジア市場進出に向けマニラに300人規模のオフィスを近く開設すると発表した。
アジアでの相次ぐ雇用増加の理由はもちろん、経済成長が最も速いのがアジアだからだ。銀行は新たに流入する投資資金を管理するための資金運用担当者、株式デリバティブ・トレーダー、コモディティ・バイヤー、数学にたけたポートフォリオマネジャーを増員する必要に迫られている。
雇用需要があるのは金融関係の職種ばかりではない。銀行が規模を拡大すれば、雇用の波及効果が発生する。これはアジア地域のすべての求職者にプラスとなる。弁護士、会計士、IT専門家など、おなじみの職種でも求人が増える。
一方でフィリピンなどではさらに、住宅ローン審査業務や保険アンダーライターの求人が増えている。同国などの新興国が、これらの業務のアウトソーシング先になっているからだ。さらに、新しく入ってきた多数の従業員を監督できる有能な人事担当者も必要になろう。
ヘッドハンティング会社、人材派遣会社、人材コンサルタント会社の専門家に「(アジアで)企業が今後数カ月間で新規採用を予定している職種」を問うたところ、監査人(会計士)から最高経営責任者(CEO)まで、30のポストが挙がった。
上層レベルの人材不足
組織の上層レベルで有能な人材が明らかに不足しているという点で専門家の見方は一致する。すなわち、リーダーの資質を持つ人材候補がなかなかいないということだ。
「中国に拠点を持つ外国企業は、拠点の運営を中国での事業経営に真に適した人材に任せるよう気をつける必要があります。単に中国語と英語の両方が話せるだけでは十分ではありません。地元の顧客と事業機会に通じている人物でなければなりません」と語るのは、アトランティック・リサーチ・テノロジーズのマネージング・ディレクター、ボブ・オーティス氏だ。「企業からの要望で最も多いのは、地元のマネジャーやスタッフをメンターとして指導できるゼネラル・マネジャー、その人のために働きたいと皆が考えるような、生まれついての素晴らしいリーダーを探してくれというものです」。
インドや台湾、東南アジア諸国でも同様に、経営幹部レベル(CEOなど肩書の略称が「C」で始まるレベル)の人材が不足している。また一方で、より下位の職種での求人もある。
インドやフィリピンのコールセンターでは、大手多国籍企業のカスタマーサービスやバックオフィス業務のために数千人のオペレーターを雇っている。このような大規模な組織には、スタッフを指導できる有能な幹部が必要だ。「外国人マネジャー1人につき、ITオペレーションなら平均200人、コールセンターなら平均600人の従業員を管理することになります」と、マニラに本拠地を置くChalre Associatesのリチャード・ミルズ会長は述べる。
専門家によると、国外で教育を受けたアジア生まれの人材か、大手多国籍企業のなかで成功してきた人材を上級ポストに据えたいと考える企業は多い。アジアでキャリアの大部分を積んだ外国人も同様に需要が多い。特別なスキルを持っていれば、大学卒業後のキャリアがまだ浅い人材にも需要はある。
CSRの専門家にも需要
金融に話を戻そう。英語求人情報サイト「ニュー・チャイナ・キャリアズ」のマネージング・コンサルタント、ドロン・バーマット氏によると、特定の種類のトレーダーの求人が特に多いという。大量の取引をさばくアルゴリズム・トレーダーやクオンツ・トレーダーは、数学かコンピューター・サイエンスか、エンジニアリングかのいずれかの技能がなければならない。こうしたポストでは言語能力や国籍よりもまず専門的知識が重視されると同氏は語る。
また企業の社会的責任(CSR)など、成長が著しい分野でも雇用機会が急拡大している。企業には自ら掲げたビジネス目標の達成だけでなく、コミュニティや世界をより良くするという社会的使命があると見なされると、専門家は説明する。二酸化炭素排出量の削減から、企業の透明性と多様性を宣伝するためのチャリティー・イベント後援まで、多くの欧米企業ではCSRは一つの経営戦略の柱になっている。「CSRをビジネスに組み込むことに関して言えば、欧米の企業はアジアの企業をリードしています。多くのアジアの国にとって、これまでCSRは比較的新しい概念でした」とバーマット氏は言う。
リーダーシップ・コンサルティングを行うハイドリック&ストラグルズのアジア地域CEO兼経営業務マネージング・ディレクター、アリス・アウ氏によると、中国の銀行業界でも雇用拡大の波が来ている。もう一つの波は、中国消費者の購買力拡大に後押しされているマーケティングや小売り、高級品の分野にきている。特に最高財務責任者(CFO)など経営最高幹部職の求人が多いという。
人材派遣会社ロバート・ハーフのマネージング・ディレクター、アンドリュー・モリス氏によると、アジアで特に求人が多いのは、金融ハブであり中国への玄関口でもある香港だ。また求職者にとってありがたいことに、これによる波及効果がまた大きい。
「昨年から人材市場は大きく持ち直していると思います」とアウ氏は言う。「特にアジアで企業の事業見通しが上向いてきたためでしょう。概して、すべての産業で実質的に新規採用が再開されています」。
アジアで求人が増えている30の職種(略)
by Hana R. Alberts
(c)2010 Forbes.com Inc. All rights reserved.