
今回は季節外れの怪談ネタです。
以前「列車の幽霊」の話をしたことがありますが、それとは別にネット上で話題になっている話に「実在しない駅を見た、或いは下車した」と言う話があります。
ネット上でチェックしてみると特に有名なのは「きさらぎ駅」と「つきのみや駅」のふたつでこれが実録怪談での「謎の駅」の二大巨頭の様です(笑)
いずれも主に深夜に「それまで見た事のない駅に自分の乗っていた電車が停まる」「周囲の風景は普通なのに雰囲気が何となく異様」と言う共通点があります。
「きさらぎ」の方は経験者が実際に下車した上で色々経験されている様ですが「つきのみや」の方は列車の車窓からホームと周囲の風景を眺める形で経験されている様です。
「きさらぎ」は実際の経験談(行方不明者も1名いる様ですが)からして自分だったら絶対降りたくない駅なのでここではこれ以上触れません(汗)
ですが、もうひとつの「つきのみや」駅の方には結構惹かれる物があります。
「つきのみや駅」の経験談によるとこれは東海道線の夜行列車の乗客の経験談で真夜中にふと停車した駅の駅名を見るとそこが「つきのみや」で、見た目には結構な規模のターミナル駅風で周囲には超高層ビルも一軒あるらしいです。
この駅での降車客は数人いたとの事ですが何れも身長2M前後の影の様な姿だったとの由。
後から地図や時刻表を調べてもそんな名前の駅や町は見つからなかったというのがこの話の大体のアウトラインです。

事の真偽はさておいて、こうした隠れ里的な「実在しない駅」を題材にした小説には着想の異様さもあって印象的な物がいくつかあります。
国内ではK・ヒロシ氏の「雨美濃」、海外ではフィリップ・K・ディック氏の「地図に無い町」などでしょうか。
前者は上越線の水上駅の先にあるという地図に無い駅をめぐる一種のファンタジー風のショートストーリー
後者は「路線敷設争いに敗れて実現しなかった筈の駅(町)からきた客が切符売り場で困惑する」事が発端となるという一種のパラレルワールド(平行世界)ネタです。
この他、鉄道は出て来ませんがジャックフィニィの「夢の6セント銀貨」「コインコレクション(短編集「ゲイルズバーグの春を愛す」所収)」映像化された物では「決死圏SOS宇宙船」がなかなかの秀作で印象に残ります。
日本ではNHK少年ドラマシリーズの「その町を消せ!」辺りが有名どころでしょうか。
又、SFではありませんが萩原朔太郎の「猫町」もパラレルワールド性の高いファンタジックな経験談として好きな作品です。
さて、何故こんな話をしたかと言いますとこうしたパラレルワールド的な話はその存在の大半が架空であるレイアウトの作品世界の創造に大きなヒントとなり得るのではないかとかねがね思っているからです。


例えば前述の「地図にない~」は「こちらの世界では実在しない駅と町が存在する」という以外に元の世界との相違点はありませんし「コイン~」では元の世界とパラレルワールドの相違点は「ベストセラーのたばこの銘柄が違う」「マークトゥエインが元の世界より5年長生きしていた」と言った程度の物です。
それくらいの相違ならばレイアウト上の架空鉄道を成立させるための設定の前提として使えるレベルといえます。
さすがに架空の都市を存在させるとなるとかなりの変更を要するでしょうが、それとて不可能とはいえません。
この間ブログで書きましたが、レイアウトの特性のひとつが「作り手のイマジネーションの具象化」にあるならばこうした話というのも一つのヒントとして使えるのではないかと思います。
隠れ家ならぬ「自分だけの隠れ里つくり」というのはレイアウトの魅力としてなかなか面白く思います。
余談ですが「地図にない~」では平行世界の駅や街が徐々に現実世界に侵食してゆく展開ですが、コレ「自宅が徐々にレイアウトに浸食されてゆく様」ともオーバーラップする気が(汗)

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それは良いヒントですね。
自分で自分の世界を考えるにしても、やっぱり何かモデルがあると考えやすいですし。
僕は町を作るときは大体いつも地図に無い町ですかね笑。
リアルにこだわらないのでとても気分が楽です。
昔雑誌にも取り上げられましたが、徳永英明の「旅の贈り物」でしたっけ?、そういうのもありましたね。
旧客とゴハチがメチャメチャかっこよかったやつなんですが、あれ見て思ったのは、レイアウトにも物語が必要かな~、ってことです。
あの後作品を作るときは必ず何かの思い出とかを織り交ぜることにしました。
「レイアウトにも物語を」と言う考え、全く同感です。
そういう意味では一見無関係に見える小説や童話のなかにも「レイアウトのヒント、あるいはとっかかり」は転がっていそうに思いますね。