光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
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TOMIXの四季島とイベント列車のNゲージに思うこと

2019-03-05 05:23:04 | 思いつくままに・考察
 今回もある意味四季島絡みのネタですが、実際このモデルは色々と触発させたり考えさせたりするきっかけを与えてくれる意味でも重宝するモデルと思います(笑)
 先日購入したTMSの最新号の製品の紹介でもこの1アイテムだけで2ページも割いている(最近のTMSでNの新製品にこれだけのスペースが割かれるのは異例と思います)位ですし。

 実は今回の話を書いたのはサブブログで四季島の記事を連続してあげた際にあるコメントで「はしゃぎすぎではないか」という指摘をいただいたことがきっかけとなっています。

 事実コメンターの方のいう通りな面もあって、入線から一週間経ってもこれまでにない独特の高揚感があったのも確かですが、そこでふと思ったのが「はて、何でこんなに長い事はしゃいでいるんだろう?これには何か理由があるのではないか?」と思えたわけです。


 旧国鉄時代を中心とした私の子供?学生時代にかけて少なくとも私の故郷では「鉄道」というと「定期運用される列車」の事を指していました。
 これが都会だったら「団体専用列車」とか「修学旅行列車」といったイベント的な性格を持つ編成もあったのでしょうが、故郷で見る列車の中で一番華のある編成といえば「定期運用されているカラフルな特急、急行列車」しかないのが実情でした。

 曲がりなりにもイベント性がありそうな編成というと「鉄道80年を記念してやってきた旧客を牽引する義経号」とか「日立のイベントで全国を練り歩いていたポンパ号」位なものだったのではないでしょうか。

 そんな事もあってか模型の世界であっても鉄道趣味というのは妙に質実剛健を気取ったスノビッシュな面が前面に出てしまい、一部を除いてこの手の「チャラチャラしたイベント列車」は敬遠されがちだった気がします(そもそも田舎では実車を目にする機会がなかった)

 で、時代が下がり私がこの趣味を再開した前後というのは国鉄がJRに変わりあちこちに第3セクターの鉄道が登場したこともあってか集客目的のイベント列車が百花繚乱という時代になります。
 それも当初は保存車両の復活とか旧塗装の仕様をイベント目的で引っ張り出すといった従来の運用の延長に過ぎなかったのがある時期から「集客のための専用車両の投入」へと舵が大きく切られることになります。

 さらにこれが行くところまで行くと「目的地に行くことではなく列車に乗る事それ自体を目的とした豪華列車」という所まで行く。その萌芽がかの「OE88」辺りだったのではないでしょうか。四季島も当然その流れの延長線上にありますが、今では「わざわざそのためにオリジナルの車両、編成を新造する」というところまで来ています。

 模型趣味の世界もそうした潮流とは無縁なわけがなく、OE88を始めこの種のイベント性の高い車両が次々と製品化(何しろ前述の「ポンパ号」までモデル化されたくらいです)気がつくとクラブで行う運転会では必ずその手のイベント列車が複数行き交うのが当たり前という状況で現在に至ります。

 おそらくこういう風潮を苦々しく思っている純粋主義者のマニアも必ずいるとは思いますが、昔に比べてレイアウトや運転会が(少なくとも見た目の上では)華やかになったのは間違いないと思います。
まあ、それは置いておいて

 この種のイベント専用車、或いは乗る事自体を目的としたクルーズトレインが通常の列車に比べると華やかさを感じさせるのは確かで(通常の車両とこれらとの中間に位置するのが「ガルパン」「ラブライブ!」などのラッピング編成かと)従来のレイアウトとは異なる「線路上のお祭り騒ぎ、博覧会状態」が演出しやすくなっています。
それはそれで楽しいのですが、それらに供される車両モデルの大半は既存モデルの車体を新製したレベルに留まるので見た目の新奇さはあっても「わあすごい」のレベルを超えないものが殆どでした。

 実はTOMIXの四季島の面白いところは「実車のスペシャリティさに合わせる形で模型としての中身にも新機軸を打ち出し、中身の点でも模型ファンの興味も引く走るモーターショー状態を演出してリリースした」という点にあります。

 元々が「ハレの運用」を想定した編成ですし、モデルとして自慢できうる新奇な中身を伴っていれば自宅の運転だけでなく、レンタルレイアウトとか運転会での満足感もひとしおではないかと。
その意味においては今回のモデルはプロトタイプも中身も「お祭り」であるという点で従来のモデルになかった切り口を持っていると感じます。

 因みに模型としてこれに近い性格を持っていると思うのは「DVDや特別冊子までつけて自宅を博物館状態にしてしまった」KATOの50周年記念C50ではないかと。ただメーカーにとっての記念モデルという性格上四季島ほどには「誰にでもわかるスペシャリティ感」に欠けてしまったのが良くも悪くもマニアックですが。