

陸に上がって何を啄ばむか水鳥の群れ。

打上川治水緑地
尼崎市内を流れる庄下川の玉江橋(同市昭和通)付近に大量のコイが集まり、知る人ぞ知るまちの人気スポットになっている。体長五〇センチはあろうかという大型のコイが濃い魚影をつくり、橋の上から川をのぞき込む人影が見えるやいなや、一斉に口を開けてエサをねだる。「気持ち悪いけど、ちょっとかわいい」と口コミで評判になり、きょうもコイの群れ見たさに、人の群れができる。(黒川裕生)
河川を管理する同市によると、庄下川はかつて川底が見えるほど澄み、魚も泳ぐ清流として知られた。しかし高度経済成長期前後から工場排水などで汚染され、一転して「泥水のように汚い川」(住民の一人)に。その後、下水道などの整備に伴って水質が改善され、コイやフナなどが再び見られるようになったが、その正確な時期や生息数は不明という。
国道2号に架かる同橋付近で、パンくずなどをやる人が増え、エサにありつけると知ったコイが常に「滞留」。「身近な生物とふれあうきっかけになれば」と近くの尼崎商工会議所がコイ用のエサを一袋百円で売り出したが、「みんなエサを持参する」(同商議所)ためかほとんど売れず、昨年暮れには販売を打ち切った。
欄干からおにぎりを投げていた女性(68)は子どものころ、この川で泳いだ思い出があるという。コイに気付いたのは十年ほど前で、月に一、二度、同橋を通るたびに米やパンくずなどを与えている。「大きいし、色も黒っぽいからかわいいとは思えないけど、エサをやると寄ってくる姿がけなげで」-。