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ミス・パイロット

2013年11月03日 | ドラマを愉しむ
前回に引き続いて掘北真希ネタです。

2013年10月クールのフジ系列、火9ドラマの「ミス・パイロット」を見ていて思うのですが、やはり堀北真希は美人だと思う。目鼻立ちが整っているだけではなく、美しさとともに凛とした気高さが表情に表れていて、この2つが両立しているところが私は好きです。画面の中にいるだけで絵になるタレントさんだと思います。



就職時期を迎えながら将来の希望も志望もなく、手当たりしだいに就職面接を受けながら片っ端から不合格。可能性を広げるためにANAのパイロットを受けたところ、何と合格。二次だか三次の試験の際に、フライトシュミュレーターを操作させられて空を飛ぶ模擬体験をしたところ、パイロットという職業の魅力に開眼して、やっと将来の夢が出来た。ここのシーンでの彼女の表情の変化は、このドラマ(と言ってもまだ2話しか見ていませんが)の中でとても印象的で良かった。模擬体験とはいえ初めて空を飛んだのですから、何がしかの感動を持つであろうことは想像できます。彼女はとっても感動してしまった。その感動を、目の表情だけで静か~に好演していました。とてつもない感動を彼女が感じていることが、見ている我々にもよ~く伝わってきて、思わず彼女に感情移入してしまったシーンでした。

彼女の最大の売りは「初々しさ」なんだと思う。だからこそ言いますが、堀北真希はこの手の青春ドラマにこそ向いているのであって、前回エントリーした「白夜行」のような複雑な過去を持つ心の奥底に何かを秘めて、誰にも立ち入らせない屈折した女性を演じるには幼すぎるのです。幼い女優を主演に持ってきたことによって、せっかくの良質なミステリー映画が学芸会のように見えてしまったことが残念でなりません。

でもだ。このドラマはいかがなもんでしょうか?20代前半の未熟な若者たちが社会の荒波の中で、持ち前の純粋さを発揮すればすべての問題が解決されて、みんながハッピーになって、しかもこの世の中が良くなっていくだなんて安直な物語をいつまでフジテレビは作り続けていくのでしょうかね?「水戸黄門」に代表される勧善懲悪という分かり易い物語が一方にあるとすると、もう片方にあるドラマの筋書きは世の中の穢れに染まっていない純粋な若者たちが善意で一生懸命に努力すれば必ず良い結果を生まれてこの世がハッピーになるというものです。

この「ミス・パイロット」を見ながら考えてしまったのは、アメリカドラマの「グレイズ・アナトミー」でした。こちらも青春群像ドラマですが、医学部を卒業したばかりの若者たちが配属先の病院でインターンとして修行していく最中に、いろいろな出来事とぶつかり合う中で挫折したり絶望したり、時には若者らしい根性で成功を勝ち得ていく中で、人間として成長していく過程を描いたドラマです。子供は所詮子供、大人になる前の半人前の存在、という扱いの中で、彼らがいかにもがき苦しむ中で努力して成長していくかを描いているドラマです。そこには、かつて自分が体験した社会の理不尽や高邁な理想だけでは片付けられない現実が突きつけられているからこそ、主人公の若者たちに感情移入し彼らを応援したくなる物語があります。



「グレイズ・アナトミー」には、主人公のグレイの独白シーンが必ずあります。世の中が決して思い通りにならず、心が折れそうになる色々な出来事の中で自分が学んだことがグレイの言葉として番組始めか終わりに出てきます。かつて若者であった自分の姿と心の奥底に仕舞いこんでしまった色々な出来事を思い出させてくれ、過ぎた日々を投影できる独白があるからこそ、学芸会とは思うことなく自分よりも遥かに若くて未熟な若者たちの群像劇を見ることができるのだと思います。

これに比べて、この「ミス・パイロット」が相も変わらずに描き続けているのは、善意と純粋ささえあれば世の中はすべてが解決されて丸く収まる、という安直なドラマですよね。M1、F1は熱中して見るかもしれないが、社会の荒波に揉まれて成長した大人の私には背中が痒くなるだけだった。何で世の中の現実を直視しないのか!!F2、F3の女性が韓流ドラマに大挙して流れたのは、この種の若者に迎合した安直な物語に飽きられたためだとフジテレビはまだ分かっていないようです。

フジテレビは視聴率競争でダントツの3位に安住している中、ドラマに活路を見出したようです。人口動態を始めとして世の中が変わっているにも拘わらず、作られているドラマは相も変わらずに昔のまま。高年齢層もターゲットにすると言ってはいますが、F3狙いで作られたドラマが「抱きしめたい Forever」という局としての発想の貧困さを象徴する作品でしかなかったのは残念でなりません。

W浅野の過剰演技の合間に昔のシリーズの映像を埋め込んだだけの特番ドラマは、見ていて寒気がしました。あたかも、中学・高校時代に好きだった女の子に同窓会で会ったときのような幻滅感、イメージの中では昔の綺麗で可憐なままであった女の子が普通のおばさんに成り果てていた現実を見せられたと言うと分かりやすいでしょうか。W浅野にとっかえひっかえ衣装を変えさせ、彼女たちは今も昔と変わらないトレンドセッターなんだ、TVドラマはあんたたち視聴者より一歩も二歩も前を歩いているんだ、どうだ見てみろ、真似してみろ的は上から目線のゴーマンな姿が透けて見えてしまったのは私一人なのでしょうか? 昔ヒットしたドラマにあやかろうという安易な発想とプアなクリエイティブ、これでは何も変わらないし、かえって局としてのイメージを崩してしまいましたね。

ドリフターズの天下をひっくり返した「オレたちひょうきん族」や「笑っていいとも!」のように、前例に囚われることなくあっと驚くような新しく斬新なものを生み出して一時代を築いたTV局の雄としての気概が見られないことはとても悲しい。



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