べんりや日記

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在来木造について

2010-12-15 14:32:52 | 長期優良住宅
在来工法の構造材の仕口
ホゾの長さはこの程度で、金物で補強するのが一般の考え方です


昨年より仕様の検討を行ってきた、「越後匠の家普及協議会」ですが、その会議の中で、「ポピュラーな良く行われている在来木造」の仕様を学ぶことが出来ました。

伝統構法ばかり造ってきた私にとっては、当社の20年前位の仕様で、当時から進化しているのは、地盤補強、防水性能、断熱性能くらいでしょうか・・

構造に関しては、木の狂いを考慮していない事、全体の構造計画が甘い。金物の入れ方に工夫が無い・・という面があるので、この部分は改良の余地があると思います。

そんな中で、当社がこれ以上は妥協したくないという仕様を提案します。


 基礎に関しての仕様 「布基礎が主流の現在の在来木造住宅」


住宅瑕疵担保履行法が施行され、10年間の担保の保証を行わなければ住宅を建築することが出来ないという制度となっているので、保証の対象である基礎に関して「地盤保証」が無いと保険が適用されなくなっています。

地盤保証の無い時代は、「表層改良」が主だったのでしょうが、地盤保証を付けると、大規模な柱状改良が必修となっています。

当社の場合は、割り栗石地業による「ベタ基礎」が基本だったので、表層改良も行ってはいなかったのですが、地盤保証を付けるために、柱状改良を行うことが多くなりました。(よほど地山等で地盤が良好な場合を除いて、柱状改良をしなければならないという検査結果が来ます)


現在の、住宅の基礎は、ほとんどの場合、「柱状改良」を行うため、ベタ基礎まで施工しなくても、「補強しているから布基礎で十分」という見解になっています。

また、コスト面においても、ベタ基礎よりも坪2万円程度安く済むので、こちらを薦める事が多いようです。


当社でお薦めする布基礎の最低仕様



 仕様1.割り栗石地業
 仕様2.防湿シート+砂押さえ


仕様1 割り栗石地業

割り栗石地業に関しては、当社のベタ基礎と同様、「割り栗石」を一個一個手作業で地面に並べ、目詰め用の砕石を敷いて転圧を行います。
最近では砕石を機械によって厚めに敷いて転圧を掛けて終了するというのが基本のようですが、手間が掛からずコストは削減されても、地震時に砕石が流れてしまうという欠点があります。

新潟県中越地震では、基礎下の砕石が流れて中空となり、基礎が地面から浮いてしまうという現象も見られました。
当社で行っていた栗石地業の場合、石自体が動いても砕石のように流れ出さなかった経験があります。昔から行われてきた施工法にもちゃんと理由があるのです。


ベタ基礎の場合の「割り栗石地業」


丸い部分は柱状改良です。


一個一個手で並べます




仕様2. 防湿シート+押さえ砂敷き

ベタ基礎の場合、栗石地業を行った後に、防湿シートを敷きこみ、捨てコンクリートを打ち込み、その上に基礎を作ります。



ベタ基礎の場合の防水シートは全面に敷きこみます


布基礎の場合は、基礎を作って建て方終了後に外部を塞いでから、床下に防湿シートを敷きこみ、その上に砂を載せて押えます。
中には、防水コンクリートを布基礎の施工後に打ち込んだり、防水シートを敷いてからコンクリートを打ち込んで、見た目、ベタ基礎の様に見えるものもあります。

コスト削減から見れば、この方法でしょう。
ウィークポイントとしては、防湿シートと布基礎の継ぎ目から湿気が上がり、シロアリの進入路となる部分です。



布基礎と防湿シートの継ぎ目がウィークポイントです


実際、この部分から地下水が上がったり、シロアリが入ったりしているそうです。
ここを、どう処理するのかが耐久性向上の目安となるでしょう・・・
アスファルト系のブチル・テープ等を布基礎とシートの接合部分に貼るくらいでしょうか・・

砂で押えず、コンクリートを打って押えた場合でも、避けられない現象です。

後々のメンテナンスを考えれば、砂を敷いたほうが、テープを張替えするのに都合が良さそうです。(コンクリートで押えると、どうなっているか分らない)

底版が一体となっているベタ基礎ならば、防湿シートが全体に敷きこんであるので、上記の欠点は補えます。



 外壁の収まりの仕様 「外部のボードを貼る」


外壁の下地に関して、最近、ボードも貼らずにタイベック(透湿シート)のみの施工がポピュラーとなっているようです。これは、外壁で防水と防火の性能を得ようということだと思います。(コスト削減が最大要因)

たいていは、耐力壁部材が「筋違(すじかい)」なので、わざわざ外側にボード(石膏ボード等)を貼らなくても良いという見解なのでしょう。

当社の場合、外部に耐力面材を貼って耐力壁とするので、開口部分に石膏ボード等を貼って下地を平らにする必要があるので、ボードは必修となっています。


当社のお薦めする外壁の最低限の仕様



ボードを貼ることで、

1.タイベック(透湿シート)同士の密着度が強まり、機密性が強化されます。(中でピラピラしない)

2.表面の外壁材だけに頼らない「隠れた外壁」が形成されます。表面は単なる仕上げです。

3.防火性能が向上します。

3.ボードの分だけ断熱性が向上します。

という利点があります。石膏ボードは外壁部分全面に貼っても、材料だけで5万円位で済むので、それ相応の効果はあると思います。


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