何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

失敗の哲学

2011-10-08 21:36:10 | Book Reviews
「失敗の哲学 人間は挫折から何を学ぶか 畑村洋太郎・監修・著、日本実業出版社、2001年12月20日

p.3-4 いまの日本の閉塞状況を振り返ると、この種の「賭け」をせず、失敗を避けようとすることの「ツケ」が、そこかしこに見られる。失敗を「マイナス」と見る日本の分化についてはすでに何度も述べたが、それだけにとどまらずに、「失敗哲学」の不在が、社会システムをもむしばんでいるのである。

p.4-5 風潮として、事業をダメにした者は人格までダメとするところがあり、一種の「社会的いじめ」を受ける。これでは、新しいビジネスはなかなか育たない。また、それ以前に、新しいことへのチャレンジャーを減少させる悪影響をも生じている。
 なぜ、そうなるのか。
 もちろん、失敗を悪とする文化的風土があるが、それだけではない。単純にすべての失敗をマイナスと見るため、新たなことにチャレンジして失敗した人間も、失敗に学ばずに同じ愚を繰り返している人間も、区別ができない。

p.19 程度の差こそあれ、人間というのは「ミスをするようにできている」のである。もっと言えば、失敗するから人間なのだというくらいに考えないと、自分や他人の失敗を受け入れることができないし、そこから学ぶこともできない。どんなに注意しても失敗やミスは誰にでも起こる、人は必ず間違えるのだということを、まず認めることが基本だろう。

p.20 他人や自分の成功事例をマネしているだけでは、やがて限界がやってくる。昨日までの成功は、必ずしも今日の成功を意味しない。いままで前例だと思っていたことが使えなくなり、自分で判断して自分で動かなければならなくなって、右往左往する。いずれ、そういうときがやってくる。

p.22 失敗をおそれるのはいいが、失敗を許さないとか、失敗を認めないというのは、チャレンジするな、ということでもある。失敗から学ぶ体験学習がなければ、自分の力で新しい可能性を切り拓いていくこともできない。 #RM

p.24-5 「たまたまうまくいく」というのは恐ろしいもので、「もしかしたら、次もまたうまくいくかもしれない」と思い始め、それが、過信や確信のようなものになっていく。そうなると、おうおうにして大失敗につながっていく。

p.32-3 (「危ないかr」と、子供からナイフをとりあげてしまうと)予見性も身につかない。こういうことをやったら、どんなことが起こって危ないのか、といった訓練がなされないのである。行動する前からその行動の結果予測を自分の頭のなかでつくり上げていく能力というのは、たとえばナイフを使って痛い目にあい、痛みを実感するといった経験や体験のなかから育まれていくものだ。

p.34 (失敗をマイナス視するのは)欧米でも同じであって、人間だれしも「あいつはダメだ」と言いたがるものなのだ。日本人と欧米人に違いがあるとすれば、それは日本人が失敗を直視できず、「思いもよらない事故」だとか「予測できない事故」だという言い訳で、責任逃れを繰り返してきた点だろう。


p.55 三点の失敗原因は、“発想”“構成”“技術”であった。
 失敗した時は、この三点のどれかが欠如しているものでる。この過ちは、自分の過剰な思い込み、思い過しから生じているものである。

p.58 「よし、もう一度失敗をしてやろうじゃないか」という居直り精神で生きている人は魅力的である。失敗にマイナスを掛けるとプラスになると信じて生きる時、人間には強靭な精神が宿るのではないか。

p.82 失敗を成功に変えるには、失敗に漫然と対応するのではなく、何としても成功に転化する、「なにくそ」という気持ちが必要だ。

p.91 失敗は覚悟のうえ、しかし、何もしない失敗よりも、志のある失敗のほうが、はるかに勝っている。

p.177 誰しも失敗をしたとき、「こんなハズじゃなかった」と思うものだ。しかし、それは不可抗力が原因ではなくて、やはりそれなりの原因というものがあるはず。その原因を、どう冷静に受け止めるかで、あとがずいぶん変わってくる。冷静に受け止めれば、必ず取り返しはつく。

p.228 それ(失敗)をプラスにしていくためには、自分をよくしていくための試練だと考え、失敗を徹底的に分析し、二度と同じ間違いはしないぞと念じていく。仕事は人間性を高めていくための手段ですから、失敗も人間性を向上させていくための、一つのきっかけだと考えるようにしたほうがいいと思うのです。



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