何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

石橋を叩けば渡れない

2008-07-29 22:14:42 | Book Reviews
「石橋を叩けば渡れない」 西堀栄三郎・著、生産性出版、1999年3月30日

p.19 知識を得ることが科学である、としますと、その知識を、何かの目的に使うことが技術なのです。われわれの役に立つ、自分の生活が豊かになる、あるいは危険が減るとかいうことは、みんな技術を通じてのみできることなのです。

p.86 もとの個性というものは変えられないのですからそのままにしておいて、その代わりに短所になってあらわれているあらわれ方だけを、長所にふりかえるようにするしかないのです。
 欠点を直すと個性まで直してしまいますから、個性のあらわれ方だけを直したらいいのです。

p.92 (目的達成のための)手段方法についてのみ、考える余地を与える。しかも、それをある制限のもとに与える。そこで考える自由の度合いが問題になってきます。与えられた人は、与えられた自由の度合いの分だけ、責任を感じ、その責任をとった分だけ、意欲を感じる。意欲を持てば、その人はそれだけ能力が増してくる。能力を増すことによって、向上心という人間の本来持っている人間らしさというものを満足させることができる。

p.94・97 仕事をしていても、命令により行っているのと、自主的に行っているのとではその中身が全く異なる。
 片一方はやらされていると思うから疲れるので、もう一方は自分でやっていると思うから、ちっとも疲れない。それどころか疲れが直る。つまり自発的にやるというところに、非常な意義があるわけです。

p.105 人が人を使うという考え方は捨てなければならない、といいましたが、これは、リーダーがほかの人を使ってやってるんだということではない。みんなが一緒に共同の目的を果たしましょうぜ、ということなのです。

p.117-8 上役だけが人間で、下役は牛か馬だから、お前たちは何も考えなくてもいいのだ、おれのいうとおりにすればいいのだ、というふうにもしやったとするならば、下役はこの創造性のはけ口を、どこかに探すに決まっています。
 下役は、創造性を仕事のうえで発揮しないまでも、レジャーで発揮したっていいじゃないか、という人があります。その人は、仕事の報酬、つまり給料というものを、我慢をして仕事をするから、その償いとしてもらっているのだという考え方をしているのではないでしょうか。つまり、仕事というものはおもしろくないものだ、いわれるとおりに動いていればいいんだと、そういうことになってくるわけです。この考え方は全然まちがっていると思います。

p.119 働きたい、考えたい、喜ばれたい、人間性はこういうところにあります。これを生かしてやれば、意欲というものはますます強くなっていきます。それを手足をくくってしまって自由を与えないでおいて、そして責任を果たせ、責任をとれといっているのは、いいことではないのです。

p.124 会社の経営に、人間性をいささかでも無視するようなポリシーがとられるならば、その会社は間もなくつぶれるでしょう。

p.129 まず古いものをこわしてから新しいものを作ろう、という考え方をする人がいますが、私はそうではなしに、新しいものを作ったら、自然と古いものはなくなっていく、という考え方を持っています。

p.139 従来の教育には「教」はあっても「育」がありません。知識を授けるだけのものでした。したがって、「知識」はあっても「智恵」はない、ということになります。知識を「応用する才能」というものは、教えられるものではなく、失敗を恐れずに修業させて、育てるものなのです。
 育てるということは「成功」の味をしめさせ、「失敗」に学ばせることです。

p.143 創造性開発をやるときの、一番大きな方法は何だろうか、という検討をしました。その結果、それは、成功の味をしめさせることが唯一のトレーニングの方法だという結論に達しました。

p.148 創造性というのは、目的そのものにあるのではなく、むしろ、その目的を実現するための手段というものは自由であり、ここに創造性を発揮する余地があります。しかし、目的には自由はありません。これは絶対です。(創造性をふさがれると、仕事を投げてしまうことになりかねない)

p.150-1 創造性には、不満、要求、切迫感から生まれるものと、知識がもとになって生まれてくるものがある。

p.187 自主主義。一方は、やらされていると思わない、一方はやらされていると思わない、つまり「人が人を使う」のではなく、みんなでやりましょう、この「みんなで」という考え方を基本としているのです。

p.188 自由度(その人自身の判断によって行ない得る余地)を持つことによって、その人が創造性を発揮し、それによって自分の責任を感じ、その責任を感じた分だけやる気、意欲が出てくる。

p.205-6 企業の人事部は従業員全員の個性を尊重せず、画一的な扱いをしようとします。仕事の内容を無視して同じ服務規定を押しつけます。画一という一番安易な、平均値的な考えだけですべてを片付けようとするのですから、研究などできるわけがありません。

p.208 人間というものは、仕事をしている中で創造性を反映することができたとき、その仕事に本当に愛着を持つようになるものです。従って、リーダーは目的を十分に納得させ、その遂行ということさえしっかり押さえていれば、そのための手段、方法は部下の創造性にまかせればいいのです。

p.208-9 リーダーが、部下が失敗しても責任は自分が負うんだ、という気持ちでやれば部下は必ず育つものです。反対に、「俺が使ってやっているんだ」という気持ちがある間は、部下は育ちません。



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