いまの世界で大企業ほど厄介な存在はない。
前回に取り上げたコンビニ業界は、日本で導入されてから現在までに大きな発展をして、生活者に多大に貢献をしてきた。
それが、だんだんに大企業になっていくと、企業内部の論理が優先して利用者や社会への貢献については後回しにされる。
大量の期限切れの食品の廃棄は、大きな視点で見れば社会の損失であり、消費者にとっては無駄なお金を払わされていることになる。
どうしてこのような論理が通用することになってしまったのか。
少し掘り下げて考えてみる必要がある。
結局、コンビニ企業の本部にとって、最終的に商品が売れて利用されたか廃棄されたかは、利益に関係がなく、販売店への売上の数値だけが成果だと思い込んでいたことが原因である。
セブンイレブン本部は、24日になって廃棄食品の損失金額の15%分を負担すると公表したが、とてもその程度の損失負担では、廃棄食品を減らすことを痛切には感じない。
せめて、半分の50%を負担するくらいに法律で決めてしまえば、廃棄期限が迫っている食品は値引き販売をしてでも売り切りしようという努力に結びつく。
多くの不祥事やおかしな事件は、このように自分に被害が来ないような仕組みができている状況で起こる。
最近の金融業界の混乱は、最終的には政府が保証をしてくれるから、自分の損失は少なくて済む。
という「モラルハザード」の原理が働いているからである。
日本語にすると、「道徳の危機・倫理の欠如」という意味になるが、読者の方々はもう解っていただけるでしょう。
つまり、リスク(失敗する可能性)のある事業をしている人が、うまくいったときの儲けは全部もらえるが、失敗した場合の損失は国の税金で負担する。
これが典型的な「モラルハザード」であるが、金融業にかかわる場合だけではない。
アメリカの自動車企業、ゼネラルモータ―スは、経営者の莫大な報酬を続けながら経営判断をあやまり、住宅バブルの崩壊の影響を受けて一気に破綻に進んでしまった。
多くの方面の借入金をチャラにして、なおかつ税金を大量に投入せざるを得なくなった。
自動車産業は雇用への影響が大きいので、国が最終的には支えなければならない。この構造が「モラルハザード」を起こす原因である。
日本では、大手のスーパー「ダイエー」が危機に陥ってしまったが、これも大きすぎて潰せない企業ということで、国の税金を使って再建の途上である。
資本主義経済は、自己責任の原則で新規の事業を興し、成功すれば成果に見合った報酬が得られる。そして失敗したり、停滞・縮小の事態になれば、それは自分で損失を被り退場する。
これが原則であった。
しかし、いろいろな理由をつけて、税金の投入に頼る事業になったり、大きすぎる大企業になると、この「モラルハザード」が必ず起こる。
国内の事業であっても、このモラルハザードの監視は難しい。
それに対して、海外での事業展開はもっとリスクが高い。
このような事業に政府のお金を使うことは、大きな目的がなければ使うべきではない。
しかし、最近の原子力発電の海外事業展開には、経済産業省の強力な後押しと資金が投じられることになりそうである。
うまくいけば「原子力発電企業の儲け」。
大量の経済産業省幹部の天下り先である。
そして、もし、問題が発生して企業の対応では不足になれば、国際信義の建前から、政府のお金(国民の税金)を大量に使う羽目になる。
これでは「モラルハザード」が起きない方が不思議なくらいである。
日本の政府関係者は、最近の不祥事から何も学んでいない。
そして、多くの国民は身近なことにしか関心がない。
これではガン細胞が増殖してしまう一方である。
以下、次回に。
前回に取り上げたコンビニ業界は、日本で導入されてから現在までに大きな発展をして、生活者に多大に貢献をしてきた。
それが、だんだんに大企業になっていくと、企業内部の論理が優先して利用者や社会への貢献については後回しにされる。
大量の期限切れの食品の廃棄は、大きな視点で見れば社会の損失であり、消費者にとっては無駄なお金を払わされていることになる。
どうしてこのような論理が通用することになってしまったのか。
少し掘り下げて考えてみる必要がある。
結局、コンビニ企業の本部にとって、最終的に商品が売れて利用されたか廃棄されたかは、利益に関係がなく、販売店への売上の数値だけが成果だと思い込んでいたことが原因である。
セブンイレブン本部は、24日になって廃棄食品の損失金額の15%分を負担すると公表したが、とてもその程度の損失負担では、廃棄食品を減らすことを痛切には感じない。
せめて、半分の50%を負担するくらいに法律で決めてしまえば、廃棄期限が迫っている食品は値引き販売をしてでも売り切りしようという努力に結びつく。
多くの不祥事やおかしな事件は、このように自分に被害が来ないような仕組みができている状況で起こる。
最近の金融業界の混乱は、最終的には政府が保証をしてくれるから、自分の損失は少なくて済む。
という「モラルハザード」の原理が働いているからである。
日本語にすると、「道徳の危機・倫理の欠如」という意味になるが、読者の方々はもう解っていただけるでしょう。
つまり、リスク(失敗する可能性)のある事業をしている人が、うまくいったときの儲けは全部もらえるが、失敗した場合の損失は国の税金で負担する。
これが典型的な「モラルハザード」であるが、金融業にかかわる場合だけではない。
アメリカの自動車企業、ゼネラルモータ―スは、経営者の莫大な報酬を続けながら経営判断をあやまり、住宅バブルの崩壊の影響を受けて一気に破綻に進んでしまった。
多くの方面の借入金をチャラにして、なおかつ税金を大量に投入せざるを得なくなった。
自動車産業は雇用への影響が大きいので、国が最終的には支えなければならない。この構造が「モラルハザード」を起こす原因である。
日本では、大手のスーパー「ダイエー」が危機に陥ってしまったが、これも大きすぎて潰せない企業ということで、国の税金を使って再建の途上である。
資本主義経済は、自己責任の原則で新規の事業を興し、成功すれば成果に見合った報酬が得られる。そして失敗したり、停滞・縮小の事態になれば、それは自分で損失を被り退場する。
これが原則であった。
しかし、いろいろな理由をつけて、税金の投入に頼る事業になったり、大きすぎる大企業になると、この「モラルハザード」が必ず起こる。
国内の事業であっても、このモラルハザードの監視は難しい。
それに対して、海外での事業展開はもっとリスクが高い。
このような事業に政府のお金を使うことは、大きな目的がなければ使うべきではない。
しかし、最近の原子力発電の海外事業展開には、経済産業省の強力な後押しと資金が投じられることになりそうである。
うまくいけば「原子力発電企業の儲け」。
大量の経済産業省幹部の天下り先である。
そして、もし、問題が発生して企業の対応では不足になれば、国際信義の建前から、政府のお金(国民の税金)を大量に使う羽目になる。
これでは「モラルハザード」が起きない方が不思議なくらいである。
日本の政府関係者は、最近の不祥事から何も学んでいない。
そして、多くの国民は身近なことにしか関心がない。
これではガン細胞が増殖してしまう一方である。
以下、次回に。