庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

雇用対策が優先課題として、打ち出されているか。

2009-08-02 | 暮らし・健康問題
政権政党である自民党から、やっと7月31日に総選挙に向けたマニフェストが発表された。
責任を持っている政党であるから、具体性のある政策になっているとのふれ込みである。
しかし、重要な点については党内の意見調整が不十分で、従来型の努力目標的な精神論、総論の羅列であって、時間をかけたという割には内容的にはさびしい限りである。

まずは、雇用状況の将来をどのように考えているかの項目を点検してみよう。
目標としての数値は一切なくて、打ち出す政策の標題だけの様である。
つまり、従来のような「これこれをやります」という文字の羅列に終わっている。
たとえば、「残業削減で解雇をしない事業主への助成」による、「日本型ワークシェアリング」の強化をするという。

これはいったい何なのか。
残業をさせないようにした企業に、国が税金で補助する・・・・?・!・!!
冗談じゃない!企業が残業を削減するのは当然の義務である。
それをやらせるには、以前にこのブログに書いた様に、超過勤務手当の割増比率を現行の30%ではなく50%以上に引き上げることが有効である。
今のような低い比率では、働く人を増やすよりも残業で仕事を消化させた方が、企業が得する制度になっている。
仕事量が多くなれば雇用する人を増やす。これが正当なやり方である。
それを義務ずけないで、税金で補助するから残業を減らして欲しい。とは一体、どういう理屈なのか?

また、対抗する民主党では最低賃金を時間当たり1000円に引き上げるというマニフェストを公表している。
自民党の方は最低賃金の引き上げには何も配慮がない。
現在での最低賃金は全国平均で約700円であるという。
地域で一番低い沖縄県では、600円を少し上回る程度である。
これでは、1日8時間をフルタイムで働いても、1か月で11万円、1年間で130万円程度にしかならない。
このままでは生活保障を受けるレベルよりも低いくらいである。

前にも書いたように、資本主義経済では企業間の競争を、生産性向上への動機ずけとして利用する制度であり、その中で人件費の削減、つまり、時間当たりの給与を引き下げた方が有利になる。
また、少ない人数で残業をさせて仕事をこなした方が、人件費は少なくて済む。
これを自由に放置しておくと労働条件のダンピング競争が起きる。
現在はその悪夢が始まっていることを認識すべきである。

働く意欲のある人はすべて、一定以上の時間当たり収入を確保することが、安心社会の基本的な要素であるから、最低賃金の引き上げと超過勤務手当の割増率の大幅増加は、必須の雇用条件である。
自民党の中には、そのようなことが解っている人は、ほとんどいないようだ。
失業した人に対する手当、支援も大事だが、まずは失業を最小にする制度の方が重要であろう。

自民党の候補者の身近に、時間給で最低賃金の人はいないのであろうか。
また人件費削減の強化策から、要員を減らして過度の負担を残った人に負わせて残業でこなさせている企業は見あたらないのであろうか。
そして、労働者の権利である有給休暇を取らせないで、年末にはその権利をカットしている企業は見たことがない、というのだろうか。
そのようなことも調査せずに、作成したマニフェストでは、「安心」「活力」「責任」を3本柱とするとしている。

どうも自民党総裁は、漢字が読めないのではなく、漢字の意味するところを理解していないように見受けられる。
経済の活性化には、雇用確保で消費者としての国民を守ることが、国の責務の基本である。

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