庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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2000年からの10年は日本のエネルギー政策の空白期。

2010-12-25 | 経済問題
今、日本のグリーン電力産業は重要な岐路に立たされている。
10年ほど前に成立した「自然エネルギー促進特別措置法」は、その狙いとは裏腹に、『風力発電以外の再生可能エネルギー抑制法』であったことを昨日のブログに書いた。
これだけでは解りにくいので、もう少し、その説明を具体的に付け加えておきます。

既存の電力会社は、化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)を燃焼して発電する、火力発電が主体である。
これらは、大量に燃料を海外から輸入し、大型の発電所で効率よく発電することが、企業にとって最も収益性が良い。
しかし再生可能エネルギーなどは、どれも小規模の電力で、発電事業としては、手間がかかり効率の悪い仕事である。

1990年代を通じて大手の電力会社は、この様な手間のかかる上に収益も期待できない電力は、いわゆるゴミ電力として、できるだけ避けて来たのが実態である。

それに対して、国の方針として再生可能エネルギーを将来において促進させることを狙ったのが、この「自然エネルギー促進特別措置法」であるが、実質の買い取り義務量を最小の1%程度に抑制してしまった。

これでは安いコストで発電できる事業者の方が優遇されるだけにとどまり、それも買い手市場になるので、上乗せの金額はわずかに1~2円/kWh程度にしかならない。
買取りの義務量が少ないことと、優遇が微々たる金額では、風力発電の建設予定だけにとどまって、地熱発電、潮力発電は、まったく事業化が計画できなかった。

次世代のグリーン産業を育成するためには、それぞれの発電方式の技術進化を促す政策的な措置が必要である。
しかし、この【特措法】は、すべての発電方式を競わせる事が技術進歩になると、錯覚をした「自由市場信奉者の専門家、官僚、政治家」の未熟モノたちの浅はかな判断によって、発電方式毎の個別に優遇する制度を採用しなかった。

この措置は、たとえて言うならば、学力を向上させる政策を実施するのに、小学生も中学生も、高校生と同じクラスに入れて、そこで、同一の学習をさせることに等しい。
これでは、高校生だけが何とか学習できるが、他の生徒は全くのおいてけぼりになるだけである。

地熱発電に対しての買い取り義務量と優遇価格を、10年計画で検討して、技術進歩を促すのに適切な優遇価格を提示すれば、全国の事業者に対して適地を開拓するやる気を引き出し、それが、大きな技術進歩の要因となる。
同じ事を、潮力発電、バイオマス発電でも、個別の優遇政策を適切に提示することこそが、『次世代のグリーン電力産業』を育成することに繋がる。

この様な事態は初めから予測されていたのに、経済産業省と其の追従者は、目を向けないできた。

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