いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

この一万円札に

2005年07月08日 18時55分01秒 | シルバー社交ダンス風景
 今日、ワルツのレッスン時に、「ロックからシャッセ」のところは伸び上がる
気持ちでステップを踏んで下さい。と先生は、ポケットから一万円札を取り
出した。

 そして、生徒の前へ一万円札をぶら下げて、これを取って行く気持ちでス
テップを踏んでくださいと、私が名指しされた。よーし、あの一万円札をとっ
てやろうと踏み出せば、肩に力が入りズッコケた。

 それでも、ステップの仕方、状況が頭に残り、なかなか良い指導方法で
ある。一万円札の効用はまことに絶大である。

 休憩時間中《女性同士の会話》が耳に入った。
   あなた、ご主人いらっしゃるの?
   うん。今海外にいるのよ。7月13日になると帰ってくるの。
   まー、よかったわね。だけど寂しいでしよう。
   もう慣れちやったわよ!39歳のときからズーットと続いているから。
   よく我慢しているわね。
   しょうがないわよ。帰ってきたら、こう抱きしめて「愛してるわ」と言って
    《チイーン》だわよと手を横に振る動作をした。
   えらいわねー!
   だけど、7月16日には帰ってしまうの。
   寂しくなるけど頑張ってね。
   
と話は続きオネエ様は、相手の身の上話を真顔で聞き入って疑うことを
全く知らない。傍にいた私は、オネエ様に『大変だね。よく頑張っている
るね』と言えば、本当よ!「えらいわ」と感心しきりのオネエ様でした。

 この会話を耳にして、良き浮世かなと心和む一時でしたが、オレ・オレ
詐欺を思い出した。言葉の魔術によって多くの方の被害が続出している
ことを。

 今日の会話のやり取りを聞いていて、「言葉の魔術」は確かに存在する。
だけど、善良な人が多く存在していることを認識した楽しい一日でした。
   
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挨拶がわりの…(第13編)

2005年07月08日 08時18分13秒 | 娘のエッセイ
 先日のこと。私は家の近くのスーパーマーケットで、幼なじみのYちゃんに
似た女性を見かけた(Yちゃんは二人の子供の母親である)。

 さて、件の女性、Yちゃんに似てはいるものの、どう見ても四十代から五十代
にも見える風貌。私が声を掛けるか、掛けまいかと迷っていると、彼女の方か
ら声を掛けてきた。やっぱりそうだった。開口一番の彼女の言葉は「もう、すっ
かり中年オバサンになっちやった」。

 確かに、ぶくぶく(ピチピチではない)太った身体に、びろ~んとしたTシャツ。
ボトムはこれまたタブタブのモンペのようなウエスト部ゴム入りズボン。そのフ
ァションセンスは、まさに中年のお洒落じゃないオバサンそのもの。だけどね、
Yちゃんは、私よりたったひとつ年上なだけなのだ。思わず私は「自分から
『もう、すっかりオバサン』だなんて言い訳するくらいなら、もう少し努力したら
ら?」と言いそうになってしまった。

 どうして世の女性達の多くは、「年だから」とか「おばさんだから」という言葉
を言い訳に使うのだろうか。そしてそれよりも、何故世間の人々は初対面の
人に、挨拶がわりに年令を聞きたがるのだろうか。年令を教えた途端、自分
が相手の中の数少ないサンプルの中に分類されてしまうのかと思うと、正直
ウンザリする。

 そう思っていた矢先、私自身も無意識に相手に年令を聞いていることが多
いのに、ふと気がついた。なんだ、私もやっぱり日本の年令信仰に侵されて
いたのか…。年令は、その人の一部だし、女性に年令を聞くのは失礼なこと
だなんて、私は思っていない。

 でも「はじめまして。あなた、お幾つ?」
なんて挨拶は格好が悪い。また、それにモジモジしながら「もう、トシなのよ」
なんて答えるのも格好悪い。

 ああ、もっと爽やかな風のような、気持ちのいい挨拶がわりの台詞を使い
たいのに……。
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