いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

嫉 妬 (26編)

2005年07月22日 08時20分43秒 | 娘のエッセイ
 私は会社で4年間、三歳年下の女の子の嫉妬に悩まされ続けた。彼女の女性
上司は「彼女は劣等感が強くて、意地が悪いから」と慰めてくれたりしたが、と
にかく彼女の行動は私の友人達さえ「異常じゃないの?」と声を曇らせるくらい
常識を超えたものだった。

 しかも、被害者は私だけではなかった。仕事関係の男性○さんは、「彼女が夜
中に、泣きながら家に電話を掛けてくるので困る」とこぼした。もちろん彼には
妻がいて、彼女とは愛人関係でもなんでもなかったのに、である。

また、彼女抜きで会社の人達と飲みに行った時も、○さんは「きっと、今日のこと
も何処からか洩れて、あの子が泣きながら電話を掛けてきそうで嫌だ」と苦笑して
いた。

 嫉妬という複雑な感情は、時として人間の精神を異常にするのだろうか? 彼
女の行動は、完全に理性のストッパーがはずれてしまっているとしか思えない。

しかし、彼女自身は自分のしていることを、異常だと思ってはいなかった気がす
る。それは彼女が、嫉妬の矛先を、次々と多数の人間に向けていったことからも
わかる。

 妬み深い人というのは『自分が幸福になることより、他人が不幸になることのほ
うが重要』なのだそうだ。

たしかに、彼女は自分にとってはマイナスにしかならないような方法で、私に対応
していた。彼女には、私が嫌な思いをすることが何よりも嬉しかったのだろうか?
 『妬みとは偽造された賞賛、感嘆である』
とはキュルゴールの言葉である。

 そういえば、彼女は化粧品のメーカーを私と同じものに変え、私の服を批判しな
がらも同じようなコートを買い、私と同じアクセサリーを使うなど、何でも私の真似
をしていた。

 彼女はいつ、眼を覚ますのだろうか?
コメント (1)
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