いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

やさしさって何?(第9編)

2005年07月04日 08時47分49秒 | 娘のエッセイ
 彼女、あるいは彼らにとって「本当に為になること」ってどういうことだろ
うか? と私は最近いつも考えている。彼女、彼らというのは、私の新しい
職場である障害者の地域作業所に来所してくるダウン症のKちゃんであり、
また私が毎土曜日にボランティアに行っているRというグループのメンバー
のことだ。そこには小学生から高校生まで居るが、みんな知的障害者である。

 例えばKちゃんの場合、現在、会話をすることは出来ない。けれど排泄や
食事、歌うこと、折り紙を折ること、そしてリハビリを兼ねた各種の作業する
ことなど、いろいろなことが可能だ。もちろんそれには十分な時間をかけ、
Kちゃんのペースに合わせることが必要不可欠な条件であるのだが……。

 今、Kちやんは29歳。お母さんは、彼女をさらに自立させようと思っている。
昼食のことも「一食ぐらい食べなくても、死にはしないから」とお母さんは言
い、自分から巾着袋を開けるまで、ほっておいてもかまわないと言う。でも実
際、お母さんはkちゃんを急がすし、私達も、つい、箸を持ちやすい場所に置
いてあげてしまったりする。所内には食事介助の必要な女の子がひとりいる。
その光景を羨ましそうに眺めているkちゃんに、すべて自力で……というの
は環境的にも困難そうだ。

 また、ボランティア先のRでは、中学生以上の子供達の抱きつき禁止、と
いう決まりがある。自閉症の子供達が多いRだが、そこの子供達は明るく、
口も達者で活発な子供が大勢いる。ただ、前述のKちやんも彼らも、とても
甘えん坊だ。その甘えをどこまで受け止め、許容し、そしてどこで突き放す
か、ということは、とても難しい判断であると思う。

 あるボランティアグループに5年近く在籍している23歳の女の子が言った。
「私、福祉とかって、よくわからないんだ。ただ子供が好きで、可愛いから
(ここに)来ている。だから抱っこもしちゃう」。やさしさの形は、たくさんある
よね……。



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする