いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

やせて美しく…?(第11編)

2005年07月06日 14時43分09秒 | 娘のエッセイ
 医療関係の学校を卒業し、病院の受付、CADオペレーターという経路を辿った
私の新しい職場は、歯の技巧所となった。

 そこで私は、歯科医院から受け取ってきた歯型を見ながら、「これはCr(クラウ
ン)がひとつにIn(インフレ)がひとつ、それから模型料が半側」などといいながら、
コンピュータにデータを入力するのだ。その時には、当然歯型を手に取る。始め
はそのことについてなんとも感じなかったのだが、ある日ふと思ってしまった。
「これって、人の口の中に入ったものなんだよね。うっ、ばっちい」。私は思わ
ず身ぶるいをした。特に、歯型が湿っていたりしたときは、リアリティーがあって
一瞬言いようのない気分。

 ところが、慣れというものはどこにでも存在するらしく、今は歯型を眺めながら
食事をしても平気になってしまった。けれどその代わり、今度はその歯型たちの
歯並びの悪さが気になって仕方がない。「こんな歯並びで恥ずかしくないんだろ
うか?」などと、余計なお世話的発想をついしてしまう。

 海の向こうの国では、歯並びはその家の階級(クラス)を表すという。だから、
子供達の多くは銀色の矯正装置をつけられることになる。

 笑った時に、白い歯がキラッではなく、矯正装置がキラッというのは、多少、い
や、かなり格好悪いが、長い人生である。矯正中の数年間など微々たるものだ。

 最近は、日本でも歯列矯正が一般的になった。矯正の器具も銀色の他に透明
のもや白色のものもあり、目立たないようになってきた。かくいう私自身も矯正の
経験者である。矯正の結果、歯並びは良くなったが、食べ物を異常に細かく処理
してから食べるという当時の癖が直らずに、今もそれが続いている。

 だから、痩せたい人には矯正がお勧めだ。何故なら、痛いので食欲は減退し、
食後にする三十分間の歯磨きの面倒臭さは、間食の誘惑にも勝てる。矯正ーー
それは体形の矯正にも通じる。まさに一石二鳥の治療なのである。



コメント
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