Eur-Asia

西洋と東洋の融合をテーマとした美術展「ユーラシア(Eur-Asia)」の開催を夢見る、キュレーター渡辺真也によるブログ。

ボストン紀行

2006-05-02 14:00:42 | Weblog
NYでは、いろいろキュレーターの友人ダリトやジャーナリストのゴ-シャとのミーティングの日々を過ごし、今週末はボストンに行ってきた。アメリカン・アソシエーション・オブ・ミュージアムの会議とNYUのOB・OG会に出席する為だ。

しかし、ボストンに着いてOB・OG会に参加してみると、参加者は私と友人のイーナ、それとジェーンしかおらず、主催者側の教授カルロはちょっと困り顔。学生が卒業後にみんなメールアドレスを変えてしまって困るよ、とこぼしていた。しかし、人が少なかったので、カルロといろいろ話しができて良かった。

また、AAM主催の会議参加費用が1会議当り100ドルと聞いて、参加を断念する。参加者は皆、それぞれのミュージアムがスポンサーになって来ているのだそうだが、これはミュージアムに所属していない私には高すぎる。それでも、6000人の人が集まったというのだから、大したものだ。

その代わり、私は空いた時間をミュージアムのはしごに使ってきた。私の好きな建築家、ディラー&スコフィディオによる建て替えが決まったボストンICA、ガードナ-・ミュージアム、MFAボストンに行ってくる。特にガードナー・ミュージアムは初めて行ったのだが、あまりの中庭の美しさに唖然とする。あたかも教会のファサードのような壁に4面覆われ、天窓から差し込む光はとても独特のもの。ピエロ・デッラ・フランチェスカの絵画、ジョットとシモーネ・マルティーニの、テーブルの上で背にしあった絵画など、見所も満載。デ・ヤング美術館で私が気に入ったジョン・シンガー・サージェントによるガードナー女史の肖像やスペイン・フラメンコ絵画などが特によかった。

MFAではホックニーの個展を見た後、日本絵画のコーナーに行ってみる。立石晴美という戦前の日本画家による作品「クローバー」に引かれる。とても美しく、そして不思議なふわふわとした感覚の漂う絵画だった。

その後、同級生のイーナがMITのキャンパスを案内してくれる。大学ミュージアムが入っているIMペイの建物や、フランク・O・ゲーリーが最近立てた教室など、隅々まで案内してもらった。サラ・ヅェーやマシュー・リッチーらによるパブリックアートの数がとにかく多く、驚く。これくらいアート作品の収集・展示に力を入れている大学もないのでは、と思うほど充実していた。

ボストン滞在中は友人の池田孔介宅に滞在する。ちなみに孔介はよくNYに来た際はうちに泊まっている。まあ、いつも通り、いろいろ話をしてきたが、私はいつも孔介にやっつけられる側なので、今回は私も孔介に、作品に関する意地悪な質問を浴びせてみた。私の発言が、孔介の今後の作品制作にポシティブな影響を与える事を期待しよう!

そういえばボストンは、野鳥の多い所だ。町を歩いていて、ふと足を止めて鳥の鳴き声に耳を澄ましてしまう。鳥の声はなんて綺麗なんだろう、と今更ながらに思ってしまった。