穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

ドグラ・マグラ

2022-08-28 18:37:26 | 書評

 前回のアップからだいぶご無沙汰をしていますが、前回触れたベルクソンのまわりをチビチビ身を入れずに読んでいます。彼の主著と言う「物質と記憶」など。岩波文庫で訳者は熊野純彦氏。岩波文庫は訳者の略歴なんかを載せていないのでどういう人か調べました。門外漢なのでね。
 東大文学部長、東大図書館長などをされた方のようです。著書を見るとカント、ヘーゲル、マルクスなどについてのものがある。訳書ではカントの純粋理性批判などがある。なかなか多方面で精力的なかたのようです。
 今回この方に触れたのは、上記したベルグソンの訳書の解説の中で夢野久作の「ドグラ・マグラ」に触れているからです。一体どういう関係があるのか。この本は奇書だそうです。日本の三大奇書の一つと言う人もあるそうです。いまはなかなか入手できないという。で書名だけ記憶に引っかかったわけですが、先日書店で角川文庫にあるのを見つけた。上下各300ページ強、入手困難と言うが令和四年四月120刷発行とある。結構出回って売れているわけだ。入手困難(インターネット情報)なんて誤解されるようなことを書かないでほしい。
 さて「ドグラ・」(以下ド)ですが箸にも棒にもかからない駄作ですね。最も上巻二百ページ当たりで読むのを放棄しましたが。そしてベルグソンとの関係は熊野氏のいうように関係があるとも思えない。あるとすれば、曲解、こじつけがあるのかもしれない。
 大正時代、昭和初期には文壇でも、何もわからない連中(小林秀雄のような)でもみんなベルグソン、ベルグソンと騒いだそうですから夢野久作も相乗りしたのかもしれない。
 思想的なことは別にしても、小説としては拙劣です。ゴシック小説、ホラー、SF風通俗科学小説、推理小説といろいろレッテルは貼れるでしょうが、致命的なのは文章が不味い。記述が幼稚ということにつきます。

次回はフロイトとベルクソン


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