穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

ピンク・キャットこと大江健三郎

2009-08-03 13:00:28 | 書評

レフティというかピンキーというかレディッシュというか、左翼の諸君は宣伝のためにはいくらでも嘘をつく。

前々回に紹介した「大審問官」の中に出てくるブルガリアの幼児の話に関連してだが、それの矮小化された例がピンク・キャット大江健三郎君の例である。

すぐる大戦における沖縄戦で日本軍が住民に自決を強要したという主張があって、裁判であらそわれた。そのとき、その話を事実のように書いた大江健三郎が証人として召喚されたのである。

しどろもどろになった大江君は、みょうな言い逃れをしている。そういう雰囲気があったことが「事実」でそれを書いたまでだ、てな言い逃れをしたらしい。ようするに主義主張を同じくする人間からのまた聞きだったのである。


ドストエフスキーと蛮族2

2009-08-03 10:02:10 | ドストエフスキー書評

ドストエフスキーが晩年の父子三部作で登場人物の青年たちをして言わしめていることは、ロシアは西欧をモデルとして追いかけているということである。

さらに、当時ほの見えていた「西欧の没落」を救うのはロシアであるという、なんとも結構な気分である。このような気分を吐露するインテリ青年が一番目立つのは悪霊の青年たちであり、未成年これにつぐ。カラマーゾフは教養ある父親ではなし、息子もあまり教養のあるのがいないから目立たないが、同じような意見が散見される。

このパターンは明治維新後の日本の青年と同じなんだね。西欧をモデルにする。機械文明、物質文明ではモデルにするが、精神文明では西欧の欠点を補って世界を救うのは日本だというメシア思想ね。ほぼ、パラレルと言ってよい。

そしてヒンターランドには済度しがたい蛮族が控えている。ロシアの場合は回教圏であり、清である。日本の場合はシナ、朝鮮の土民ということになる。ほぼパラレル・ワールドだ。

1870年の農奴解放は日本の明治維新に相当する。明治維新は1868年。ロシアは二百年も前にピョートル大帝が西欧モデルを標ぼうしていたにもかかわらず、明治維新で開国した日本に40年後にキャッチアップされて手ひどくやっつけられている。

徳川幕府は鎖国といっても長崎出島を経由して管理された情報収集分析を蓄積していたから、なんなく、3,40年でロシアを抜き去ったわけだ。


ドストエフスキーと蛮族

2009-08-03 07:21:27 | ドストエフスキー書評

ドストエフスキーが社会、時事問題に強い関心を持っていたことは知られている。活発な時事評論活動をしている。彼は自分で雑誌を発行していた時期があり多くの時事評論を発表している。また彼の「作家の日記」シリーズの中には中、短編の小説のほかに時事評論がある。

ドストエフスキーの主張は保守といわれる。当時の外交問題については周辺の回教諸国なかんずくトルコ帝国への憎悪がむき出しになっているのが特徴である。

実態は逆でロシアの南方への帝国主義的膨張政策がトルコにとって、清王朝にとって、そして日本帝国にとって脅威となっていたのであるが、ドストエフスキーはとくに、トルコからロシアが脅威を受けていたように思っていたらしい。

これもロシア・ツアー帝国の宣伝活動をうのみにしていたからであろう。彼ら西欧(ロシアが西欧かどうかは問題で欧州であるかも疑問があるところだが)諸国お得意の宣伝謀略活動のお先棒を担いでいるわけである。その一つとしてこれまで「カラマーゾフの兄弟」について論じてきたからその中から例の「大審問官」のくだりを見てみよう。

>>

イワン・カラマーゾフ作の「大審問官物語」のなかで幼児虐待のコレクションが披露される。なかに、当時トルコの支配下にあったブルガリアかどこかで、トルコ兵が母親の目の前で幼児を空中に放りあげて下から銃剣で串刺しにするくだりがある。ドスト君は大真面目でこれを信用していたらしい。

アメリカ大陸でインディアンを虐殺しながら西部へ入植したアメリカ人がアメリカ・インディアンが捕まえた白人の生皮をはいでいるだのと宣伝したのと軌を一にする代り映えのしないパターンである。問題はドストエフスキーがこれを信じ切っていることである。

「神がいなければすべてが許される」などと深刻ぶって大弁舌をふるっていたイワン君がである。思い出しませんか、マレイシアの教科書だったかに、第二次世界大戦で日本兵が華僑の幼児にまったく同じことをしたと書いていたことを。ネタ本は明らかである。

マレイシアはマレイ人と流れてきた華僑で成り立っている。マレイ人は回教徒である。回教徒の残虐を示す話としてドスト本からか、あるいはもっとさかのぼった共通の根っこから同じ話が華僑にひろがっていたと思われる。あるいはドストエフスキーを読んだシナ共産党員が第二次大戦で反日宣伝のために広めた話かもしれない。

マレイシアではマレイ人が華僑の横暴、残虐に対して過去しばしば暴動を起こしている。おそらく本当の被害者は華僑に経済的に搾取され、植民地支配されたマレイ人なのだろうが。実態はアベコベに違いない。

つづく