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山本一力著・文春文庫 2004.11.25 590+tax
時代小説であるが切った張ったのチャンバラは一切ない。何故なら登場人物が江戸深川の長屋に住む人々であり、博徒や鳶の衆もからむが武士は一切登場しないからだ。
物語はひとりの京都出身の豆腐職人が独立しようと江戸にやってきて、長屋で出会った
桶屋の娘と結婚する。そして結婚後の彼らの子供たち親子二代に渡る豆腐屋の繁盛記というか家族間の愛憎劇を描く内容となっている。
京都で培かわれた上方風の豆腐が果たして江戸で受け入られるのか、それを妨害しようとする狡猾な同業者がいて、一方思いもよらぬ協力者がいる。
この江戸の昔の商売繁盛記ともいえる下りが面白く、更に枝葉となるエピソードを織り交ぜながら活き活きとした深川下町の庶民の人情が巧みに描かれている。エピソードといっても実は最後に重要な落ちをつくるという巧妙な筆者の布石があることを読者は最後に知ることになる。このあたりの伏線のもっていきかたは作者の秀でた力量ともいえようか。
江戸時代を背景としながらも家族の愛というテーマは普遍的であり、ことに子育てに関する父親と母親の葛藤は極めて現代的テーマでもある。
本編が平成14年の直木賞受賞作であることに納得するとともに今後どのような作品世界を築くのか期待したい作家だ。
時代小説であるが切った張ったのチャンバラは一切ない。何故なら登場人物が江戸深川の長屋に住む人々であり、博徒や鳶の衆もからむが武士は一切登場しないからだ。
物語はひとりの京都出身の豆腐職人が独立しようと江戸にやってきて、長屋で出会った
桶屋の娘と結婚する。そして結婚後の彼らの子供たち親子二代に渡る豆腐屋の繁盛記というか家族間の愛憎劇を描く内容となっている。
京都で培かわれた上方風の豆腐が果たして江戸で受け入られるのか、それを妨害しようとする狡猾な同業者がいて、一方思いもよらぬ協力者がいる。
この江戸の昔の商売繁盛記ともいえる下りが面白く、更に枝葉となるエピソードを織り交ぜながら活き活きとした深川下町の庶民の人情が巧みに描かれている。エピソードといっても実は最後に重要な落ちをつくるという巧妙な筆者の布石があることを読者は最後に知ることになる。このあたりの伏線のもっていきかたは作者の秀でた力量ともいえようか。
江戸時代を背景としながらも家族の愛というテーマは普遍的であり、ことに子育てに関する父親と母親の葛藤は極めて現代的テーマでもある。
本編が平成14年の直木賞受賞作であることに納得するとともに今後どのような作品世界を築くのか期待したい作家だ。
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