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min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

日本映画『飛べ ダコタ』

2013-10-10 21:07:28 | 映画・DVD
日本映画『飛べ ダコタ』

封切日:2013年10月5日
監督・脚本:油谷誠至
キャスト:比嘉愛未、窪田正孝、柄本明、ベンガルほか

シネマトゥデイの紹介文から(とても良くまとめられている)

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ストーリー:終戦から5か月後の昭和21年1月14日。上海から東京へイギリス総領事を送る途中だったイギリス空軍要人機ダコタが悪天候に見舞われ、新潟県は佐渡島にある高千村の海岸に不時着する。ダコタは砂に埋もれ、滑走路もないことから乗組員は島にとどまることを強いられる。敵国であったイギリス軍人を前に、戦争で家族を失った者、いまだ戦地から戻らぬ息子を待つ者も少なくない住民たちは複雑な感情を抱く。だが、ダコタの第一発見者である千代子(比嘉愛未)の父で村長の新太郎(柄本明)は、率先して彼らを温かに迎え入れる。

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この映画を観たかった理由はただ一つ“ダコタ”を見たかったから。
冒険小説好きな者たちにとってこのダコタ(DC-3)ほど胸が躍る飛行機はないのではなかろうか。
ダコタが登場する作品で有名なところでは

・「ちがった空」ギャビン・ライアル著
・「鷲は舞い降りた」ジャック・ヒギンズ著
・「DC‐3の積荷」グレイグ・トーマス著
・『飛越』ディック・フランシス著

が頭に浮かんで来る御仁が多いかも。
日本の冒険小説では森詠氏が取り上げてます。愛機キャサリンを飛ばす北一馬の「さらばアフリカの女王」と「風の伝説」。それと「燃える波濤」でも度々登場させてます。

尚、僕は未読ではありますが他にも
・「緑の地に眠れ」ダンカン・カイル著
・、「クメールからの帰還」ウィルバー・ライト著
があるようです。

今は亡き日本冒険小説協会の会長であった内籐陳さんはダコタに乗りたい一心でフィリピンまで出かけて乗ったとか。それほど魅力的な輸送機なのです!

映画の出来はさしおいて、もっともっとダコタを飛ばして欲しかったぁ。そしてコックピットや機体内部も写して欲しかった。
最後の離陸するシーンが一番感動的だったのだけどあまりにあっさりし過ぎ。あの爆音が耳に残るぅ。








ベン・アフレック監督米映画『アルゴ(原題:ARGO)』2012年制作

2013-03-05 17:39:19 | 映画・DVD
1979年11月に発生した在テヘラン米国大使館占拠及び人質事件のサブストーリーである。
米国大使館が学生を中心としたイラン国民によって占拠された際、この混乱のさ中かろうじて大使館を脱出しカナダ大使私邸に逃げ込んだ6人の外交官がいかにしてテヘランから脱出したかのサスペンス・ドラマ。
CIA工作本部技術部のトニー・メンデス(ベン・アフレック)はこの6人を救出するために架空のSF映画「アルゴ」の制作という名目を作り、テヘランに潜入。6人を制作スタッフに偽装させメヘラバード空港から一緒に出国しようという大胆不敵な作戦を考えだした。
傍目に見ても荒唐無稽な計画であるが、これは事実に基づいた物語というからあきれてしまう。
ま、頭を空っぽにして単なるエンタメ映画として鑑賞する分には面白い。

が、本作品が今年度アカデミー賞作品賞を受賞したと聞き、それはないんでないの?と思わず驚いてしまった。内容的にはアカデミー賞を取るほどの映画としての芸術性はさほどあるとは思えない。どちらかと言えば「反イラン映画」「CIA称賛映画」と受け止められてもしょうがない。
現在イランが核開発疑惑を受け欧米による経済制裁がなされる中、米国がこれ以上核開発を続行するのならば軍事介入も辞さないとアナウンスした状況を考えると、やはり“政治的理由”によるアカデミー賞受賞という線が強い。
映画の冒頭、大使館占拠事件に至るイラン現代史がナレーションのみでさらりと語られるのであるが、これはいかにもおざなりな説明であり、史実はこんなものではない。
イラン現代史の中でアメリカ、具体的にはCIAがなした事実はイラン政府がアメリカを称して“大悪魔”と呼ばわったほどの悪行の数々を行ってきた。
特に第二次大戦後、モサデク政権を陰で倒し、パーレビ傀儡政権を樹立したわけであるが、パーレビ国王在任中の秘密警察組織SAVAKを使ってのCIAの暗躍には戦慄すべきものがあった。当時の米国大使館はまさにCIAの巣窟と言っても過言ではない。

以下余談ではあるが、当時のイランに滞在していた僕はある種感慨深く本作品に見入っていた。1980年の8月に初めてイランの土を踏んだわけだが、当時のテヘラン市内のホテルから見たテヘラン郊外の山並やバザール(市場)の場面が懐かしい。
熱狂的とも狂信的とも言えるイラン人群衆の雰囲気もよく映像に捉えられているのには感心してしまった。
ホメイニ革命が起こった後にもパーレビ時代を懐かしむ人々が僕らの周りには多かったがやはり国民の貧困層には根強くホメイニ支持者が多かったわけだ。
イラン革命防衛隊は通称コミッティと呼ばれたが、その存在は旧SAVAKに劣らず国民に恐れられた。いわばナチスの親衛隊にも匹敵する組織であった。
映画でもその禍々しい雰囲気が出ており、僕も虫酸が走ったほどリアル感が出ていた。


キャサリン・ビグロー監督、米映画『ゼロ・ダーク・サーティ』

2013-02-22 04:23:32 | 映画・DVD
キャサリン・ビグロー監督、米映画『ゼロ・ダーク・サーティ』 2012年製作

オススメ度 ★★★★☆

ゼロ・ダーク・サーティとは軍事用語で午前0時30分の意味。オサマ・ビン・ラーデンの隠れ家襲撃作戦の開始時刻とのことである。
本編は一人の女性CIA情報分析官、マヤの目を通して描かれる、CIAによる10年に渡るオサマ・ビン・ラデンの追跡と殺害までに到る暗闘のセミドキュメンタル風映画。

2011年5月2日、米国の特殊部隊シールズによって遂行されたオサマ・ビン・ラデンが殺害されたことを知った米国民は狂喜乱舞した。その模様をニュースで見た僕はその狂乱ぶりに唖然としたものだ。
同時に,米国市民にとって9.11事件の首謀者と目されるビン・ラーデンの存在がかくも恐怖と憎しみの対象となっていたのか?と、ある意味衝撃を受けた。
その後彼を殺害するに到った作戦の経緯と実態はベールに包まれたままであったが、この殺害事件から2年と経たずに映画化されるとは思わなかった。

監督はあの「ハート・ロッカー」で勇名を馳せた女監督キャサリン・ビグローである。
今回も脚本をマーク・ボールと再び組んで、綿密な取材と徹底的にリアルティを追求した作品に仕上げた。
本作はCIA女性情報分析官側・マヤの視点から描かれている以上、アメリカ寄りの映画とも言えるだろうが、作品の中ではほとんど政治的イデオロギーが描かれるわけではなく、勧善懲悪の単純図式を描くわけでもない。そこにはCIAとアルカイダとの“殺るか殺られるか”の超ハード・ボイルドな諜報戦が描かれる。情報を得る為には凄惨な拷問もあるし、ありとあらゆるダークサイドが露わにされる。テロとの戦いに正義も仁義もないということだ。

ビン・ラーデンの死を確認し、マヤが帰国の途上の輸送機内で流した涙の意味するものは一体何であろう?少なくとも任務を達成した後の充実感とは程遠いものであったろう。
12年のCIAキャリアの中で青春期の10年間をオサマ・ビン・ラーデンの追跡に全てを費やしたマヤ。今残った感情はまさに“虚しさ”ではなかったろうか?
ビン・ラーデンは確かにいなくなったものの、彼の影響を受けたアルカイダの別組織と第二、第三のビン・ラーデンが生まれている。
つい先日に起きたアルジェリアのガスプラント襲撃事件がその象徴とも言える。
キリスト教を基盤にした西欧社会とイスラム教原理主義との戦いは一体何時まで続くのか?
中東・アフリカの石油、ガスという天然資源を巡って米国は深くこの地域に関与して来たわけであるが、天然資源を得た半面イスラム原理主義という負の遺産をも背負い込んでしまった。
米国は正に“パンドラの箱”を自らの手で開けてしまったわけであるが、この戦いは“百年戦争”以上の長がきに渡って米国を苦しめることとなろう。




映画「96時間 リベンジ」

2013-01-31 19:47:42 | 映画・DVD
仏映画『96時間・リベンジ (原題:Taken2)』

監督 オリヴィエ・メガトン
製作・脚本 リュック・ベッソン
キャスト:
リーアム・ニーソン (Bryan Mills)
マギー・グレイス (Kim)
ファムケ・ヤンセン (Lenore)


『96時間・リベンジ』の公式トレーラーを観て、これは明らかに第一作『96時間(原題:Taken)』を観てから劇場に行くべきかと判断した。さっそくTSUTAYAからDVDを借りてきて観てみた。
いやぁ、これがめっぽう面白い。物語は極めて単純明快。別れた妻との間にもうけた一人娘がパリ旅行で誘拐された。それを知った父親のブライアンは単身LAからパリに乗りこむ。ブライアンは元CIAエージェント。
CIAで培った人脈と殺人技術をもって、わずかな娘から得た手掛かりから犯人グループを割り出した。一見さもない中年親父の体型と風貌をもったオヤジがいざ敵に対峙したとたん豹変する。娘を救い出す為にはエッフェル塔だって壊してやる!と豪語するほどタフで凶暴なオヤジと化す。
誘拐犯グループはアルバニアの犯罪組織なのだが、このオヤジ、彼らを見つけ出すや片っ端から始末してしまう。娘の居場所を知るためには凄惨な拷問すら厭わない。
結果、たった一人でこの犯罪グループを壊滅させたあげく無事娘を救出してしまうのであった。
悪人には人権なぞ無く、その命に価値は無いとばかりにアルバニア人を虫けらのごとく殺す様はどちらが犯罪者か?と疑いたくなるほど。
よくアルバニア政府から抗議されなかったものだ(笑)だが、そういったヒューマニズムなんぞ考えずに観たらこんなに胸のすく作品はない。第一作を観て直ぐに思ったのはこんな仕打ちをアルバニア人にしたら絶対報復されるぞ!という思いがしたが、第二作はまさしくブライアンに対する犯罪組織からの報復であった。それもブライアンに電気による最も悲惨な拷問を受けて死んだ男の父親が今回のボスであった。

ということで、このアルバニアの犯罪組織のボスはブライアンが仕事でトルコのイスタンブールに現れるという情報をキャッチする。それも都合のよい事に元妻と娘が合流するという。
ボスは一族郎党を引き連れ車3台を連ねアルバニアからトルコに入境した。一味は用意周到ブライアンと妻を市内で捕獲し、更にひとりホテルに残った娘を捉えようとするのであったが。

今回もこの中年オヤジの強い事強い事。強さばかりではなく自分と妻が捕らわれた場所を特定する為に娘に手榴弾を投げさせ、音が伝わる速度で距離を測り三角測量で地点を探るなどアイデアいっぱい。オヤジの期待に沿うようけなげに努力する娘キムがなんとも素晴らしい。
かくして結論は言わずもがな。タイトルのリベンジは犯罪組織のリベンジとはとうていならなかった。リベンジされたアルバニア人が哀れに思えたくらいだ。
この一見“暴力至上主義”の映画に第三作目は要らんだろう。

映画『スカイホール』

2012-12-08 21:35:13 | 映画・DVD
サム・メンデス監督 映画『スカイホール』ソニー・ピクチャーズエンタテインメント配給 2012年製作

オススメ度 ★★★★☆

007シリーズ生誕50周年記念作品だそうである。思い起こせばシリーズ第一作『007は殺しの番号(原題:Dr.No)が世に出たのが1962年。今回の作品が23作目。
僕はガキの自分から生意気でこの手の映画は大好き。全作品を劇場にてほぼリアルタイムに観てきた。よくもまぁ50年も続いたものだ。

映画の冒頭から激しい活劇シーンが。何がなんだか良く分からないのだが、ボンドはある“リスト”を盗んだ犯人を追っている。この“リスト”は英国情報部M16がテロリスト組織に潜入させたスパイの“リスト”らしい。結果的に盗まれてしまう。
その責任を英国政府から糾弾されたMは辞任を迫られたものの断固拒否。直後M16のHQが目の前で爆破される。最終的ターゲットはM16並びしMそのものであった。一体どこの組織?誰なのか?
なんと犯人は元Mの部下のスパイであった。敵に捕らわれ長期に渡る拷問を受ける中、Mへの報復へと方向が狂いだす。だがこの男、最新最高のIT知識満載のハイテク男。M16のQをも翻弄する実力の持ち主。また不法なハッキングで巨万の富をも得ている。
果たしてボンドはこの犯人を捕えMを救うことが出来るのか?

ま、本筋は別にしても先ずオープニングのアデルの主題曲が素晴らしい。Qはすっかり若返っているのだが元Qがボンドに与えたアストンマーチンDB5が登場したのには驚いた。それも装備されたマシンガンが火を噴き大活躍!往年のファンにはたまりません!
それと他の人はどう思うか分かりませんが、Mの秘書マギー・ペニーの新たなるデビューに唖然呆然w
昔のマギー・ペニーもなかなかお色気があってよろしかったが今回の彼女は最高!どうして僕は黒人のカワイコちゃんに弱いのだろう???
かくして本シリーズもいろいろ様変わりして来たが、まだまだシリーズはづづきそうな気配だ。

「最強のふたり」と「エクスペンダブルズ2」

2012-10-21 20:04:51 | 映画・DVD
映画「最強のふたり」と「エクスペンダブルズ2」を立て続けに劇場で観た。題名だけ取ると「最強のふたり」も何か戦争か活劇風なタイトルに思えるがそうではない。
「最強のふたり」は久方ぶりに観るフランス映画で題名(いつものことで原題から程遠い命名)からは想像出来ない身障者と介護人の友情の物語である。


内容は映画.COMから引用すると、
「パラグライダーの事故で首から下が麻痺してしまった富豪の男と、介護役として男に雇われた刑務所を出たばかりの黒人青年の交流を、笑いと涙を交えて描く実話がもとのドラマ。まったく共通点のない2人は衝突しあいながらも、やがて互いを受け入れ、友情を育んでいく。2011年・第24回東京国際映画祭で東京サクラグランプリ(最優秀作品賞)と最優秀男優賞をダブル受賞した。」


主演のフィリップ役のフランソワ・クリュゼとドリス役のオマール・シー は本国フランスでこそ名が知れた役者のようであるが我が国では無名に等しい。
だが何故か順調にヒットしているようだ。
この映画で重要なポイントは現代フランスでの深刻な失業率の悪化でなかでもアラブ系及びアフリカ系の失業率は絶望的であること。
そもそも身体障害者と付き合うには不要な“同情心”を持ってはならない、ということ。互いに自分の殻に閉じ込まないで、相手の考えを尊重すること。これらの事が絡み合い、笑いながら涙を流して観る作品とあいなった。
フランス人のウィットとユーモアのセンス溢れる秀作である。


一方の「エクスペンダブルズ2」。一作目の「エクスペンダブルズ」をご覧になった方はとっくにおわかりかと思うが、金にあかせて作ったハリウッドの駄作。
だが今回は僕と同年代のかってはヒーローであったジジィが大挙して出演するという一点のみに注目して観てしまった。
だってスタローンをはじめ、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガー、ジャン=クロード・バン・ダム、チャック・ノリスが出るんだもん。
彼らのB級作品のほとんどを観たような気がする。彼らも題名のように次々と消耗品のように登場してはいなくなってしまった。
大方が寄る年波に勝てない動きであったがひとりチャック・ノリスだけが往年のキレを残していたような気がする。
もうこんな“おバカ作品”は出て来ないと思うが、出てきても観ないかんねw

邦画『外事警察 その男に騙されるな』

2012-06-05 08:57:17 | 映画・DVD
邦画『外事警察 その男に騙されるな』を封切日の6月2日に観た。この映画はご存知の通り2年前にNHKドラマとして全6話放映された『外字警察』の劇場版であるが、内容はその後の物語となっており、ストーリーも別である。
詳しい本作の内容は公式サイトを参照願いたい。
http://gaiji-movie.jp/

NHKドラマの内容があまりに秀逸であったため、どうしても本編劇場版をドラマと比較して同質のレベルで撮ってくれたかどうか懸念した。だがそれは杞憂に終わった。
監督(テレビでは演出か)は変わったものの、プロデューサー、脚本、音楽、そして何よりも出演者の大半がNHKドラマよりそっくり移動したから、映画の雰囲気は大きく変容していない。
照明の素晴らしさもあるし今回はハンディ・カメラを多用しており、その微妙に揺れる画面が臨場感を倍増させると共に全編に渡り緊迫感をかもし出している。
本編の原作は読んでいないが、原案者の麻生幾氏よりも脚本の古沢良太氏の辣腕のおかげで原作を凌駕しているのではなかろうか。少なくとも過去の事例では原作よりも脚本の効果が現れていたものと確信する。
主演の渡部篤郎の“公安の魔物”と呼ばれる住本の演技は益々その凄みを増し、特に重要な鍵を握るターゲットの妻を協力者として嵌めていくくだりは見るものをしてゾクリとさせる。一介の交通警官から抜擢された松沢陽菜(尾野真知子演じる)の成長振りに注目。確実に住本に対抗しうる人材になるであろう。
其の他に注目すべき演技者は在日二世で核爆弾技術を北に持ち込んだ学者役を演じた田中泯。この方はもともと世界的に有名な現代舞踏家なのだが、山田洋二監督『たそがれ清兵衛』でみせた怪演を覚えておられる方も多いと思う。今回も狂気を漂わせる学者を演じる演技には脱帽する。この先も是非映画界での活躍を期待する。
また外事警察の協力者になるよう嵌められた悲劇のヒロイン役を演じた真木よう子の鬼気迫る演技にも拍手を送りたい。
あと脇を固める俳優陣に言及したい。ドラマの時からその際立った個性を各々発揮してくれた遠藤憲一、石橋凌、余貴美子の存在は欠かせないものとなった。
常々、邦画は時代劇でなければ日本人の存在感がないのではないか!?と思い続けていたのであるが、本当に久しぶりに存在感のある現代劇の登場となった気がする。
最後に本編における韓国ユニットも秀逸であった。韓国俳優も良い味を出してくれたし、アクション場面での銃器に関しても日本のチャチなオモチャと違ってリアリティー感を充分に与えてくれた。

以下本編とは直接関係のない蛇足であるが、日本の諜報機関について述べておきたい。

そもそも我が国には「外事警察」という警察組織は存在しない、いや存在しないと思われている。現公安警察の内部に似たような組織名を見出すことが出来るが、原案者の麻生幾氏が描く「外事警察」はあくまでも架空の存在である。
映画の冒頭で登場した住本は“内閣情報調査室”の所属となっていたが、この組織は実在する。あと小説世界でよく取り上げられた諜報機関としては自衛隊の陸幕二部別班がある。この組織は現在名前を変えて存在しているようだ。
かっては第二次世界大戦前及び戦中の諜報機関はいろいろあったようだ。最も有名であったのが「陸軍中野学校」だろう。戦時中中国大陸で暗躍した諜報機関で有名なのは“児玉機関”。その他中野学校出身者でいくつかの諜報機関を中国以外でも作ったようだ。
現在の我が国では米国のCIAや英国のMI6、イスラエルのモサドなどに匹敵する諜報組織はない。
日本がよくぞ世界のエスピオナージ戦の中で生きてこられたのが不思議だ!と思わざるを得ない。こんな寂しい状況では先の中国大使館の一等書記官を捕まえ損なってスパイよばわりするくらいか。真のスパイは現政権の中にいるような気がするのは私ひとりであろうか?

米映画『ドラゴンタトゥの女』

2012-02-19 15:37:49 | 映画・DVD
映画『ドラゴンタトゥの女』


2011年アメリカ映画
原作: スティーグ・ラーソン
監督: デビッド・フィンチャー
キャスト: ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、クリストファー・プラマー、ステラン・スカルスガルド ほか

スウェーデン映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009)を、「セブン」「ソーシャル・ネットワーク」のデビッド・フィンチャー監督がハリウッドリメイクしたミステリーサスペンス。

作品内容の説明は↓の原作小説の我が感想を参照願います。

http://blog.goo.ne.jp/snapshot8823/e/2099c928e90c3297ecdb8760b63ac70c


スウェーデンといえば、森と湖そして白夜の国。社会保障制度が整い、フリーセックスの国。近年ではヴォルボを代表とする北欧随一の自動車王国また優れたIT産業の盛んな国家。
そんな我々のスウェーデンという国に抱くイメージを根底から覆すような作品である。

日本人が抱く理想的国家スウェーデンの闇の部分がかくもあからさまに描かれようとは夢にも思わなかった。
女性への暴力、人種差別、売春買春の実態、今も存在するナチズムの影響、不正蓄財会社の存在などなど、スウェーデンが他の普通の国家が持つと同様の“闇”の部分が抉られる。

本作の主人公リスベット・サランデルは謎を秘めた過去を持ち、自分はもちろん女性に対する虐待に対しては異常とも思える反応と行動にうって出る。
本編はリスベットの過去を明らかにしないまま、ミカエルと接点を持った後、ふたりはスウェーデン北部のヘーデビー島で起こった40年前の少女の失踪事件を調査する。
孤島といういわば密室に近い場所で起きた謎の事件はやがて猟奇連続殺人事件へと発展してゆく。
だが、これは後に続く怒涛の物語への“導入部”に過ぎない、と言える。

さて、作品の出来であるがスウェーデン映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」が原作に限りなく忠実であったのに比べ、監督デヴィッド・フィンチャー流にある程度脚色されている。
それはタイトルバックからして本編の始まりを告げるインパクのある音楽と映像であり、本編中に出てくる息を飲むようなスウェーデンの自然の映像が戦列である。
主人公のリスベットに関しては個人的好みから言えばスウェーデン映画のノオミ・ラパス嬢に軍配を上げたい。彼女のほうがより原作のリスベットのイメージに近いと思うからだ。
一方のミカエルだが、スウェーデン版の男優マイケル・ニグヴィストがあまりにもしょぼい中年オヤジだったので今回のダニエル・クレイグに大いに期待した。
ま、それなりの味は出していたと思う。
だが彼の場合、007シリーズのボンド役のイメージを我々の側で払拭しなければならない。

行方不明の少女に関する脚色とエンディングでリスベットが取る行動に関する脚色はいただけないし、何よりこの長大かた煩雑な物語をわずか2時間超の時間でまとめることは至難の技であることは明らか。

いずれにしても「原作小説」の面白さにかなわないということだ。



米映画『リアル・スティール』

2011-12-18 22:58:32 | 映画・DVD
本作の公式HPであらすじ見て下さいネ。

http://disney-studio.jp/movies/realsteel/main.jsp

とってもハリウッドらしい“映画のツボ”を押さえた作品です。ま、ひとことで言えば「ロボットを通して、父と子の絆を回復してゆく」という単純なストーリー。

舞台背景は2020年なんだけど、人間の代わりにボクシングで死闘を演じるロボットたち。登場するロボットの中にはJAPANの影響が大!父親チャーリーが入手した歴戦の中古ロボットのコマンド言語が日本語になっており、息子がゲームで培ったニホンゴで「右、左」という号令に反応する場面には爆笑。
また父子が起死回生の一打を放つチャンスを作ることが出来たG2世代の旧式スパーリング専用ロボットの名前がナント“ATOM”なんですよね。

近々未来にロボット技術がここまで到達するかどうか疑問を持つ方々が多いと思われますが、一度青山にあるホンダ・ショールームで新型アシモ君をご覧になってください。
その可能性が高いことを実感出来ます。
少なくとも“トランスフォーマー”に出てくるロボットより遥かに親近感?が沸くというものです。

主演の父親チャーリー(元ボクサー役)の顔、どっかで見た顔だと思ったらあの「Xメン」のウルヴァル(手が刃物になる)役をやっていた男優でした。それよりも彼の息子マックス役のカナダ出身のダコタ・ゴヨ君。君は転載だ!
完全に彼の魅力に周囲の大人たちは全員喰われてしまいました。恐るべき演技力で末恐ろしい役者になるであろうこと請け合い。
ATOMと踊るダンスが瞼に焼きついて離れません。久しぶりに理屈抜きに楽しめた感動作品です。