映画『ドラゴンタトゥの女』
2011年アメリカ映画
原作: スティーグ・ラーソン
監督: デビッド・フィンチャー
キャスト: ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、クリストファー・プラマー、ステラン・スカルスガルド ほか
スウェーデン映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009)を、「セブン」「ソーシャル・ネットワーク」のデビッド・フィンチャー監督がハリウッドリメイクしたミステリーサスペンス。
作品内容の説明は↓の原作小説の我が感想を参照願います。
http://blog.goo.ne.jp/snapshot8823/e/2099c928e90c3297ecdb8760b63ac70c
スウェーデンといえば、森と湖そして白夜の国。社会保障制度が整い、フリーセックスの国。近年ではヴォルボを代表とする北欧随一の自動車王国また優れたIT産業の盛んな国家。
そんな我々のスウェーデンという国に抱くイメージを根底から覆すような作品である。
日本人が抱く理想的国家スウェーデンの闇の部分がかくもあからさまに描かれようとは夢にも思わなかった。
女性への暴力、人種差別、売春買春の実態、今も存在するナチズムの影響、不正蓄財会社の存在などなど、スウェーデンが他の普通の国家が持つと同様の“闇”の部分が抉られる。
本作の主人公リスベット・サランデルは謎を秘めた過去を持ち、自分はもちろん女性に対する虐待に対しては異常とも思える反応と行動にうって出る。
本編はリスベットの過去を明らかにしないまま、ミカエルと接点を持った後、ふたりはスウェーデン北部のヘーデビー島で起こった40年前の少女の失踪事件を調査する。
孤島といういわば密室に近い場所で起きた謎の事件はやがて猟奇連続殺人事件へと発展してゆく。
だが、これは後に続く怒涛の物語への“導入部”に過ぎない、と言える。
さて、作品の出来であるがスウェーデン映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」が原作に限りなく忠実であったのに比べ、監督デヴィッド・フィンチャー流にある程度脚色されている。
それはタイトルバックからして本編の始まりを告げるインパクのある音楽と映像であり、本編中に出てくる息を飲むようなスウェーデンの自然の映像が戦列である。
主人公のリスベットに関しては個人的好みから言えばスウェーデン映画のノオミ・ラパス嬢に軍配を上げたい。彼女のほうがより原作のリスベットのイメージに近いと思うからだ。
一方のミカエルだが、スウェーデン版の男優マイケル・ニグヴィストがあまりにもしょぼい中年オヤジだったので今回のダニエル・クレイグに大いに期待した。
ま、それなりの味は出していたと思う。
だが彼の場合、007シリーズのボンド役のイメージを我々の側で払拭しなければならない。
行方不明の少女に関する脚色とエンディングでリスベットが取る行動に関する脚色はいただけないし、何よりこの長大かた煩雑な物語をわずか2時間超の時間でまとめることは至難の技であることは明らか。
いずれにしても「原作小説」の面白さにかなわないということだ。
2011年アメリカ映画
原作: スティーグ・ラーソン
監督: デビッド・フィンチャー
キャスト: ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、クリストファー・プラマー、ステラン・スカルスガルド ほか
スウェーデン映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009)を、「セブン」「ソーシャル・ネットワーク」のデビッド・フィンチャー監督がハリウッドリメイクしたミステリーサスペンス。
作品内容の説明は↓の原作小説の我が感想を参照願います。
http://blog.goo.ne.jp/snapshot8823/e/2099c928e90c3297ecdb8760b63ac70c
スウェーデンといえば、森と湖そして白夜の国。社会保障制度が整い、フリーセックスの国。近年ではヴォルボを代表とする北欧随一の自動車王国また優れたIT産業の盛んな国家。
そんな我々のスウェーデンという国に抱くイメージを根底から覆すような作品である。
日本人が抱く理想的国家スウェーデンの闇の部分がかくもあからさまに描かれようとは夢にも思わなかった。
女性への暴力、人種差別、売春買春の実態、今も存在するナチズムの影響、不正蓄財会社の存在などなど、スウェーデンが他の普通の国家が持つと同様の“闇”の部分が抉られる。
本作の主人公リスベット・サランデルは謎を秘めた過去を持ち、自分はもちろん女性に対する虐待に対しては異常とも思える反応と行動にうって出る。
本編はリスベットの過去を明らかにしないまま、ミカエルと接点を持った後、ふたりはスウェーデン北部のヘーデビー島で起こった40年前の少女の失踪事件を調査する。
孤島といういわば密室に近い場所で起きた謎の事件はやがて猟奇連続殺人事件へと発展してゆく。
だが、これは後に続く怒涛の物語への“導入部”に過ぎない、と言える。
さて、作品の出来であるがスウェーデン映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」が原作に限りなく忠実であったのに比べ、監督デヴィッド・フィンチャー流にある程度脚色されている。
それはタイトルバックからして本編の始まりを告げるインパクのある音楽と映像であり、本編中に出てくる息を飲むようなスウェーデンの自然の映像が戦列である。
主人公のリスベットに関しては個人的好みから言えばスウェーデン映画のノオミ・ラパス嬢に軍配を上げたい。彼女のほうがより原作のリスベットのイメージに近いと思うからだ。
一方のミカエルだが、スウェーデン版の男優マイケル・ニグヴィストがあまりにもしょぼい中年オヤジだったので今回のダニエル・クレイグに大いに期待した。
ま、それなりの味は出していたと思う。
だが彼の場合、007シリーズのボンド役のイメージを我々の側で払拭しなければならない。
行方不明の少女に関する脚色とエンディングでリスベットが取る行動に関する脚色はいただけないし、何よりこの長大かた煩雑な物語をわずか2時間超の時間でまとめることは至難の技であることは明らか。
いずれにしても「原作小説」の面白さにかなわないということだ。
ハリウッド版は書店の予告編しか見ていませんが、どうしても注目してしまうのはリスベット・サランデルがどんな顔・表情をしているか、ということですね。これはやはり、スウェーデン映画の女優さんのほうがはるかに雰囲気が合っている、ように思います。どうしても原作のイメージに近いリスベットを望んでしまいますね。
それにしても、一部のファンを除いてはほとんど話題にならない、日本においては不幸な小説のようです。