戦争とスパイと恋。ドラマチックですよね〜。
ドラマチックでロマンチックな映画を楽しむ気分で見に行って、
まあ大体その通り楽しめました。
久しぶりに変な役や汚い役やおっさんくさい役でないブラッドピットを見たけど
でも二枚目俳優としては、昔の輝きはもうなくて惜しいなぁ。
若い頃はロバート・レッドフォードと比べられる美しい男だったけど
レッドフォードがこれくらいの年の時って、まだまだバリバリの二枚目で
キレッキレの美しいいい男で、それがつまんなかったりもしたわけですが
ブラピは目に力がなくなったなぁと思う。
それで、甘さはもうないのに、渋さがまだ十分付いてない。
なんか、キレがないんだよねぇ、演技じゃなく二枚目役として、ね。
一方ヒロインのマリオン・コティヤールは相変わらず美しい。
正統派フランス女優って感じで、堂々と美しさを振りまいています。
モデルのような完璧さではなく、なんか人間臭い女っぽさはフランス女優だからか。
映画って、きれいな人もきれいさを振りまくわけにいかない役が多いので、
こういう、なにしろ女神のように美しい女の役をやるのって
ときどきだと楽しいだろうなぁと思う。
モニカ・ベルッチやマリオン・コティヤールみたいな美人女優を見ると
同じ人間の女とは思えないのは百も承知な上で、
あーわたしももう少し身なりや体やお化粧やいろいろ気をつけて、
ちょっとはいい女になろう、とおこがましくもずうずうしくも思ってしまう。
あのシルクのスリップ、ああいうのいいな〜ほしいな〜とか。(似合いません)
でもそういう風に銀幕にうっとりするのも映画の楽しさですよね。笑
お話は、ナチス支配下のカサブランカで、スパイ同士恋に落ち結婚した二人。
ロンドンで娘も生まれ、幸せな生活を送るが妻に二重スパイ容疑がかけられ・・・
冒頭の砂漠もきれいだし、カサブランカの町のエキゾチックな雰囲気や、
そこにいるマリオン・コティヤールの美貌や、
夜に屋根の上で語るシーンのロマンチックさや、見ている間は
いろいろとうっとりして満足してみてたんだけど、
後で考えると脚本にはかなり雑なところがいっぱいあったなぁと思う。
たとえば恋に落ちる前のふたりの、それぞれの人生や孤独が
もう少し描かれてたらよかったのに、というか、
いや描かれなくてもいい、せめて仄めかされてたら、もっと盛り上がったのにな。
お互いがお互いにとってかけがえのない特別な存在になる理由みたいなのが
普通は過去の孤独とかが描かれることで納得できるんだけどね。
まあ、スパイ同士危険な状況での吊り橋効果もあるし、
美男美女が恋に落ちるのに理由はいらないんでしょうけど、
陰影というものがないわねぇと、後で思い返すとしみじみ思った。
他にもそういう箇所が多いです。おとぎ話的に雑。
さて、その脚本の雑さ鈍さという点に関して
わたしにはどうにも納得できないことがありました。
でも、それは完璧ネタバレになるので、ネタバレ嫌な人はここからは読まないで。
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ええっと、子供が生まれるところでですね、
空襲の最中のすごい状況で生まれる感動的な場面なんですけど
子供を抱いたマリアンヌが迷いも躊躇もなくあらかじめ決まってたことのように
その子をいきなり「アナ」と呼ぶのです。そしてうろおぼえなんだけど、
会えたわね、だったか、ここに来たのね、だったかそういうセリフを
赤ん坊に向かって言うんですよ。その場面の唐突さ、不自然さが気になって。
夫婦で娘ならアナって決めてのだと無理やり考えても、その時の
「ここに来たのね」かなにかのセリフがずっと引っかかってて、
何かの伏線と思って最後まで待ってたのに答えが出て来なかったから、
お話のテーマより、そっちのもやもやが、、、(^_^;)
そしてあの、マリアンヌがピアノが弾けなくてスパイってばれたところでね、
アナを殺すと脅されて仕方なく!って言ってたけど、
マリアンヌがドイツのスパイだったのはアナが生まれる前、マックスに会う前、
カサブランカに行く時からだったでしょ?
その時、アナはまだ生まれてないでしょ?そこのつじつまも合わない。
マリアンヌはあの時代のナチス側のスパイだったわけです、最初から。
ナチスを憎む連合軍とは思想信条が全く違うはず。
恋に落ちて、変わったのだ、それでナチスのスパイも一旦やめたのだ、という
解釈しかないけど、命をかけた思想をそんな簡単に変えられるもんかな?
というところでマリアンヌの人物造形ができてないというか、抜けてるなー。
そして一旦やめたドイツのスパイを娘を守るために再び始めたという、
その、娘が生まれたあとのことはわかるけど、
じゃあその前の元々ナチスのスパイだったことは、どうでもいいことなの??
誰にでもある間違い、では済まないと思うんだけど。
いろいろとつじつまがあわなすぎる。
それでわたしは脳内でもう一つ物語を作ったのです。
昔マリアンヌにはアナという姉妹かいとこか親友がいて、
そのアナを人質に取られて仕方なくドイツ側のスパイになった、と。
恋に落ちて組織から逃げロンドンへ行き娘を生み、
その子に、無事かどうかわからない大事な姉妹かいとこか親友の名前をつけた。
しかし結局探し当てられて、今度は娘のアナを殺すと脅され
仕方なく再度スパイとしての活動を始めた・・・と。
これならいろいろな疑問が全部消えるんだけど
映画にはもちろん全くないわたしの妄想話なので
結局、映画自体に関してはモヤモヤが消えず、楽しめなかった・・・
まあこの映画、思わせぶりなシーンで何かのメタファーか伏線か?と思わせて
何もないしり切れとんぼの部分もたくさんあるし、
その逆になんか抜けてて意味わかんないけどあとで解決されるのか?と思わせて
最後まで抜けてるままの部分も多く、いろいろと杜撰ではあります。