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sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:芳華〜Youth

2019-08-23 | 映画


このタイトル、覚えにくい言いにくい意味取りにくい広がりにくいので残念ですが
これはすごくいい映画。ああすごくいい。
中国の映画には時々こういうスケールの大きさと描写の繊細さを併せ持つ
すごい映画があるなぁと思う。
大好きな映画、ジャ・ジャンクーの「世界」などと、どこか似たところがあると思う。
こういう映画は本当にどんな説明をするかより、実際に見るしかなくて、
見て初めて良さがはっきりと分かるタイプであらすじを言ってもあまり関係ないけど
物語は、軍で歌や踊りを披露し兵士たちを時に慰め時に鼓舞する役割を担う文工団に、17歳のシャオピンがダンスの才能を認められ入団するシーンから幕をあける。周囲となじめずにいる彼女の唯一の支えは、模範兵のリウ・フォン(ホアン・シュエン)。しかし、時代が大きく変化する中、ある事件をきっかけに、二人の運命は非情な岐路を迎えるー。何十年にもわたる関係を軸に、文工団の若者たちの初恋と交錯する想いが、心に沁みる美しい音楽と踊りに彩られ、描かれる青春ラブストーリー。 (公式サイト)
ああ、このあらすじではやっぱり何も伝わらないなぁ。

青春のきらめきをみずみずしい筆致で描く、というのは間違いじゃないけど
それだけじゃないのです。前半はこの文工団の世界なので、戦場に慰問に行ったりしても
他の人たちとは違ういわばスターたちなわけで、どこか浮世離れした世界なのです。
大変な時代と言われても、ここの人たちは全然お気楽だよなぁ、
特権階級みたいなものよね、食べ物も何も心配いらず歌って踊っている毎日だもんね、と。
ところが後半は舞台が変わって、まるで別の映画のようになるのです。
戦場、前線の悲惨な日々です。
文工団の思いやりのない自分勝手な世界に疲れたヒロインは前線で看護師として働きます。
この2つの世界の対比は鮮やかで、そしてどちらに人間の真実があるかも明白ですね。
ヒロインにしても、模範兵の子にしても、偽物のうわべだけの世界では
真面目で正直なものは損ばかりするし、そこから逃げてもやはり苦しむだけなのかと
後半に進むにつれ厳しい現実に苦しくなってくるけど
ラストには大きな救いがあるので、最後まで頑張ってみて欲しい。
ありふれた言い方だけど、お金や名誉や安楽ではない大事なものを知る人が、
ちゃんと自分なりのしあわせを手にできるというのは、本当にホッとする終わり方。

後半は胸の痛いシーンが多くて、涙でぼろぼろになりました。
心を病んだヒロインがひとり外に出てふわりふわりと踊るシーン、
ずっと好きだった人を友達にさっと横取りされた女の子が出さずに破いた手紙、
何十年も言えなかった思い。
ああ、書くとこんなにベタだけど、見ると本当にいいんです。見るしかない。

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