sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

「旅行鞄のがらくた」

2023-12-25 | 本とか
「旅はいつも楽しいことばかりではない。切ない思いをかかえてしまうこともある。人の感情、記憶といったものは厄介なもので、いったん哀しみの周辺に気持ちが入り込むと、自分一人の力で、そこから這い上がることができない時もある。」

フォトエッセイというか、小さいものの写真と文章が多めのこういう本が好きだ。
そういう類の本で一番好きなのはミランダ・ジュライの「あなたを選んでくれたもの」なんだけど
それはフォトインタビュー集と呼ぶにはあまりに読む作品として文学として成立し過ぎている。(褒めてる)
それに比べると、伊集院静のこの本は、あっさりしたとても気楽な読み物である。
「翼の王国」というANAの機内誌の連載だったらしく
機内で旅の予感あるいは余韻の中で気持ちよく読めるものになっています。
「翼の王国」がすごく好きだったことは上のリンク先のブログに書いてあるけど、
この前ANAの国内線に乗ったらもう「翼の王国」は紙の機内誌としてはなくなってて
電子化でデジタル版を読むようになっていた。寂しいことだなぁ。
でもそこでの連載が、こうして紙の本になるのはまだ救いかな。

旅先から持ち帰った「ガラクタ」の写真とそれにまつわる話で、
冒頭に書いたような文章はあるけど、ひとつひとつにちゃんとした物語があるわけでもなく
なんというか文学の香りはあまりしません。あくまで気楽な読み物。

とはいえ、こういうガラクタを眺めるのはとても楽しい。
これは競馬の馬券で、でも武豊のサインがあって、武豊との関わりが少し書かれている。
ゴミになるようなこういう半券、映画や美術館や切符や、そして馬券を
捨てないで持っていることの、その意味は「ガラクタ」ではないのよね。
わたしにも、そして誰にでもそういうものってあるよね。

お風呂で読んでいたこの本を読み終えた翌日に作家が亡くなったことが記事になっていて驚きました。
伊集院静は昔、雑誌かエッセイかなにかで、女の人が年を取って、体もこころもだらしなく弛んできても
そのだらしなさも、かわいいじゃないかと思う、というようなことを書いていたのをずっと覚えてる。
ああ、また食べちゃった、まあいいか、というような、自分に甘い女の人のダメさもかわいいじゃないか、と。
だらしなさなんて、もう人生の敵!でしかなかった超ストイック志向わたしには驚きの言葉だった。
そこまで許しちゃうのか、かわいいと思えるのか、大人の男ってすごいなぁ。
そりゃ、モテるわ、この人、と思いましたですね。(そう言いながら彼の妻たちは美女だったけど)
いつの間にかわたしも少しは大人の女になって、
自分のでも人のでも、敵!と思ってたそういう緩さ、だらしのなさを、
かわいいではないかと思えるようになってきたようにと思う。
だからって、別にモテてないけど。笑

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