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sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:フェアウェル

2021-01-25 | 映画


見るからにわたしの好きそうな映画です。
中国や台湾の映画で、家族が集まって円卓などで家族の食事をするシーンというのが好きなんです。
「再会の食卓」とか


「恋人たちの食卓」とか


「グッド・ラック・クラブ」とか

単にわたしが食いしん坊なだけなんだけど、特に中国映画の食卓に惹かれるのよね。
これらの映画に比べると「フェアウェル」は食事してるシーンはあるものの
食事の内容にあまり注意は腹wれてない感じだったのは個人的に惜しかった。
でも、それでもとてもいい映画だったので文句はありません。

中国系アメリカ人のビリーは、すっかりアメリカナイズされているけど
中国にいるおばあさんのナイナイが大好き。
その大好きなナイナイが余命幾ばくもないということで、
家族みんなでビリーのいとこの結婚式をでっち上げて帰省し集まることに。
余命のことを本人に告げない中国式のやりかたに反発するビリーは
自身も、夢を叶えられずにうまくいかない人生でもがいていて
中国で祖母や家族と過ごしながら、

ビリー役は「オーシャンズ8」でちょっとこの子すごくいいねと誰もが思った
オークワフィナ。ラッパーでもあり、今や大人気女優である彼女ですが
動きや話し方がやっぱりラッパーで、今時のニューヨークっ子にぴったりですが
個人的にももう少し落ち着いた感じがあっても良かったかなぁ。でもいい俳優。
彼女の存在感がこの映画の大きな魅力であることは否定できません。

ナイナイっておばあさんのニックネームなのか
中国語でいう「ばーば」みたいなものなのか優しい音ですね。
ビリーはナイナイが大好きでとても仲良しなんだけど
これって祖母と孫娘だからで、いわゆる嫁であるビリーの母親には
厳しかったり冷たかったり、いつも優しいばかりではないようだし、
ナイナイが実の母親だったら、わたしは窮屈だったかもしれない。
孫には優しいけど、子供には期待もするし甘えもあるし古風な考えを押し付けもする
昔ながらのおばあさんでもあるからです。
そういうところに皆あまり気づかず、やさしいおばあさんという印象ばかり強いのは、
親からの支配と抑圧に負け続けて生きてきたわたし個人は
ちょっとひっかかってしまう。いくつになってもこういう傷は癒えないもんだな。
祖母と孫という直接の支配が及びにくい関係っていいなとは思いました。

ナイナイは夫を亡くし、今は別の男性と住んでいるのですが、
この関係も少し面白いです。
その男性もずいぶんおじいさんで、もうずいぶんボケてる感じで
あまり役にも立たず解消もなく、ナイナイと愛し合ってる感じも特にないのですが
二人のシーンが少しあって、
年をとったもの同士が労わりあってる優しさだけでなく、そこはかとなく諦めや
ほろ苦さも感じさせる描写になっていました。
この二人の背景ももっと見てみたい気がしましたね。

あとナイナイの妹役の、真っ白いパンチパーマみたいな髪の不思議な顔の人が
なんとモデルになった監督の祖母の、実際の妹さんだというのも後で知ってびっくり。
確かに素人っぽさがあるんだけど、それがいい方に作用しててすごくよかったです。

監督のルル・ワンはアメリカ育ちのアジア系女性で、この一本で売れっ子になりますね。
彼女自身とその祖母との話が元になってできているのですが、
この映画には後日譚があって、
映画が終わって、エンドロールのところに出てきます。
このラストの話をすると、みんなにっこりおかしそうな顔をする。
ここからネタバレなので見たくない人は見ないで。


エンドロールで、このモデルのおばあさんが結局その後6年経っててまだ元気で生きている
映像がさっと出てくるのです。
がくっとなって、あははと笑ってほっとします。ここは事実の力があるなぁ。

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