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sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:パリのどこかであなたと

2021-02-15 | 映画


邦題で損してる映画よね。
原題は「Deau moi」ふたつの個人というような意味だと監督は言ってます。
英語のタイトルは「Someone, Somewhere」
とある男女の日々を追いながら二人が出会うところで終わる、
地味といえば地味な映画ですが、人を等身大に描くとはこういうことだなと思いました。
そして、恋愛映画ではありません、と言えると思う。
SNS時代のラブストーリーみたいに言われてるけど、そうかなぁ?
ヒロインが友達に勧められてマッチングアプリを試しいろんな男性と会いはするけど、
わたしには特にSNS時代みたいなものは感じられず、
ごく普通に、なんとなく寂しい時の出会いを求めている女性に見えました。
SNSだから、みたいなことより、過去を乗り越えるため
いろんな人と会ってみるというのは、昔からあったことよね。
そして、ラブストーリーとも、わたしはあまり思わなかったです。
ラブストーリーのブロローグよね。

隣り合ったアパートに暮らす30歳くらいのシングル男女。
女性は毎日やたら眠くて寝過ぎの不調でセラピーに通うと、
元彼との失恋の傷が癒えてなくて大泣きします。
だけど本当の原因は別のことのようで、いろんな人とあってみながら
ピンとこない毎日を過ごしている。
フランスならではというか、失恋のトラウマとかに悩む人に対して
周り中が、誰かと会ってみれば、恋をしてみたら、アプリもあるよ、と
恋愛を勧めるのですね。こういう恋愛至上主義というか、恋愛全能主義というか
そういう考えは日本では今時ではない気がするけど
やっぱりフランスはアムールの国なのかな。
ヒロインは硬質で真面目で少し頑なな感じのする女優さんです。

一方男性は、ヒロインとは逆に不眠で悩み、電車の中で倒れてしまいます。
それで彼もやはりセラピー(ヒロインとは別の人)にかかり、鬱症状を指摘される。
最初の方で、この人はどうもぼんやりしてはっきりしない優柔不断な感じだったんだけど
不調の原因が罪悪感だったとわかるまでに、優しい人なんだなとわかってきます。
途中、ご近所さんに子猫を押し付けられるんだけど
いや猫はかわいいけど興味はないし飼う気はない。みたいなことをモゴモゴ言ってる間に
ほいっと猫を抱かされて、これを言い終わるほんの数秒の間で
あっけなく「かわいいけど、いや、あの、いや、かわいいな。でも…か、かわいい」
みたいになるシーンが、猫も彼もすごくかわいい。
その後しばらくは、この子猫のシーンがあって、真っ白い子猫なんだけど
もうかわいくてかわいくて。見ている方も悶絶でした。

そういうふたりが、全然出会わない映画なんですが、
別に出会わなくても、ふたりのまあまあいい人間の背景を丁寧に等身大に描くだけで
十分見応えがあって、もう出会いやその後の面白さは別にいらないなと思える作品です。

そして観光的でもオシャレでもないパリの景色も良かったです。
二人が別々に通う近所の食料品店も無国籍な感じで、クセのある気のいい店主もいいし
(お米のお勧めを聞かれて、日本のお米を高いけど素晴らしい!と勧めてた)
その店主の甥がインストラクターをしているコンパというダンスのクラスも面白い。

これ見てすごく思い出したのが、5、6年ほど前に見た映画「ブエノス・アイレス恋愛事情」
これまたひどい邦題なんだけど、映画は本当にすごくよくて好きだった。
この映画とかなり似ています。最後まですれ違いながらも出会わない二人を描くのも
こっちの主人公二人はそれぞれエレベーター恐怖症と人広場恐怖症を持ってて
パリの不眠症と過眠症の二人という構図とそっくり。
こっちももう一度見てみたくなりました。
「ブエノスアイレス恋愛事情」

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