goo blog サービス終了のお知らせ 

sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

talk around books

2016-02-16 | 本とか
→そうやって、ばたばた、よろよろと、たどり着いた読書会。

奈良の県立図書情報館という場所で、
以前京都の素敵本屋さん恵文社一乗寺店の店長をされてて
今は独立して誠光社という本屋さんをされている堀部篤史さんが
コーディネイターをされてるシリーズの6回目でした。
他の回も興味はあったのだけど、何しろ遠いので、第6回だけ参加。
サリンジャーの「ナインストーリーズ」やカーヴァー、ブローティガン、
カート・ヴォネガットの「スローター・ハウス5」などアメリカ文学の入門に
ぴったりのシリーズで、近くだったら全部聴きたかったなぁ。

読書会とは書かれているものの、実際は堀部さんによるトークで、
参加者同士で話をするような部分はほとんどなかったのですが、
課題本だけでなく、ミランダ・ジュライの他の本や
彼女の他のアート活動など多方面にわたってお話しされて興味深かったです。
わたしは、彼女の映画はたまたま見てたし、
前に彼女の本についてブログに書いた時にも結構調べたので
情報的にはさほど新しい内容ではなかったのですが
とてもよくまとまって、わかりやすく約2時間あっという間でした。
おいしいお茶とケーキも出ていい時間だったなぁ。

ミランダの小説には大体、イタい女性が出てきます。
勘違い女だったり、やりすぎ女だったり、おどおど女だったり。
思春期に自分も覚えがあるような、自意識過剰な無様さです。
彼女は「自意識の重さとコミュニケーションの困難さ」を書いていると
堀部さんは言ってましたが、その通りですね。
そこから一歩出るような行動をしてみても、やはり無様なままの人間を、
どの短編でも繰り返し書いています。
今の自分なら、少しモゾモゾしながらも、読むことができるけど
若い頃ならなんだか自分の恥ずかしさを晒されたように感じて
もっと居心地悪く、登場人物にも好意的でいられなかったかもしれませんね。

彼女の小説以外のアート作品もいくつか紹介されました。
The Hall Way というインスタレーションは細長い廊下のあちこちに
手書きのテキスト(指示書?)がぶら下げてあるもので、
それは日本での展示では日本語に訳されています。
ググったら youtubeにありました。これ。


英語版。こういう指示は英語の方がしっくりくる気がする。



この名刺サイズのカードもいろんな指示のようなことが書いてある。
中にはアインシュタインやシャネルの名刺の偽物?も混じってます。


この本も、やはりいろんな指示を与えてそれへの回答の写真などを集めたもの。
たとえば、5年生の時の宝物は何?とか
あなたを泣かせた映画について描写しなさいとか、
両親のキスシーンを写真に撮るとか。

オノヨーコのグレープフルーツブック(わたしには何十年も大事な本)ほど
自分の、あるいは世界の何かを壊す、という方向ではなく、
でも甘ったるいスピリチュアルな自己啓発本みたいな
自分の内面を見つめて自分を認めて愛してやりましょうみたいな安易さもない。
この本は買っちゃおうかなぁと思ってます。
でも今ググったらサイトがあった!面白い!楽しい!
→Learning to love you more

あとは、彼女の作ったアプリですね。伝言ゲームみたいな、実用性のないアプリ。
誰かにメッセージを送りたい時に、アプリに登録してる別の誰かに指示が行き、
その誰かがメッセージを届けるというアプリで、でも出会い系ではなく
なんだか不思議な形のコミュニケーションを試すものです。

ソフィ・カルやオノ・ヨーコとの類似性にも触れていましたが
表現の方法が同じカテゴリーに分類されても
中身はそれぞれ違うなぁと、わたしは思います。
ミランダは、やはりなんらかのコミュニケーションの形とその先を、
小説も含めていろんな方法で表現していってる作家です。

というわけで、小説自体への言及は多くはなかったのですが
ミランダにとって小説も、他のたくさんのアート活動のひとつ、
という位置付けだということを考えると、こういうトークになりますね。
自分の中でも、ばらばらにぼんやりと気になっていたことを
きちんとまとめて見ることができて、いいトークでした。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。