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sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:猫と庄造と二人のをんな

2015-12-13 | 映画
これも今年の宝塚映画祭の谷崎特集の1本。

森繁久弥は大阪捨てた奴やから嫌いや、と言った人がいましたが
大阪時代の森繁久弥のうまさは、もう、いいやんそれくらい、と
思ってしまいます。
ダメな男、ずるい男、弱いだらしない男をやらせたら
彼より上手い俳優っているだろうか。
大阪弁の会話の中の、独特の間。感嘆しかない。

この映画では、がめついお母さんに追い出される嫁その1と、
持参金付きの金持ちの娘である嫁2の間で
右往左往する、相変わらずいい加減な男を、また上手くやってます。

がめつい強烈なお母さんは浪花千栄子。
綺麗好きで働き者で猫のリリィに嫉妬する嫁1を山田五十鈴、
奔放でわがままで自分勝手でだらしない金持ちの嫁2を香川京子。
香川京子がこんなちゃらちゃらしたわがままで派手な役をするのは
初めて見ました。でも案外、合っています。


(香櫨園海岸でいちゃつく庄造と浮気相手。のちに嫁2になる香川京子)
最初は、浮気相手だった金持ちの娘が嫁2になって、
うかれる庄造だけど、嫁1の反撃や嫁2のわがままに疲れ果て
争う女たちを冷ややかに見ながら、
「お前にとって一番大事なのはボクじゃないのや。お前の意地やないか」と
猫の方がずっとええわ、とか言うんだけど
元はと言えばこの男が、全然嫁と関係を築こうという努力をせず
面倒なことからは全部逃げて、猫とごろごろするばかりだったせいで、
この男のだらしなさ、ずるさ、甲斐性のなさから始まる話なのに、
女たちだけを浅はかな生き物みたいに言うのは、ずるいなぁと思います。

(争う嫁1と嫁2から逃げる庄造)

しかし、猫のリリィちゃんは、立派。いい演技してます。
そら、猫の方がいいわな、と思わせます。笑

細雪の船場言葉とは違う
庶民のこてこての大阪弁のやりとりが、とても楽しい。
遠慮なくずけずけとやりあう女たちの威勢のいい言葉と
もうなんやねんなぁ、ええかげんにしてぇや、とぼやくように
ブツブツ言う男の言葉と、どちらも今はなかなか聞けないリズムです。


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