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sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:さよなら僕のマンハッタン

2018-05-24 | 映画


昨日書いた「ロンドン人生始めます」と続けてはしごして見たんですけど
ニューヨークやパリやミラノやローマや、そういう都市の名前をタイトルにつけるのって
上手くやらないと本当にダサい。
「ロンドン人生始めます」は、これよりもっとダサいけどね。
原題「Hampstead」は舞台になる町の名で日本人には耳慣れないかもというのはわかる。
それ以前に、原題にない「人生」という日本語の入った邦題は一つ残らず攻撃しますけど
それにしてもなんで「ロンドン人生」になるのか・・・と、ため息がでました。
「さよなら僕のマンハッタン」の原題は「The Only Living Boy in New York」
サイモン&ガーファンクルの曲のタイトルで日本では「ニューヨークの少年」。
映画の邦題は、おそらくニューヨークをも少し「ナウく」しようと、
マンハッタンになったんでしょうかね。
「さよなら」もよくわからん。「ロンドン人生」よりはマシだけど、ダメですねぇ。
洋画を10本観るうちの8本くらいは邦題に難があるので、いちいち書きたくないけど
有名観光都市をダサくないタイトルにするのは難しいですよ、と繰り返し言いたい。

さて、映画ですが、なんか東京の人が描く東京の物語のような感じがある。
その街の意味がわかってないと読み取りにくいことがたくさんあるというか。
高級地域に住んでる父親が、そうでない主人公に何度も引っ越せというんだけど、
それぞれの地域の意味するものがわかってないと、
いまひとつイメージがわかないというような箇所がたくさんある映画かな。

お話は>大学卒業を機にアッパー・ウエストサイドにある親元を離れ、ロウワー・イーストサイドで一人暮らしを始めたトーマスは、風変わりなアパートの隣人W.F.ジェラルドと出会い、彼から人生のアドバイスを受けることに。ある日、想いを寄せる古書店員のミミと行ったナイトクラブで、父と愛人ジョハンナの密会を目撃してしまう。W.F.の助言を受けながらジョハンナを父から引き離そうと躍起になるうちに、「あなたの全てを知っている」という謎めいた彼女の魅力に溺れていく。退屈な日々に舞い降りた二つの出会いが彼を予想もしていなかった自身と家族の物語に直面させることになる・・(公式サイトより)

トーマスはモデル出身の俳優さんで、188センチのすらりとした体に
繊細でやさしい顔で、エディ・レッドメイン君に似てると思ったら
次の別の映画では兄弟役で共演するのね。
同じ映画監督マーク・ウェブの撮った「(500)日のサマー」の主人公の
ジョゼフ・ゴードン=レヴィット君にも似てる。
こういうタイプの、繊細でやさしい顔で、すらっと背の高い俳優さんは好み。
この子がいろいろ悩むわけですが、青春の悩み風なんだけど、
特に恥ずかしいような青さというわけでもないんです。
無理して背伸びして一人前ぶってるような恥ずかしさもあまり感じない。
賢い子なんですよね。そして賢い子なのでそうは見えないけどわりと素直。
自分の中に親への反抗成分があることも、ちゃんと自覚しているし、その上で、
親から遠い安アパートに住み、ほどほどに働き、自分なりの生活をしている。
最初は、自分の人生の凡庸さ、何も起こらなさに行き詰っていて、
作家になりたい自分の人生がこんなようではと、焦りと鬱屈があったのが、
ラストでは人生を凡庸たらしめ退屈たらしめていたものから自由になって、
それが彼の人生や彼自身をダメにすることは無くなったのではないかなと思う。
たとえ、また退屈な日常に戻ったとしても、彼自身が変わったことで。
という、成長物語ではあるのですが、
それだけでなく後半とラストの展開も結構面白かったです。
後から考えると、まあよくあるタイプの話だし、終わり方はできすぎだけど
見てる間は、わたしが鈍いせいか、全然気づかなくて、話の展開に
そうだったのか!と一瞬驚きました。

謎の隣人役のジェフ・ブリッジスはずいぶん老けたなぁと思った。
年は取ってるけど、なんかまだちょっといい男、というのをもう過ぎちゃって
かなりのおじいさん感が出てきた。
母親役のシンシア・ニクソンは「セックス・アンド・ザ・シティ」シリーズの
弁護士ミランダの人で、この前見た「静かなる情熱エミリ・ディキンスン」にも
主演していて、頑張っているけど、この映画ではミスキャストな気がします。
意固地で気の強い皮肉屋の役が板につきすぎてて、傷つきやすく美しい母、
みたいな役には似合ってないような。健闘していると思うけど・・・

悩みの多い青春でも、こういう青春を生まれ変わったらやりたいなぁと思うのは
この街の魅力も大きいですね。
現代のニューヨーク批判や失われたニューヨーク懐古な話がたくさん出てくるけど
それでもこの街を生き生きと描こうとしている映画で、監督はこういってます。
私が信じているのはニューヨークが常に進化していること、そして驚くほど雑然としていると同時に美しい街であることです。物語を描くにはピッタリの環境なのです

いくつかのレビューで、映画「卒業」との類似について書かれていたけど、
「卒業」は二人の女性の間で揺れるモラトリアムな青年の話なのに、
こちらはむしろ家族、特に親子、中でも父と息子の話なので、かなり違うと思う。
オマージュはあるかもしれないけど、類似はあまり認められないかなぁ。

あと、音楽はとてもいいです。
わたしの憧れてた時代、70年代や80年代のニューヨークを思い出す。

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