白鳩さんがモンコレで駄弁るブログ

わたくし白鳩がカードゲームの話を書き連ねるブログ

深き森のヘラルド

2010年04月25日 00時00分10秒 | 連載カード考察企画
カード考察第31回は深き森のヘラルドです。
地形を手札に戻すという特殊能力を持つ珍しいユニットですが
かなり使い辛いユニットに仕上がっています。
いろいろな意味で間違ったデザインだと言える部分があるでしょう。
そのいろいろな部分を一つ一つ指摘していきたいと思います。

まずユニットとして、スペック面から見ていきましょう。
基本的な戦力として計算してデックに登用できるかどうかです。
ヘラルドは2/1/2のアイテム1。
種族エルフの歩行ユニットです。
この時点で需要として難しいデザインですね。
エルフにしてアイテムユーザーです。
現状、エルフデックは組めないんですが
アイテムも使えるエルフはスペルよりの種族ですから
将来性的に考えてもスペル枠のないアイテム枠のみのエルフが
使いやすくなるとは思えません。
よっぽど強力な特殊能力でも持たない限りは。
地形と関連するところからも、せめて種族がゴブリンだったら
使えるカードだったんですが。
単体で考えると2/1/2のアイテム1です。
平均は2/2/2のアイテム1ですが
特殊能力を持つために攻撃力が1点下がりました。
これがわたしがたびたび指摘するレベル2圏のスペックを
押し下げたデザインですね。
レベル3なら使い辛い能力であれば
3/3/3アイテム1のまま付けられているところが
レベル2だと2/2/2のアイテム1、無能力が基本であるので
ほとんど使い勝手の悪い能力であったとしても
何か持っていたらステータスが1点下がってしまう。
結果出来上がるのは2/2/2アイテム1の下位互換ばかりです。
レベル2以下の即時召喚ユニットであれば
与えられる能力もあまり効果として強いものには出来ませんので
結果として攻撃力1点に吊り合う価値の特殊能力など
レベル2以下のユニットが持つことはほとんどないんですから。
ヘラルドの基本的な戦力としての性能は
そういうGレギュのレベル2のスペックの低さを如実に表した
典型的な低スペックユニットです。

ヘラルドはレベル2圏のアイテムユーザーが
よほど不足している事情がない限りは
やはり特殊能力を目当てに使うユニットですね。
特殊能力とは、捨て山の地形カードを1枚回収して
手札に戻す能力。
一旦捨て山に行ったカードを手札に戻す能力は
単純に絶対的なゲーム時間の延長に繋がる能力です。
手札が増えることは消耗される山札がその分減る理屈ですから。
実はこのカードと能力、
エルフとダークエルフで
ダークエルフ邪眼部隊と対立したデザインになっています。
自らの捨て山のカードを手札に戻す能力と
相手の手札のカードを捨て山に送る能力ですからね。
ただしどちらの能力も
レベル2のユニットが行動完了して
行なうとするには弱い効果です。
レベル2分の攻撃力を失って相手パーティを
全滅できなくなるのは致命的なリスクです。
それに見合うだけの効果が手札1枚にはありません。
宣言型でこのユニットが死亡すると回収できるとかなら
リスクに当たるものはなかったのですが。

ただしそれでも回収できるカードが
戦闘スペルやアイテムであり、
将来的な決定力に繋がる場合があるなら
使い方次第で強力な能力になります。
相手から見ると、どうしても通す訳には行かない
対抗しなければならない効果に写るのであれば、
髑髏コンボデックのようなデックの中では
普通タイミングの効果としては
十分な戦術的アドバンテージの能力になるでしょう。

しかしここがヘラルドと言うカードのデザインの最大の過ちです。
地形カードは使いまわすカードではないからです。

現在のモンコレカードは4種類。
ユニット、アイテム、スペル、地形カードです。
このうち地形カードは他の3つと
決定的に異なる性質があります。
消耗品ではないということです。
地形カードは一旦配置すると
張り替えられて破棄されるまで
ゲーム終了まで戦場に存在します。
張り替えか手札調整で捨てるかしない限り
特別な事情がないと捨て山に行くという状況が
存在しないのが地形カードなのです。
ですから能力を使ってわざわざ回収するのが
効果として強い弱いを云々する以前に
地形カードはシチュエーションとして
回収を行なうという状況が想定しづらいカードなのです。

強力なロック地形が相手に吹き抜けられた場合の
貴重な地形カードの再使用を目的とするのであれば
多少は使えそうな気もしますが、
戦力的に不十分なパーティで戦闘を経て行なう
非常に遠大で手間のかかる能力でやる事が
単なる吹きぬける風対策ですか。
相手が吹きぬける風1枚しか消費せずに行なったプレイングを
そこまでの多大な代償を支払って巻き返すのですか。
ヘラルドの能力を通せるだけの戦力があれば
地形を回収せずとも正面から相手パーティを倒せませんか。

地形カードというのは捨て山から回収して
使いまわすという戦術に合わないカードなので
ヘラルドには現実的な需要が見出せないのです。

あるいは地形カードを代償にする能力やスペルなら
強力な破壊力と引き換えに大量に地形カードを捨て山に送るので
使い道もあるとお思いでしょうか。
このタイプの効果の場合も
ヘラルドの特性と根本的に合わない事情があります。
地形を代償として発動する能力、スペルは
地形カードであるならどのカードでも効果が変わらないことです。
ヘラルドの特定の地形カードを指定して捨て山から回収できる、
という特性が全く活かされないのです。

この特性が活かされなければ何が問題なのか。
それならばデックに投じるカードは
ヘラルドでなくても何か他の適当な地形カードでいいという事です。
地形を大量に要求するデックであるなら
ヘラルドを入れる代わりに地形カードを入れるべきです。
ヘラルドの能力を2回以上使用出来るか、
あるいはヘラルドが単なるレベル2のアイテムユーザーとして
戦力計算できる場合の他は
そのほうが手間要らずで効率的です。

スペルやアイテムを回収する能力は、
飛行デックに対してウィンドカッターを
スペルデックに対して魔力のスクロールを
選別して回収できるから強いのであって
だから宣言型なら手札2枚を消費して1枚を回収しても
大局的に大きなメリットが発生するのであって
どのカードも均一な価値しかないのであれば
1枚で1枚を交換することにメリットは存在しません。

最終的に、ヘラルドが辛うじて能力を活かせる状況があるとすれば
序盤に自陣に置いてしまった精霊王の神殿を
張り直して自ら捨て山に送った後、
改めて手札に回収して敵陣に張り替えるという
芸を披露するときくらいか
あるいは儀式カードが追加されたら
今後使いまわす戦術にメリットのある地形も
登場するかもしれません。

ヘラルドは、モンコレのゲームシステムに即して
かなり根本的な次元でデザインが間違っています。
ヘラルドを使うという目的で使わない限り
他から需要を求められる状況が
どうしても想定し辛いのがヘラルドです。
儀式地形の投入によって
将来的に多少注目されるかも知れませんが、
儀式地形の中に、使用した後代理地形になったものを
張り直して捨て山に送り、さらにヘラルドで回収して
再度使うメリットがあるようなカードがあるかというと、
どんな強力な効果であればそれだけの手間に見合うのか
具体的なデザインが全く想像も付きません。
支配しているだけで戦場全体に
圧倒的なアドバンテージが得られる地形で
相手は最優先で吹き抜ける風を使わないと
まともに勝負できないような強力な地形でも出れば
そのカードを使いまわすメリットはあるかもしれません。
ただしそんなカードが登場するとはとても思えません。

ヘラルドは弱さの明白なユニットではありません。
地形カードの特性、捨て山回収能力の特性、地形デックの戦術を
研究してはじめてその使い辛さが浮き彫りになるカードです。
現在、モンスターコレクションGレギュレーションの
カードプールは694種類。
ステージ2ではおそらく370種類程度の追加があるはずです。
その370種類はアニバーサリー、ステージ1からの
再録となるカードもあるはずが
それでも1000枚超、1100枚近いカードが
Gレギュレーションの最大カードプールとなります。
1000枚以上ものカードをデザインしていれば
その中に少なからずはヘラルドのようなカードが混ざっていても
誰も責めることは出来ないでしょう。

カード考察第31回は以上になります。
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