先日ジムで風呂から上がり、少なくなった髪を整えたり手足にスキンクリームを塗っていると、風呂仲間が「えらいやつしてるなぁ、どっか飲みに行くんか?」と声を掛けてきました。
「やつす」という言葉は余り使わないのですが、大阪では<化粧する>というような意味で使う言葉なので、「ちゃうやん! 歳とったら体のあちこちが痒くなるので、乾燥せんようにクリーム塗り込んでるんや!」と答えたものの、「やつす」という言葉が妙に引っ掛かり、帰宅後調べてみました。
<goo辞書>に拠れば、漢字では俏す/窶すと非常に難しい字ですが、
1 目立たないように姿を変える。また、みすぼらしい姿にする。
2 やせるほど思い込む。顔形が変わるほど、一つのことに夢中になる。
とあり、<化粧する>というような意味は記載されていませんでしたので、更に調べてみると、
<WIKIPEDIA>や<ジャパン・ナレッジ>に下記のような記載がありました。
原義は、<見すぼらしい様にする、姿を変える>であったが、江戸時代中期から京都や大阪などの上方を中心にやつしの意味が多義化し、次のような場面で用いられるようになった。
・略す
・行儀をくずす
・常と違える
・姿をみすぼらしく変える
・擬装する
・化粧したり、身なりを飾る
そして、この連用名詞形が「やつし」となっているとのことだとありました。
ここで気になったのが現在で良く使われる「やつれる」という言葉との関係です。
<goo辞書>に拠れば、漢字では「窶れる」と「やつす」とおなじ漢字を使い、意味としては<病気・心労などで、やせ衰える。>とありあました。
こうなれば、「やつす」と「やつれる」は同じ意味かと思いましたが、少しニュアンスが違うようなので更に調べてみると、<https://hohoemashi.com/>に下記のような記述があり納得できました。
・「やつす」「やつる」の「やつ」は、現代語でいう「やつれる」の「やつ」と同根であり、「目立たない姿になる」「みすぼらしくなる」という意味においては、現代語「やつれる」に通じる意味を持ちます。
・ただ、古語「やつる」を「やせ細る」という意味で用いることはまずありませんので、そこは現代語「やつれる」とは異なるところです。
根本的には「太いものが細くなる」とか「大きいものが小さくなる」という意味ではありません。「目立つものが目立たなくなる」とか「派手なものが地味になる」ということです。
因みに、「痩せる」とは全く関係がないようです。日本語は本当に難しいです。(まさ)