素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

ラインの思い出

2022年12月05日 | 日記
 ジムの2階のトレーニングルームに入るとすぐスタッフから「今日は夜更かしですか?」と声をかけられた。日本時間の6日0時から始まる、W杯決勝トーナメント1回戦対クロアチア戦のことだ。「迷っている」と答えた。予選リーグで最初から最後までしっかり見たコスタリカ戦は負け、風呂に入ったり、寝過ごしたりして中途半端に見たドイツ、スペイン戦は勝った。験をかつげば真剣に見ないほうがいいのかもしれない。というような話をすると「気持ちはわかります」とニコッとされた。

 ジムでもにわか評論家が増え、関心の高まりを感じた。特に、サッカーに今まであまり縁のなかった人は、先だっての微妙なライン際のプレーは驚いたようだ。それにつられてサッカー部顧問時代のラインにまつわる思い出話をしてしまった。

 1つは、ラインを線と見るか壁と見るかということ。サッカーの場合は壁とみているのでボールが空中にあってもライン外であればアウトオブプレーとなり副審はフラッグを上げる。ところが2年間学校の事情で女子バスケット部の顧問になった時、ラインのとらえ方の違いに最初戸惑った。バスケットの場合はライン外にある空中のボールは生きていてジャンプしてボールを入れればそのままプレーは続行される。落ちた位置がラインの外か内かで判断され、文字通りの「線」と見なされている。

 10年以上「壁」と見てジャッジの笛を吹いてきた目を「線」に変えるのは大変だった。バスケの試合の審判でボールが線外になった瞬間にホイッスルを吹きそうになるのだ。吹いてしまえば試合は止まる。俊敏な選手が床に落ちる前に飛びついて中に入れてチャンスを広げる芽を摘むことになりかねない誤審である。大変だったが、今は懐かしい思い出。

 もう一つは、ラインカーのこと。普通学校で使っているラインカーは陸上用の5cm幅のラインが引けるもの。サッカー用は11cm幅のラインカーがあるが、普通あまり買っていない。5cm幅だと試合中に踏まれたりして消えてしまうことがある。「三苫の1㍉」ではないが微妙な判定の時困ることがあるので無理を言ってサッカー用のものを買ってもらったことがあった。それで描くとサッカー場という感じになって全然違った雰囲気のなる。

 調子に乗って使っていたら事務の方からクレームがついた。石灰の袋の減るスピードが例年より速いというのだ。指摘されるまで気がつかなかったが5cm幅が11cm幅になったら倍以上の石灰を使うことは自明のことだった。「限られた予算で、石灰などの消耗品は買っているので自重して欲しい」と釘をさされた。至極もっともなことである。それからは、ここ一番という試合のコートを描く時だけにした。

 確かに11cm幅でフルコートを描くと猛烈な勢いで石灰袋は空になっていく。あの当時の事務のSさんの渋い顔を久しぶりに思い出した。
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