正林寺御住職指導(H28.8月 第151号)
宗祖日蓮大聖人は『可延定業御書』に、
「日蓮悲母をいのりて候ひしかば、現身に病をいやすのみならず、四箇年の寿命をのべたり。」(御書760)
と仰せであります。御母の梅菊女は大聖人の祈りによって四箇年の寿命を延ばされ、文永四(一二六七)年八月十五日に逝去されました。法号(戒名)は、大聖人が立宗直後に御両親を授戒の際、御母には「妙蓮」と御授けなされ、法号を尊称して「妙蓮尊霊」と申し上げております。
また日興上人が記録された『産湯相承事』に、
「法号妙蓮禅尼」(御書1708)
と記されており、第六十五世日淳上人は、
「宗門の古伝説によると大聖人は開宗直後に御両親に授戒して妙日、妙蓮の法諱を御授けなされた」(日淳上人全集1490)
と御教示であります。さらに総本山大石寺の大過去帳にも、
「八月十五日 大聖人母 妙蓮尼卒」(富士年表 P23)
と記載されております。
日蓮正宗の戒名について第九世日有上人は『化儀抄』に、
「一、仏事追善の引導の時の回向の事、
私の心中有るべからず、経を読みて此の経の功用に依って、当亡者の戒名を以って無始の罪障を滅して成仏疑いなし、乃至法界平等利益。」(日蓮正宗聖典974)
と仰せのように、戒名は最後臨終において、無始以来の罪障を消滅して、成仏するためには非常に大事な化儀であります。化儀とは、仏が衆生を教え導く方法をいいます。『化儀抄』は、確実に成仏するための実践すべきである、大事な修行法が説かれた日有上人の御教示であります。
大聖人が御両親に法号(戒名)を御授けされた御振る舞いを通して、『化儀抄』には戒名の大切さを御指南あそばされたと拝します。
さて盂蘭盆会が地域により七月(旧暦)と八月(新暦)に奉修されます。丁度、八月十五日は妙蓮尊霊の祥月命日であり、盂蘭盆会が奉修される日です。改めて盂蘭盆会を迎えるに当たり、法号(戒名)の大切さを日蓮正宗の伝統法義から学んでいただければ幸いです。